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【VUCAな世の中で「農業」をとるか「狩猟」をとるか】

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【VUCAな世の中で「農業」をとるか「狩猟」をとるか】

#人類と気候の10万年史 #中川毅

感想

ただ興味本位で読んでみた地質学・古気候学の本でしたが、めちゃくちゃ面白かった!
ロマンですね!

地質学や古気候学に興味のない方は、
後半の
「ビビッときた文」から読んでもらえると
ビジネスにも転用できそうな文を紹介してます^_^

予備知識0の僕でしたが丁寧な説明で分かりやすかったです!
また、気候と人類史を考察してる章では

VUCAと呼ばれる現代、コロナで大変な今とも重なり、

意外な本で自分の判断基準や仕事観の形成にも繋がる刺激も頂きました!

少しでも興味が沸いた方は、一読をおすすめします!


響いたところ・要約・感想

やや専門的な内容も多いので(非常にわかりやすく書かれています!!)

響いたところ、印象に残った文を引用してご紹介していこうと思います(^-^)


プロローグ_「想定」の世界  から

長い時間を視野に入れることで、世界はまったく違う顔を見せる

2011年3月11日に起こった”東日本大震災”

実はこの地震には「前例」があった・・・!


西暦869年の夏に、おなじく東北地方を襲った貞観地震である。
_____現代人が忘れてしまった規模の津波が、今から1150年ほど前にはじっさいに起こっていたのである。

では対策を打てたのか??それはわからない・・・


1000年前といえば、日本は平安時代。

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10年、100年のスパンでの災害であるならば、「想定」し対策を立てる必要もあったかもしれないけど、

1000年前の大災害に対して、しっかりと教訓を受け継いでいる人はおそらくいないだろうし、

仮に教訓を受け継いでいたとして、それがまさか自分の生きてる間に再度起こるとは思わない。。


_____1万年に一回の災害は、1000年に1回の災害よりも甚大である。
10万年や100万年に目を広げれば、それこそ「とんでもない」ことが起こる。
そうした可能性のすべてを「想定」し、「対策」を立てることは現実的ではない。

人間にとってみれば1000年はとても長いですが、地球からしてみればちっぽけで一瞬。。
いつ起こるかわからないこと、
生きてるうちに起こるかどうかも不確かな様々な災害に対して対策はとてもとれないですね。


これに対して著者は、

だが考察のための材料として過去の地球でどのような「事件」が起こっていたのか、またそれらの事件が予測可能な性質のものだったのかどうか、知っておくことは重要である。

とおっしゃっています。


この著書で特に取り上げられてる”気候変動”については
”地質学”の一分野である”古気候学”で主に考察してあります。

ただ、この学問は数万年~数億年を対象に扱うことが多い


数万年前、数億年前、を現実味をもってイメージできますか??

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無理ですよね~(笑)
ロマンは感じれますが、数万年前の大災害を現実味をもって捉えることは、一般の人にはハードルが高く感じます。。


そんな”足かせ”を持つ学問の地質学ですが、
これを人間の時間で、現実味をもって表現できる特殊な堆積物
「年縞(ねんこう)」の発見によって可能性が広がります!

年縞とは、1年に1枚形成される薄い地層のことで、
これの細かい分析をすることで
当時の人の1年ごとの生活や環境の変化を知ることができる!

また、この「年縞」は世界各地で見つかってますが、
そのチャンピオンはなんと日本にある!!

福井県の”水月湖”という湖にあるそうです!!

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この本は年縞によって得られた分析結果や
天文学や地球物理の学問とのかけ合わせ理論をもとに、
過去の気候変動やそれにまつわる人間の生活の変化を考察してあります!

また、水月湖での年縞の採掘での秘話や、未来はどうなっていくだろうか?までがしっかり書かれており、
予備知識ゼロの僕にも楽しく、興味深く読める本でした!

1章_気候の歴史をさかのぼる から

_____20世紀の100年間で、東京は宮崎になった_____

近年、各国で打ち出されている行動指針や法規制の影響もあり、
”気候変動”のニュースは耳よりになってはきていますが、

現実問題、多くの人々が「実感」をしはじめている、と著者はいいます。

20世紀の初頭から100年間の間に、北半球の平均気温は「1℃上昇」している。

「1℃の上昇」は、言葉のインパクトとしては矮小に思えるかもしれない。
_____元日から大晦日まで、1日の例外もなく温度が1℃高くなったときに、ようやく達成されるのが「平均1℃」の上昇である
もし平年と変わらない日が6日間続いたら、7日目には平年より7℃高い日がないと、「平均で1℃上昇」の傾向からは取り残されてしまう。

7℃高い日があると、さすがに「実感」もしそうですね!

