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Ⅱ章 彼女の場合 あとがき①

皆さま、藤代です。

いやぁ……

長かったっすね爆


書いてて思いましたよ、自分でも。
話数も文字数も長い長い。
調べたら、1話と最終話で2倍以上の文字数になってました。

しかしながら、一言一句無駄を削り、極力読みにくくならないように努力しました。(友達からはバスケ回がすっごい不評でした。すっごい)

 可能な限り文体を簡素にしつつ、情緒を出した1作目『Ⅰ章 彼の場合』に対して、2作目の本作はリアリティを出す挑戦を選びました。

ご承知の通り、本作のコンセプトは、「愛する/愛されるとは」です。
(プラトンかよ。『饗宴』は机に積んであるけどさ。未読だよ!
この部分に関しては、異論の余地はないかと思います。

舞衣の視点から視た男と女のどうしようもない関係に、果たしてそんなものがあるのかと疑問に思う方かもしれません。

愛が無かったら、子供育てないって爆
※太字、中央寄せにハマっただけです。(画太郎先生かよ

そんなわけで今回も作品のコンセプトや解説をしていこうと思っています。
とはいえ、全話を網羅しますと長くなります。
もう皆、長文イヤでしょ?私はイヤですよ!!見直すの大変なんだから!


というわけで、今回は本編のみについてのあとがきになります。

・本作品のコンセプトについて
読んでくださる方に対してのコンセプトは、上記の通り「愛する/愛されるとは」です。ただ、これはあくまで読者目線の話です。

 作者としてのコンセプトは、全く別のところにありました。
「noteという媒体のなかで読み返したいと思える作品を作ること」

 これが今回、私自身の挑戦したかったことでした。
noteの良さは、創作活動を身近にすることであり、読み手がより手軽に創作物に触れることが出来ることだと思います。

 ですが、その一方である反動を感じました。
 note全体の「創作物の流れ」が激しいことです。
良い作品があっても読まずに流されてしまう可能性、読んでも1回で終わってしまい、余韻に浸る時間が短くなってしまう。
絶えず流れる創作物の潮流の中で、我々の作品は「記憶に残りづらい」という宿命を背負っていると思いました。

手軽に作れると言っても、心血を注いで書くわけですから、せっかくであれば長く読んで頂きたい。そう思うのは作者の常でしょう。


そこで結果を知った上で、「もう一度読んだら印象が変わる小説を作ろう」と思い立ちました。


そのため多くの伏線を散りばめ、比喩を織り交ぜて、ざざんっ!と回収していく展開を選びました。
結果として、かなり読み応えのある内容になったと思います。
※文字数も多くなりました。ホントごめんなさい。ホントry

 本作は、本編『Ⅱ章 彼女の場合』と3編の番外編から成ります。
個人的には、舞衣たちの物語は『Ⅱ章 彼女の場合-Datura-』で終わりだと思っています。元々、そのつもりで書く予定でした。
※『群星』については、次回で書きます。

また本作を書くにあたり、前作と異なり、設定をネタ帳に書いてから進めました。全部で12ページ、頭の中にある分を含めるともっとですね……。
画像だとこんな感じです。

画像1

画像2

うわぁ……。字が汚ねぇ……。献身的書けねぇ……。
当初の設定からは外れているものも結構ありますね。
Web関連の会社勤務だったりとか。


また試合に関しては、実際のウィンターカップの試合を、特に福岡第一高等学校の試合を参考にしました。亮二の潰し方も参考動画があります。
瀧 歩の得意技「ユーロ・ステップ」は、NBAで近年流行っていた技です。
(途中で何を書いてるのか、マジでわからなくなりました。)

 ちなみに私自身は、バスケ自体は思い入れが全くありません。ミニバスに通ってましたが、永遠のベンチウォーマーでした。
中学では大して強くないのに空手部の副部長に就任したり、高校は軽音で先輩のお願い(命令)で書記をしてました。(「Yesかハイしかない関係」
だから調べましたねぇ……。(もう、バの字も見たくねぇ)

 さて、本作の主人公ですが、読み進めた方はお気付きだと思います。
この物語は、「舞衣と亮二のふたりが主人公」です。

舞衣のモデルはいますが、再構築しているのでオリジナルと言って良いと思います。他の登場人物は完全なオリジナルです。

 伏線の回収はほとんどが終わっていると思います。ドヤ!!
(粗探しは辞めてね!)

