鈴谷凌

小説を書く人です。

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記事一覧

君に捧ぐ創世~告白寸前で地球滅亡。彼女に会うため異能で世界をやり直す~2

 フォルトゥナによって明示された策とは至極単純なもので。  地球の素となるガスや塵を平らげてしまう星獣ウーラを、武力によって滅ぼすということであった。  淳は最初…

鈴谷凌
1か月前

君に捧ぐ創世~告白寸前で地球滅亡。彼女に会うため異能で世界をやり直す~1

あらすじ  今日という日は。  間違いなくこの広大な地球の歴史に刻まれることになるだろう。  放課後の街路を行く有明淳は、浮つく気持ちを抑えきれないでいた。  着…

鈴谷凌
1か月前

「黒き魔人のサルバシオン」10

「――ったく、やっぱ何か隠していたみてえだな」  天を見上げながらグレンは恨めしげに呟く。横を見れば、眠りにつく前までそこにいたはずのエルキュールの姿がなかった…

鈴谷凌
4か月前
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「黒き魔人のサルバシオン」9

『この世界にお前らバケモノが生きる場所なんざねえんだよ!!』  ――これは誰の言葉だっただろうか?  あの頃のことは朧気ながらにしか覚えていないらしく、生憎とこ…

鈴谷凌
4か月前
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「黒き魔人のサルバシオン」8

 結界に守られたヌール伯邸前――エルキュールと対峙しているアマルティアの三人は、纏っていた白の装束を脱ぎ去り、ついにその本性を晒した。  三者三様の色ではあるが…

鈴谷凌
4か月前
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「黒き魔人のサルバシオン」7

 シュガールに辛くも勝利したエルキュールとグレンは、闇魔法で捻じ曲げられた空間を抜け、遺跡内部から外へと空間移動した。 「うおっとっと……ここは昼間兎魔獣を狩っ…

鈴谷凌
4か月前
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「黒き魔人のサルバシオン」6

 ローブに身を包んだ男を逃してしまった苛立ちをぶつけるように、エルキュールは正面に構える大蛇魔獣――シュガールを睨みつける。  その鋭い視線に触発されたのか、緋…

鈴谷凌
4か月前
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「黒き魔人のサルバシオン」5

 魔獣が落とした石片を手掛かりに、二人は北に位置する遺跡を目指す。周りはもはや開けた平原ではなく、木々が茂る林である。  鬱蒼とした木々で空が覆われ、視界が悪い…

鈴谷凌
4か月前

「黒き魔人のサルバシオン」4

「よう相棒、二時間ぶりくらいか?」  隣町のニースまで買い物に行くという家族と別れた後、待ち合わせ場所のヌール広場に到着したエルキュールに、声がかけられた。  …

鈴谷凌
4か月前

「黒き魔人のサルバシオン」3

 朝食を終えたラングレー家では、久々にゆったりとした空気が流れていた。  エルキュールにとって食事というのはほとんど必要のないものであったが、こうやって家族と過…

鈴谷凌
4か月前
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「黒き魔人のサルバシオン」2

「はあっ!」  鋭い掛け声とともに、エルキュールはハルバードを横に薙ぎ払う。  振るわれた刃は目前の獣型イブリス――魔獣に命中し、不快な音を奏でながら敵を吹き飛…

鈴谷凌
4か月前

「黒き魔人のサルバシオン」1

あらすじ   名もなき丘の上。  平時なら静寂に包まれているはずの彼の地は、その夜、溢れかえるほどの人々で埋めつくされていた。  たとえばそれは、泣き叫ぶ幼子。 …

鈴谷凌
4か月前
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「ありす★いん☆ゆにばーす」第3話

「やはり聞いていた通り。興味深い御仁のようだ」 「でしょう、お父さま。私の目に狂いはありませんでした!」  何故か二人して盛り上がっていた。  そもそも父の政宗と…

鈴谷凌
11か月前

「ありす★いん☆ゆにばーす」第2話

 一条寺有栖の家が所有していると思しきリムジン。車内は外から見るよりは手狭に感じたが、それでもその設備は充実しているさまは素晴らしかった。  全体的に白を基調と…

鈴谷凌
11か月前

「ありす★いん☆ゆにばーす」第1話

・あらすじ  高校入学から数日経ったある日。周囲と馴染むことに失敗した荒崎流星は、見事にクラス内で孤立していた。影が薄いなんて次元じゃない完璧な空気ぶり。  そこ…