____プロ野球の多くのチームが宮崎県で春季キャンプをおこなう。
これは、宮崎の気温が東京よりも「温暖」だからにほかならない。
だが気象観測データを見てみると、
東京都と宮崎県の年平均気温の差は、2000年以降ではおよそ1℃に過ぎない。
_____20世紀の100年間で、東京は宮崎になったのである。

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たとえが分かりやすい!!(笑)
こんな感じで、とっても読者に優しい執筆をしてくれています(^-^)

東京が宮崎の気温になってる、というのはすごくイメージしやすいし
大変なことに感じてきますね。。!

ちなみに、氷期の時代では

氷期には「鹿児島が今の札幌のようだった」と考えておけばおおむね間違っていない。

だそうです!
鹿児島が札幌ってことは、、札幌は・・・??めっちゃ寒いんでしょうね!

5億年の気候史 から

地球の気候は変化し続けている

「異常気象」と最近よく耳にしますが、そもそも「正常な気象」とはどういったものなのか??

それを考察していくため、過去の地球のデータ【5億年分】をもとに紐解いてくれます。

その結果、

少なくとも、何か「正常」と表現されるような定常状態が背景にあって、
そこからときどき逸脱するといったパターンには見えない。
とにかく、たえず変化し続けているのである。

といった結果がみえてきます。

では、現代はどうなの??

___現代が大きな傾向の中ではむしろ寒冷な時代であることも見て取れる。現在は氷期が終わった後の温暖な時代であるが、それでも北極と南極には夏でも消えない氷が残っている

5億年というスパンで現代を見てみると、むしろ寒冷!
温暖化!と叫ばれていますが、それはあくまで人間視点であって、地球にとってみれば、温度的には問題ない!
(後述しますが、”地球温暖化”は別の視点からみると、ヤバい状況っぽい)

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はるか昔の地球には、極地方にも氷床が存在しない時代もあった!

そこまで温暖化が進んでいた当時は、はたして暮らしにくい時代だったのだろうか。

地球にとって、生物にとって、その温暖な気候はどうなのか?

古生物学的に見ると、当時はいわゆる恐竜時代である。
すなわち、地球の歴史の中でも例がないほど豊かな生態系が成立していた。
_____当時はむしろ「いい」時代だったように見える。

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予備知識ゼロの僕にとっては、結構衝撃な文章でした!

”温暖化”っていってるのは、「これ以上温度が上がるとマズイ」という風にしかとらえていなかったのですが(無知の怖さですね!)
どうやら別の問題みたいです。。

また、むしろ暖かいほうが生態系は豊かになる可能性も秘めている!

10万年ごとにくり返す氷期 から

___およそ300万年前頃から、地球上では徐々に寒冷化が進行しているということである。

500万年のスパンで地球の気候を見てみると、この300万年ほどは徐々に寒冷化が進んでいる。

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また、

___寒冷化と連動して、不安定性も同時に増してきているように見える___

寒冷化が進むと同時に、気候の振幅が増しており、不安定になってきてる。。

現代は、その不安定さの中でも特に”温暖な時代”だそう。

さらに解像度を上げて80万年のスパンで見てみると、、

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現代の気候が”例外的”であることがみえてきます!

このグラフによると、「正常」な状態とは”氷期”であり、
現代は氷期と氷期の間の例外的な時代”間氷期”であることがわかります。

また、氷期と間氷期にはリズムがありそう・・・
およそ10万年のスパンで繰り返している!

このリズムを考察するのに

外せない理論として「ミランコビッチ理論」を紹介してくれます。

ミランコビッチ理論は、地球と太陽の位置関係の軌道要素と気候を結び付けて考える理論のことです。

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___現代の古気候学においては、何らかの形でミランコビッチ理論の影響を受けていない研究者や論文を見つけることは不可能に近い。

前提の知識として必要な理論ということだそうです!

この理論についても、詳しく、細かく説明をしてくれます。


なぜ、ずっと指示される理論なのか、その理論の成り立ち、意外性や支持される要因まで

この辺は、地質学というよりはビジネス書っぽく書かれているので、読み方によっては転用もできそうで面白かったですよ(^-^)

ちょいちょいこうした形で、いろんな視点・より理解がしやすいような視点での考察もはさんでくれるのが個人的に嬉しかったポイントです(^-^)


この調子で気候のことばかり紹介するのもあれなんで、
(もちろん、それもめちゃくちゃおもしろいです!興味のある方は読んでみてください(^-^))

他のことにも転用できそうな、ビビッときた文を紹介していきますね!


ビビッときた文

努力では超えられない壁・偉業を成し遂げた継続力・パッション

___北川自身の努力では超えようのない非常な壁だった。

これは、
水月湖の年縞分析を第一回目に行った際に、
水月湖の年縞があまりに膨大だったことと、技術的な問題もあって
100%の年代をとりきった、完璧な分析ができなかった。

当時分析を担当していた北川さんは、地道で丁寧な分析を進め、手元にあるデータでは非常に優秀な分析をしたものの、
結局抜けている年代がある、ということで世界標準のデータであるにもかかわらず、ライバルにその地位をとられてしまいます。。

やれることはやったけど、スタートラインの時点で不完全だったため、結局認めてもらえなかった。。

北川さんの無念を思うと胸が熱くなる部分でした。。

結果、のちに北川さんのデータと、改良した再採掘・分析によって
水月湖の年縞は世界標準と認められるのですが、そこまでにかかった期間、実に21年!

