孤独を避けようとするほど不幸になる
「孤独こそ最高の老後」という本を紹介します。この本の著者は、松原 惇子さん。シングル女性の今と老後を応援する団体であるNPO法人SSS(スリーエス)ネットワーク代表理事で、自らが孤独な老後を充実していることを体現している、1947年生まれの人です。
老人ホームは、うば捨て山だ!
著者は、「老人ホームは、うば捨て山だ」とも言われています。入居者は、家族から捨てられたと感じるそうです。ホームに入れば、同じような老人がたくさんいるし、スタッフも居ますから客観的には孤独ではありません。しかし孤独を満たされることがないそうです。
他に行き場がないから、嫌われないようにニコニコと不満も言わず我慢している人が多いのです。私もいま老人ホーム併設の病院勤務をしていて、その通りのことを見て感じています。老人ホームに入居していて、楽しそうだと感じる人はあまりいません。むしろ見ていて可愛そうだと感じることの方が多いのです。それが現実です。
中には本当に幸せそうな人もいます。しかしほんの僅かです。老人ホームとは、とても安全な場所です。何かあるとすぐスタッフが来てくれるし、食事の世話、下の世話も全部してくれます。老人ホームは、「安楽の地」だと言えば聞こえが良いですけど、認知症が進めば家族では手に負えませんから、「捨てた」という見方をされても仕方がありません。
「終の住処」という言葉は、もしかしたらビジネス用語でどこかの金儲け主義の社長が言ったのかもしれないと私は感じます。死ぬまで安全な場所にいれば、幸せになれるとは限らないし、そんな単純な話ではないのです。
夫は妻にもっと目を向けるべき
また著者は、「夫婦で楽しい老後を送りたいのならば、働いているうちから妻に目を向けるべき」と言っています。
とくにサラリーマンが危険です。男は何十年と働いて家庭を支えてきて定年を迎え、これから夫婦で旅行でも楽しもうと考える人は少なくありません。しかしその時期が来たら、妻には妻の交友があり、夫と旅行に行ってくれるとは限らないのです。そうなれば、夫の居場所がなくなる可能性があります。「妻で孤独を癒やそうとするのではなく、夫は夫で自分の世界を持つべきである」とも言われます。
考えれば当り前のことですよね。大黒柱だとか言われますが、それも誰が言ったのか知りませんが、都合の良い言葉だと思います。ドラマでも退職後の男の居場所のない話はいっぱいありました。でもそういドラマを当の本人が見ていないのでしょうね。
ドイツでは、人は孤独が当たり前で、自律と孤独はセット
本の中では、海外と日本違いを上げてられます。海外では、早い時期から自分の将来を考え、自分で決断して自立して社会で生きていけなければならないと教わります。孤独についても子供の頃から学び、身に付いているというのです。ドイツでは、人は孤独なのが当り前、自立と孤独はセットである生き方をしているそうです。
夫は妻に依存すべきではない
一方日本では、人に委ねて、自分で物事を決断することが少ないです。個人を持たず、自立していない日本人は群れから離れて一人になることを恐れてしまいます。だから夫は妻に依存している人が多く、退職後、熟年離婚などということも起こり得るわけです。男からするときっと「?」なのでしょう。なんのために働いてきたのか、生きてきたのか分からなくなる瞬間です。しかし徐々にそうなっていったことに「気付いていない男が悪い」と、いうことです。現に海外との考え方の違いから、日本ではそうなってしまうのは必然だと言えるのでしょう。
このように、孤独を避けようと考えて行動すればするほど、不幸になっていくという事実をしっかり受け止めなくてはなりません。
明日へ続く・・・