鈴谷凌
11か月前
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君に捧ぐ創世~告白寸前で地球滅亡。彼女に会うため異能で世界をやり直す~2

 フォルトゥナによって明示された策とは至極単純なもので。
 地球の素となるガスや塵を平らげてしまう星獣ウーラを、武力によって滅ぼすということであった。
 淳は最初これを聞かされた時、このスペースシップ、アストラ号に積んである武装でどうにかするものだと思っていたが。
 彼女の言葉はそんな想像を嘲笑うかの如く突飛なものだった。
 実体化した身体を宇宙空間に漂わせながら、淳は今回の作戦を半ば投げやりに思

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君に捧ぐ創世~告白寸前で地球滅亡。彼女に会うため異能で世界をやり直す~1

あらすじ

 今日という日は。
 間違いなくこの広大な地球の歴史に刻まれることになるだろう。
 放課後の街路を行く有明淳は、浮つく気持ちを抑えきれないでいた。
 着古した制服から新品の革ジャケットにメークアップして、片手に携えた小箱は華やかな包装紙にくるまれている。
 まったく普段通りでない。
 夕陽がかった交差点を、淳は鼻歌交じりに行く。

 今日という日は。
 彼が以前から慕っていた少女であり

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「黒き魔人のサルバシオン」10

「――ったく、やっぱ何か隠していたみてえだな」

 天を見上げながらグレンは恨めしげに呟く。横を見れば、眠りにつく前までそこにいたはずのエルキュールの姿がなかった。
 もちろん通常なら大したことではない。用を足しにいったか、眠れないから外の空気を吸いにいったか、今この場にいない理由は幾つか考えられる。
 しかし、エルキュールが出ていった理由はそんな気軽なものではないとグレンは半ば確信していた。
 

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「黒き魔人のサルバシオン」9

『この世界にお前らバケモノが生きる場所なんざねえんだよ!!』

 ――これは誰の言葉だっただろうか?