ただ、2点だけ「ん?」となるところがあると思いますので、そちらの解説をしようと思います。

・Ⅱ章 彼女の場合③の会話について

「昔は真面目だったのよ。そこそこの高校入って、3年間ちゃんとバスケ部のマネージャー務めてさ。最後の年は、県内でベスト4。頑張ったと思う」

Ⅱ章 彼女の場合③

ウィンターカップは地区予選の決勝を戦ったのに、彼女の口からは「最後の年は、県内でベスト4」と言っています。
この時点の彼女は、まだ「受け止め切れていない」ということです。
どこまでか、は読者に委ねます。
意識して読むとまた違う印象を受けると思います。

複雑な想いを抱えたまま、「Ⅱ章 彼女の場合-終-」に繋がっていきます。


・商品開発部の豊崎さん
 はい。Ⅰ章のヒロイン 豊崎かなえです。
時系列的には、
「Ⅱ章 彼女の場合②」(彼氏浮気。かなえ別れる)
        ↓
「Ⅰ章」(かなえ 木嶋と出会う)
        ↓
「Ⅱ章 彼女の場合➉」(かなえ 彼氏出来る)

こんな感じです。
実は同じ世界線でした。(わおっ!?)
彼氏については、読者にまたまた委ねます。
(色々考えて楽しんで頂けたら嬉しいな!)

他にも裏設定は色々あります。
例えば、主要な登場人物には、声優さんの設定を付けて書いていました。
・麻生舞衣 中原〇衣さん
(「やはり俺の青〇ラブコメは間違っている」〇ノ下陽乃)
・赤崎亮二 鈴木〇央さん(「黒〇のバスケ」高尾〇成)
・茅野夏希 早見〇織さん(「賭〇グルイ」蛇喰〇子)
・美浜晴仁(ハル) 野島〇児さん(「PSYCHO-〇ASS 」宜野座〇元)
・悠木純 緒方〇美さん(「新世紀 エヴァンゲリオン」碇シ〇ジ)
・嶋監督 小川〇司さん(映画「ダークナ〇ト」シリーズ吹き替え版 アルフレッド)

・白木悠介 櫻井〇宏さん(「呪〇廻戦」夏〇傑)
・麻生亮二 花江〇樹さん(「東〇喰種:re」佐々木琲〇)

ここでは敢えて有名な作品の紹介ではなく、本作に近い演技をしている作品を例に挙げています。ご存知の方は、より楽しんでいただけると思います。
※というわけで他のキャラクターにもいます。


・舞衣と亮二の関係性
 このふたりの関係については複雑な印象を受けると思います。
『Ⅱ章 彼女の場合-Datura-』を読んでいると、その関係がより行き詰まったものであることが浮き彫りになっていきます。

舞衣は、亮二が欲しい。
自分を見て欲しい。そして、彼を見ていたい。彼なら愛したい。

けれども亮二は、舞衣の気持ちに気付きながら、夏希に見て欲しかった。

ふたりに共通しているのは、
「どちらも叶わぬ欲望を欲し、そのために誰かを犠牲にしていること」だと思います。

 舞衣は、亮二が手に入らないことを知っていました。
だから自分を求めてくれた時の悦びの中に、同時に去っていく寂しさを感じて、「つまみ喰い」に走りました。

 亮二は、夏希が誰も愛せないことをわかっていました。
それでも自分に振り向いて欲しかった。恋焦がれていたのでしょう。
その分だけ、彼は傷を負って、舞衣のところに身を寄せることになります。

