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原書のすゝめ

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語学は楽しい♪ +読書は楽しい♪ =原書は楽しい♪♪ をコンセプトに記事を書いてみました。Let’s enjoy reading in the original language…
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#洋書

原書のすゝめ:#20 La Première Enquête de Maigret

原書のすゝめ:#20 La Première Enquête de Maigret

ジョルジュ・シムノンは、ベルギーの作家である。

フランスでの執筆活動が長かったこともあり、フランス人だと間違われることが多いが、1903年、ベルギーのリエージュでフランス系の父とオランダ系の母の間に生まれた。

経済的な理由と父親の健康不良のためシムノンは15歳で退学し、職を転々としながらやがて第一次世界大戦終結後の1919年、新聞社で裁判所廻りの記者の仕事を得る。程なく頭角を表したシムノンは自

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原書のすゝめ:#16 Le petit prince

原書のすゝめ:#16 Le petit prince

世界中で最も愛され、最も多くの言語に訳された本といえば、この作品をおいてほかにないのではないかと思う。

『Le petit prince 』

古今東西、老若男女を問わず、たとえ読んだことはなくても知っている人は多いはずだ。

以前、別の章で同じ「petit」がつく名作として『Le petit Nicolas』を取り上げたことがあるが、『Le petit prince』にはこれからも手をつけるこ

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原書のすゝめ:#11 The Shadow Murders

原書のすゝめ:#11 The Shadow Murders

お気付きのとおり扉絵と表題のタイトルが違う。しかしこれは、同じ本なのだ。

そして、この本の邦題は、まだない。

原題の『Natrium Chlorid』はデンマーク語。
ということは、つまり、これは、北欧ミステリファンが首を長くして待っていた、例のあの本。
そう、特捜部Qの第9巻である。

年始にこの記事を見つけた瞬間、ついに邦訳刊行かと胸が躍ったのだが、文中の「『Natrium Chlorid

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原書のすゝめ:#10 La fille de Brooklyn

原書のすゝめ:#10 La fille de Brooklyn

Antibes, mercredi 31 août 2016.
À trois semaines de notre mariage, ce long week-end s’annonçait comme une parenthèse précieuse, un moment d’intimité retrouvée sous le soreil de fin d’été de la Côte d’

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原書のすゝめ:#6 The Mysterious Affair at Styles

原書のすゝめ:#6 The Mysterious Affair at Styles

インターネットでも本屋でも、本を検索すると何人かの翻訳者によって訳されている本が見つかることがある。当然、どの邦訳にしようかと迷うところである。表紙のデザインか、出版社か、あるいは翻訳者か。

選んだ選択肢が翻訳者である場合、読みやすい文章か、それとも文体が自分の好みにあっているか、あるいはその翻訳者が好きだからか、とその理由は人によってさまざまであると思う。

私は名前を覚えるのが得意ではないか

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原書のすゝめ:#5 Ashenden

原書のすゝめ:#5 Ashenden

同じ本が手元に2冊ある。
何故こんなことになったのだろう。

事の始まりは、本を買うのにネットショッピングを頼るようになったことにある。現物主義の私は、日々の購買活動において基本的に現物確認を行う。しかし、物が洋書となると本屋で買いたくても目当ての本がなかったり、そもそも品数が少ないため偶然の出会いというのもあまり望めない。

ところが、インターネットだと販売環境が逆転する。圧倒的な数の出会いが用

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原書のすゝめ:#4 THIS IS NOT MY HAT

原書のすゝめ:#4 THIS IS NOT MY HAT

Jon Klassenの絵本を最初に発見したのは、京都のジュンク堂だった。

私は地元にいても旅先でも、必ず本屋を徘徊する。とくに何かを探しているというわけではなく、ただ回遊魚のようにふらふらと書店の中を泳いで回る。そうすると、突然面白いものが目に飛び込んでくることがある。この絵本もその一つだった。

絵本コーナーの棚でたまたま目に入り、その絵の可愛さに惹かれて思わず手にとってみた。1ページ開いた

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