 あの頃のことは朧気ながらにしか覚えていないらしく、生憎とこの言葉の主の顔は思い出せない。

 記憶が蘇るたびに心を抉られてきたというのに、不思議な感覚だな。

 思えば、これが始まりだったか。

 この世界に俺の居場所など存在しない。その事件を経てからというもの、心の片隅ではずっとそう思ってい

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「黒き魔人のサルバシオン」8

 結界に守られたヌール伯邸前――エルキュールと対峙しているアマルティアの三人は、纏っていた白の装束を脱ぎ去り、ついにその本性を晒した。

 三者三様の色ではあるが、その肌に刻まれている魔素質の痣も胸元に煌めくコアの光も、等しくエルキュールの心に突き刺さった。

「魔人……」

 無意識のうちに声が零れる。アマルティアに魔人が属しているという噂は本当の事だったようだ。
 そして、これを以てして今日だ

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「黒き魔人のサルバシオン」7

 シュガールに辛くも勝利したエルキュールとグレンは、闇魔法で捻じ曲げられた空間を抜け、遺跡内部から外へと空間移動した。

「うおっとっと……ここは昼間兎魔獣を狩った辺りか?」

 ゲートで空間を跳躍した先は、暫し前に魔獣を探していた平原であった。

 エルキュールにとっては慣れたものだが、魔法での移動に慣れていないグレンはたたらを踏んだ。

「ああ、流石にここまでが限界だが」

 そう返すエルキュ

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「黒き魔人のサルバシオン」6

 ローブに身を包んだ男を逃してしまった苛立ちをぶつけるように、エルキュールは正面に構える大蛇魔獣――シュガールを睨みつける。

 その鋭い視線に触発されたのか、緋色と黒色の鱗と紫の魔素質に彩られた体を大きく伸ばし、シュガールは大きく口を開けて威嚇した。

 伸びた体はこの広い部屋の半分を占領し、開かれた口腔は人間を容易く丸呑みできるくらいに大きく見える。

 正直言って、今まで戦ってきた魔獣が赤子

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「黒き魔人のサルバシオン」5

 魔獣が落とした石片を手掛かりに、二人は北に位置する遺跡を目指す。周りはもはや開けた平原ではなく、木々が茂る林である。

 鬱蒼とした木々で空が覆われ、視界が悪い。閉鎖的なその環境は人間の手が介入していないため、魔獣が住みついているようだ。

 途中、何回か魔獣に襲われることもあったが、その度に二人は連携しこれを撃退していった。

 ところが、その回数が十に差し迫った頃――

「だーーっ!! 流石

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「黒き魔人のサルバシオン」4

「よう相棒、二時間ぶりくらいか?」

 隣町のニースまで買い物に行くという家族と別れた後、待ち合わせ場所のヌール広場に到着したエルキュールに、声がかけられた。

 広場の長椅子の背もたれに寄りかかっていた身体を起こし、グレンはエルキュールに歩み寄る。

「相棒……? 俺と君はそこまで親密な仲だったか?」

 出会って間もないはずだが過剰に親しげに声をかけたグレンに、エルキュールは余所行きの固い態度

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「黒き魔人のサルバシオン」3

 朝食を終えたラングレー家では、久々にゆったりとした空気が流れていた。

 エルキュールにとって食事というのはほとんど必要のないものであったが、こうやって家族と過ごすことは貴重なことである。

 同じものを共有するのは悪い気はしない。これからは変に家族を避けることはやめようと、エルキュールは改めて決心し――

「そうだ、買い物には一緒にいけないが、ヌールを出るまでは送っていこうか?」

 一つ提案

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「黒き魔人のサルバシオン」2

「はあっ!」

 鋭い掛け声とともに、エルキュールはハルバードを横に薙ぎ払う。

 振るわれた刃は目前の獣型イブリス――魔獣に命中し、不快な音を奏でながら敵を吹き飛ばす。

 この辺り一帯に広く生息する狼型は、ヴェルトモンドでも一般的な魔物の種であった。

 リーベの狼よりも一回り大きい体躯。
 禍々しい紫色の毛並みは逆立ち、犬歯は肥大化して赤く変色している。

 全身を以て醜悪の二文字を惜しみな

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「黒き魔人のサルバシオン」1

あらすじ 

 名もなき丘の上。
 平時なら静寂に包まれているはずの彼の地は、その夜、溢れかえるほどの人々で埋めつくされていた。

 たとえばそれは、泣き叫ぶ幼子。
 あるいは、子を宥める親。
 身を震わせ叫ぶ者たちもいた。

 反応はそれぞれ異なるが、確かなのは、誰も彼もが一様に悲嘆に明け暮れ、丘の麓で盛る劫火に、果てしのない喪失を重ねていたこと。

 この者どもが住んでいた村は、僅か一晩の内に

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「ありす★いん☆ゆにばーす」第3話

「やはり聞いていた通り。興味深い御仁のようだ」
「でしょう、お父さま。私の目に狂いはありませんでした!」

 何故か二人して盛り上がっていた。
 そもそも父の政宗という男に関しても、事前に俺を知っていたのは少し妙なことだ。
 彼は先ほどの有栖の提案にも何か関係しているのかもしれない。
 ここまでの失態に次ぐ失態に、俺はかえって冷静に物事を分析し始めることができた。

「おっと。済まないね荒崎くん。

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「ありす★いん☆ゆにばーす」第2話

 一条寺有栖の家が所有していると思しきリムジン。車内は外から見るよりは手狭に感じたが、それでもその設備は充実しているさまは素晴らしかった。
 全体的に白を基調とし、ソファみたいに大きい座席が二つ、後部座席を含め三つもあった。
 あとはガラスのテーブルにはグラスとカップがいくつか。走行中に落ちないよう、くぼみに底面をはめ込むような格好になっているのには素直に感心した。

 大きな窓を流れる景色が既に

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「ありす★いん☆ゆにばーす」第1話

・あらすじ
 高校入学から数日経ったある日。周囲と馴染むことに失敗した荒崎流星は、見事にクラス内で孤立していた。影が薄いなんて次元じゃない完璧な空気ぶり。
 そこには流星の性格とは別にクラスで圧倒的なカリスマを誇る社長令嬢・一条寺有栖の存在があった。
 眉目秀麗な彼女に皆の目はすっかり釘付け、流星の華やかな生活は早くも潰えたと思われた。
 放課後、下駄箱に入れられていたある手紙に出会うまでは。

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