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それぞれの行き先 Ⅱ章 彼女の場合

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彼女は、ゆっくりと黒い海に沈んでいく……。 これは「器だった欠片」の物語。
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Ⅱ章 彼女の場合 あとがき②

 いくつになっても、アイドルでいたい。どうも藤代です。 「もう一度読んだら印象が変わる小…

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Ⅱ章 彼女の場合 あとがき①

皆さま、藤代です。 いやぁ…… 長かったっすね爆 書いてて思いましたよ、自分でも。 話数も…

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Ⅱ章 彼女の場合①

「舞衣さん、起きてますー?舞衣さーん!」 「まーた朝帰りですかー?」  麻生舞衣は、後輩…

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Ⅱ章 彼女の場合②

 私は、人の幸せを認めることが出来ない。無論、祝福することも耐えられない。その眩しさは私…

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Ⅱ章 彼女の場合③

「この時間が来ると月末って感じがするわね~」  くるりと椅子を一回転させながら舞衣はいう…

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Ⅱ章 彼女の場合④

「アンタ、またサボり?」  体育館の壇上で寝転がっている彼を見て、私は怪訝な顔で声を掛け…

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Ⅱ章 彼女の場合⑤

※本話は、試合内容を含みます。説明の補助のため、コート画像/用語集を転載しております。  皮肉にも舞衣の願いは裏切られた。  由比ヶ浜高校は、予選決勝まで上がったのだ。 そして全国への切符を懸けて、王者 青応大附属との対決を迎えた。  向こう側のベンチでは、藍色の下地に白のラインが入ったユニフォームが監督の指示を落ち着いた様子で聴いている。  対するこちらのベンチは、白い生地に緑色の縁取りがされた服を纏った少年たちが由比ヶ浜の嶋監督の指示に静かに頷いていた。 「良い

Ⅱ章 彼女の場合⑥

 第3クォーターの笛が鳴ってすぐ、青応が仕掛けた。 ボールを持ったハルや亮二、純に激しい…

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Ⅱ章 彼女の場合⑦

※本話は、試合内容を含みます。説明の補助のため、コート画像/用語集を転載しております。 …

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Ⅱ章 彼女の場合⑧

 私は走った。 コートの出入り口を抜け、控室の扉を開いた。 そこに彼の姿はなく、荷物も無く…

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Ⅱ章 彼女の場合⑨

 大学に入ってからの日々は、高校生活とはまるで違った。  好きなように選べる講義やサーク…

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Ⅱ章 彼女の場合➉

 パンッ!という音と共に、私の右頬は反対方向へ押し出された。 ――――大学4年の夏。 とう…

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Ⅱ章 彼女の場合-終-

「お待たせ。はい、お弁当」 「ありがとう。母さん。よく間に合ったね」 「試合会場が隣の県で…

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Ⅱ章 彼女の場合-Otherside-

「……とうとう時間ですね。最後にワンプレー。カウンターを狙って終わりにしましょう」  出来ますか、という監督の問いに、ハルは落ち着いて頷いた。 慧と喜多村がマークを外してくれたおかげで、純は相手のエース―瀧 歩―を止めることが出来た。 均衡が崩れたと知るや、青応はエースのフォローに回った。それを阻止するため、由比ヶ浜のメンバーが抑えに入る。結果、文字通り混戦状態になり、試合の中心は、純とハルになった。勢いに乗った由比ヶ浜が追い上げる展開。しかし、それでも結果は変わらなか