21年間、あきらめずに地道で愚直な作業をやり続けたことで、
今日、何億~何万年前とかのことが少しずつ解明されている・・・!

熱いですね~!ここは感動しました(^-^) Jsoulですね!(日本の魂)

「温暖化」は是か非か

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____人間が気候を左右するようになった歴史は、
100年前ではなく8000年前にさかのぼるということを意味していた。
温室効果ガスの放出によって「とっくに来ていた」はずの氷期を回避しているのだとしたら、温暖化をめぐる善悪の議論は根底から揺らいでしまう。

ここも非常におもしろいとこでした!

視野を広げることで、本来”氷期”が訪れているはずなのに、それが来ていないことがわかってきた・・・!

氷期はいまより断然寒い上に、気候が不安定になる・・・!

そんな”氷期”で暮らしたいのか、それとも人為的に暖かくされ安定した気候で暮らしたいのか。。。

これはもはや、哲学の問題であって化学の問題ではない。

地球のパワーの凄さ

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___つまり氷期は、まるでスイッチをパチンと切ったかのように、本当に急激に終わったらしいのである。

年縞をみていくと、氷期だったころから、1年で急激な環境変化が北半球全域で起こったことがわかった・・・!

つまり自然は、人間が引き起こすよりももっと激しい気候変動を、内部から発生させる力を潜在的に持っているのである。

氷期の終わりに何が起こったのか・・・?

それはまだわかっていないようですが、1年で気候が劇的に変わってしまう、というのは、今問題になっている”地球温暖化”の比じゃない変動が起こったということになります!

おそるべし自然のパワー!

VUCAの時代。コロナ時代。農業か狩猟採集か。

氷期の生活戦略は、すべての大陸において圧倒的に狩猟採集だった。

農業をしたほうが、食料の確保は安定しているようにも思えます。

では、なぜ狩猟採集がメインだったのか?
当時の人々は”農業”を思いつかなかったのか??

その答えも、やはり環境にありました。
氷期の環境は、気候が寒いだけでなく不安定。
基本寒いと思ってたら、何年も干ばつがきたり冷夏がきたりが頻繁におこる。。

_____農地は、地球上でもっとも生産性が高く、
もっとも多様性の低い生態系
として、丹念に作り込まれてゆく。

生産性は高いけど、みんな同じ作物なので、生育に不利な環境がつづくと全く不作におわってしまう!

一方狩猟採集では、

狩猟採集民の生活空間は、多様性を保った生態系である。
___同じ面積の土地であれば、狩猟採集のほうが維持できる人口は少ない。その代わり、人口が少なく自然が豊かであさえあるなら、狩猟採集民のほうが少ない労力で多くの食料を得られる場合が多い____

作物も多様性に富んでいるので、冷夏に弱いモノもあれば、逆に強いモノもある。

環境の変化が激しい中で生き残っていくには、1つに頼らず、多様性を残したほうが、結局リスクは低くなる・・・!


これ、最近のビジネス書なんかでもよく書かれていますよね・・・!

現代はVUCAと呼ばれ「先の読めない時代」といわれています。
また、昨今の新型コロナウイルスによる環境の変化。


現代の僕らの経済環境も、”氷期”のように不安定さを増している時代と言えそうです。。

こんな時、”農業”スタイルで安定性を求めていくのか
”狩猟採集”スタイルで多様性に富んでリスクを分散させるのか、

自分自身、考えていく必要がありそうです。。。

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最後に

最後に、著者 中川毅さんの締めくくりを引用して終わりたいと思います!

不足の事態を生き延びる知恵とは、時間をかけて「想定」し「対策」することではない。
運動方程式をどれほど解いたとしても、飛んでくるテニスボールを打ち返すことはできない。
必要なのは、
個人のレベルでは想定を超えて応用のきく柔軟な知恵とオリジナリティーであり、
社会のレベルでは思いがけない才能をいつでも活躍させることのできる多様性と包容力である。


100億という数は、人間の大脳を構成する神経細胞の数におおむね匹敵する
それだけの細胞がシナプスを通して相互作用することで、人間は宇宙の構造にまで思いを馳せることができた。
同じ数の人間が相互作用したとき、生み出すことのできる知恵の数も同様に無限であるはずだ。
そのネットワークの末席に、古気候学者として連なっていこうと思う。

かっこいい!!

ぼくも、読書好き整体師として、
この大変なコロナ時代に、自分にやれることをやって皆で協力して乗り越えていけるように行動していきたいと思います!!

最後までお読みいただき、ありがとうございました!


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