 薄々、亮二も気付いていたのだと思います。
自分にとって本当に幸福を与えてくれる相手が誰なのか。

しかし作中で言及しているように、理解には2種類の段階があるのだと彼は言っています。

「理解ってさ。2種類の段階があると思うんだ」
 こちらを向いて、彼は話を続けた。

「ひとつは理屈としての理解。要するに頭でわかっていること。もうひとつがそれを納得すること。体感したり、実感したり、どういうことか理屈を本当に解釈すること。俺はさ、あいつ等みたいに高校生活を納得出来てねぇんだよ」                  『Ⅱ章 彼女の場合⑨』より

 このように彼の中には葛藤があったのだと思います。
『割り切れなかった』のでしょう。

 舞衣と亮二がくっ付けば、万々歳なのにそうならない。

――――お互いが誰かを傷付けて生きていく関係。

終わりのない関係が続いていくことに不安があった舞衣が、この関係の名前を聴いたのは、そういう理由からでした。

「私たちの、この関係って何なのかな?」
「んー。なんだろうな……。確かにセックスフレンドとか、現地妻みたいな割り切った関係じゃないよな。強いて言えば、「埋め合う関係」じゃないか?」

「埋め合う関係、か……」

 亮二が「埋め合う関係」と言ったのは、本心でしょう。
 難しい話ですね。

・亮二が生きていたら、ふたりの関係はどうなっていたか?
わかりません。
ですが、個人的には別れていたんじゃないかと思います。
すぐにではなくとも、どこかの地点で。

 子供が育つにつれて、舞衣は母親になっていきます。
そこに亮二が付いていけるかというと、私は疑問が残ります。
はたして夏希の存在を払拭出来るのでしょうか?

 男はその辺りフラフラ出来ますけど、女性はそうもいきません。
覚悟を決めて、痛みを受け入れて産み育てているわけですから。
結果的に亮二を「捨てる」選択をするんじゃないかと思います。


・曲について
 今回、実はエンドロールの曲は別のモノを検討していました。
ですが、私の近年、最推しバンド「Cö shu Nie」さんがトンデモない曲をリリースしてしまい、しかもこの作品に合致してしまったので止む無く、本曲を採用しました。(次回作で別の楽曲を使うつもりでした。)

 我が子の待つ場所へ、木々の隙間から陽が差し込む道を歩いていく麻衣を想像しながら歌詞を追って頂けると、本作の歪な世界にある「救い」を感じて頂けるのではないかと思います。


・最後に
本作は、前回以上に挑戦の多い作品になりました。
バスケ回や文字数の問題は、友人たちに結構指摘されましたね。
そういう参考(ぶっちゃけ失敗)も多かった半面、思いがけない収穫もありました。
それは、自分の持つ死生観や愛情に対する考えを物語の一部に組み込ませることが出来たことです。

ハルの語った死生観がそれです。

「その時が来るのが早いか、遅いかの違いだったんだよ。それは皆同じことでさ。生きるってことは、同時に死に近づいていくことなんだと思った」

「きっと俺たちは、その時が来るまでに、どれだけ自分が納得する選択を重ねていけるかなんじゃないかな」     『Ⅱ章 彼女の場合-終-』より

舞衣の愛情に対する気持ちも同様です。

私は、無償の愛なんてものはないと思う。
子供に対する愛は、なんていうけれど、それこそ綺麗ごとだ。
親が子供に注ぐ愛は、やはり有償で、それが学歴の場合もあれば、スポーツの成績や就職先として芽吹くことを期待しているのだ。――――私の親のように。
 仮にそうでなかったとしても、親は見返りを求めている。
 原初的な愛情の見返り。即ち、子供の健康と幸福を。
                    『Ⅱ章 彼女の場合-終-』より

こういう部分が堅苦しく感じた方もいたかもしれません。
でもまぁ、扱ってるテーマが重いので、相応の価値観を入れても良いかなぁって思いました。

こうした私の価値観は、番外編に入ると更に強くなっていきました。
その辺については後日にして、今回は本編のみの言及に留めたいと思います。

なんだかんだ、また長文になってしまいましたね。
総括は、次回の「あとがき②」で書こうと思います。
よろしくお願いします。

ではでは~!!



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