見出し画像

僕の壮絶な高校野球人生No9



一回、僕達は2点を先制した。



仲間の、誰にもできないようなプレーのおかげで見事に点を取ることができた。

ちなみにこのプレーは、今でもインターネットに写真が上がっているほどの
強烈なプレーだ。



このまま抑えたら、一回戦突破できる。。




そんなことを考えていた矢先、

僕達は4点を取られてしまい、逆転された。


4対2。



だが5回表、

強烈なプレーを甲子園に見せつけた仲間が、また強烈なプレーを見せてくれた。




逆転3ランホームラン!



僕達は、また逆転した。





5対4、このままいけば勝てる。





だが、甲子園という場所は、僕達の味方をしてくれなかった。



6対5、試合終了。


負けてしまった。。




僕達の挑戦は、一回戦で終わってしまった。


だが、まだ夏もある。

もう一度この場所へ戻って来て、必ず日本一を獲る!


そう思いながら、甲子園の土を持って帰らずに高校へ帰った。





次の日からまた夏の甲子園に向けて練習が始まった。




その時だった。






僕の高校野球人生は、ここからもっと濃いものになっていく。


いや、
ここから僕の本当の高校野球としての活動が始まったと言っても過言ではない。





その日はバッティング練習をしていた。

僕はピッチャーだったのと、バッティング練習には参加していなかったので、

外野で守備をやっていた。

まぁ厳密に言えばボール拾いだ。


僕は普通にボール拾いをやっていても面白くないので、

一緒にボール拾いをやっている奴らに声をかけて、

完璧なヘッドスライディングでボールをキャッチできたら、
みんなから1000円という遊びを始めてしまった。
(そんなことやっているのがバレたら大変なことになるので、あくまでも外野を 
 守っているように見せかけて)


5人でやっていたので、一回でもキャッチしたら4000円も貰える。

みんなのテンション上がりまくり、全力でボールを追いはじめた。


僕も本気でやった。

とにかくキャッチしたら、できるだけ早く守備位置に戻って、
またボールを追いかける。






そんな遊びをやり始めて、30分くらい経ったときだった。




急に、ホームベースの辺りから、

「小林!!」


それは、監督からだった。



「あれ? 遊んでるのバレてる? そんなわけないよな? 
 なんの用やろ?」



恐る恐る走って監督のところへ行くと、監督はこう言い出した。




「お前、守備上手いな。どこで練習してん?
 肩も強いし、走るのも早いし。」


僕は内心、「お金がかかってるんで、本気でやってただけです。」

と言いたかったが、そんなことは言わず、

「はい、ありがとうございます。」 

と一言だけ言った。


そうすると監督が、

「お前一回、野手でやってみろ。とりあえず今からバッティング練習入れ。」



僕は、そのままツワモノだらけのバッティング練習に参加した。


みんな笑っている。

なんせ、僕は高校に入ってからピッチャーしかしたことがなかったから、
バッティング練習なんてほとんどしたことない。 

だから、僕がバッティング練習に参加することは不自然でしかないのだ。



だが僕は、こう思っていた。

「チャンス到来!! このまま野手でメンバーやな。とりあえずかましてみるか。」



そう、僕はバッティングにはまぁまぁの自信を持っていた。


小学生でも1番か3番を打っていて、打率もトップクラス。
ホームランもたくさん打った。

中学生でも2番か3番を打った。

バッティングのセンスで、一学年上のメンバーにも入っていた。



それともう一つ。



僕には最強の武器があった。






それは、筋肉だ。



実は、去年の秋に停学になった日から、僕は筋トレを始めた。



そこから筋トレにハマってしまい、自宅にもベンチプレスを買い、
学校の体育の授業では、途中で抜け出して、
使用禁止のトレーニングルームに侵入し、電気を消したまま一人で黙々と筋トレに励んでいた。



そのおかげで、僕の身体はバキバキになっていた。




「この筋肉を使えば、どんな打球が打てるのかな。」と僕は一人密かに、
 心を躍らせていた。



ちなみにこの筋肉は、本来バッティングに使おうとしていたものではなく、
引退してから、女の子にモテるために使おうとしていたものだ。





僕は入念に素振りをして、バッターボックスに入り、投げてくれているピッチャーに頭を下げた。



守っているみんなも、打っているみんなも笑っている。
でもこの笑いは、どこか温かさを感じた。




僕はバットを振った。



打球がグングン伸びていく。


そしてフェンスを越える。


みんなも自分もビックリだった。



バッティング練習、初日。

僕はフェンス越えの(ホームラン球)打球を何本も打ち、終了した。





そして迎えた、野手としてのメンバー初試合。


僕は8番、レフトで起用された。



「初試合で、スタメンかよ。マジで緊張するわ。」

と思ったが、試されていることはわかっていたので、集中して試合に望んだ。




初打席、1ストライク、2ボールからの4球目。




僕の身体に向かってきたボールが「キュ!」っと曲がり、
ストライクゾーンに入ってきたので、思いっきりバットを振った。



そして振り終わった後、ボールを見ると、そのボールはフェンスを越えた。




「初試合、初打席、初ホームラン」










僕はそのまま野手として、ツワモノ揃いのメンバーに入り、
試合で活躍した。






そして3ヶ月が経ち、



夏の甲子園の予選が始まった。


僕の与えられた背番号は「16」


もうこの頃は、「高校野球を辞めなくて本当に良かった」
と思うようになっていた。



僕達は、1回戦から4回戦までを全てコールド勝ちし、

準々決勝まで勝ち進んだ。


そして準々決勝の相手は、京都の中でも、全国の中でも名が知られている、
あの超名門高校だった。




試合は高校野球では異例のナイターゲームになった。


この戦いを見ようと高校野球ファンが集まり、

いつもは絶対満席にはならない、京都の地方球場が、
立たないといけない人が出てくるくらいの満席になった。



相手の歓声が大きな壁のように聞こえる。

ブラスバンドの演奏が両校とも異常に大きい。




負けたら終わり。



勝ったら甲子園への道は終わらない。






両校の歴史をかけた、戦いが幕を開けた。




「プレイボール!!」


続く。。

こばりょう 

次回は、「僕の壮絶な高校野球人生 完結へ。前編」です。















この記事が参加している募集

#とは

57,961件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?