見出し画像

【日韓比較】ランチフレーションって?会社員ランチ代高騰の実情に迫る#2

日韓のランチフレーションに迫る企画、第2弾!前回は、家計を圧迫するランチフレーションと日韓会社員のランチ事情について実際に現地で働く方のお話をもとにまとめました。そこで、今回はこの背景とその打開策として日韓それぞれの会社員がランチ代高騰を乗り切るためにしていることについてお話したいと思います!【第一弾はこちら👇】

❝ lunch + inflation = 昼食代(外食費)の高騰😥 ❞


韓国での物価高・ランチフレーションの背景

📌 韓国では近年、物価そして外食費の上昇が顕著に
韓国統計庁の国家統計ポータルによると、今年1月~7月の物価指数 (コアコアCPI*) が前年対比4.5%急騰しています。この上昇率がどれほどかというと、同期間で過去の1998年 韓国通貨危機(6.8%) 以来の最高値で、2009年 金融危機(4.2%) 時と比較しても高い水準となっています。

出典:韓国聯合ニュースグラフィック

*コアコアCPI:物価の平均的な変動を測ることを目的に全国の世帯が購入したモノやサービスの価格を指数化した消費者物価指数 (CPI) の一つで、天候や市況など外的要因に左右されやすい食料(酒類を除く) とエネルギーを除いて算出した指数の俗称。米国など海外諸国では物価の基調を把握するために同指数が利用されており、日本国内でも徐々に注目されるようになった。

出典:「野村證券」証券用語解説集

このコアコアCPI(韓国語直訳=根源物価) 急騰の主な理由としては、外食などサービス物価の高騰が原因と分析されています。外食物価は、昨年の第3四半期に21年ぶりの最大幅である8.7%上昇してピークを迎えた後、今年の第2四半期まで7∼8%の高い上昇幅を維持。最近、総合物価指数の上昇幅自体は少し縮小はしたものの、このサービス物価の上昇が続いているため、韓国の消費者が実感する体感物価が引き続き高い水準となっています。

📌 ランチフレーション(外食費高騰)の原因は?
さて、韓国でこのような外食費の高騰を招いた要因にはどんなものがあるかいくつかピックアップしてみました。

原油・原材料費の上昇:特に原油価格の高騰は、韓国や日本のみならず全世界の物価を上昇させる要因の一つですよね。これら原油や原材料費の上昇は外食業の原価を上げてしまうため、飲食店がメニューを値上げする事態に繋がりました。実際に韓国の統計では、ここ2年間で加工食品が15.29%の上昇、石油類 (燃料費) が12.38%上昇しており、これらが外食物価の高騰に大きな影響を及ぼしたと考えられます。

露ウクライナ侵攻による影響:ロシアのウクライナ侵攻による穀物価格の高騰も外せません。穀物の輸出大国であったロシアとウクライナの戦争で、両国ともに輸出が大きく減り、世界的な食料価格の高騰を招いたことも一要因として挙げられます。

食文化の変化:コロナ禍の影響でビジネスパーソンの食事文化に少し変化がありました。当時、在宅勤務が増えたことで、外食を控えて自宅で料理をして食べたり、出前をとって食べることが増えましたが、その影響で外食業界は大きな影響を受けていました。結果として、生き残るためにやむを得ず価格を上げたお店も多く存在し、今でもこの影響が残っています。

その他:店舗の賃上げや人件費の高騰、特に今年の夏は過去最大級の大雨や猛暑など異常気象まで重なり、外食物価を刺激したとされています。様々な要因が複雑に絡み合い、経済全般に影響を及ぼしている、なかなか厳しい状況ですね。それでは、日本ではどうでしょうか?

日本での物価高・ランチフレーションの背景

📌 日本国内でも同じく世界規模の物価高の影響つづく
日本でも今年の4月、消費者物価指数は「生鮮食品とエネルギーを除く総合(コアコアCPI)」が前年同月から4.1%上昇、4.2%だった第2次石油危機後の1981年9月以来41年7カ月ぶりの水準となっており、それ以降現在までも同様の水準となっています。先程述べた世界情勢の影響もあり、韓国同様、日本でも物価高‥そしてランチフレーションの現状がうかがえます。

日本国内の物価高とランチフレーションの背景となるものは、主には原油・原材料費の上昇、ロシア・ウクライナ情勢による影響など両国ともに共通していますが、日本だけの要因としては大きいものとしては、やはり「円安」が挙げられるかと思います。日本の円安は止まらず、深刻な水準で進んでいます。多くの食材や原料を輸入に頼っている日本ですので、この円安が物価に大きく影響を及ぼしてしまいます。輸入コストが高くなる分、どうしても値上げに繋がってしまうのです。

もう一つが電気代の高騰。飲食店では、物価高騰を実感すると同時に、電気料金の値上げにより店舗の経営に不安を感じているという声も多いみたいです。大型の冷蔵庫や照明設備など、どうしても店舗を運営・維持するために電気をたくさん使わざるを得ないため、電気代高騰によるダメージはかなり大きいと関係者は語っています。このような電気料金の値上げを乗り切るため、メニューの値上げは避けられない状況。また今年6月から全国の大手電力会社が電気料金の値上げを実施し、これによる打撃はさらに大きいものとなっています。

出典:NHKニュース

ここまで、日本と韓国の物価高・ランチフレーションの背景を探ってみました。国際情勢の影響を受けているという面で似たような状況とも捉えられますが、そうとなれば、お互いに実践策として参考にできる部分があるのではないだろうか?実際にビジネスパーソンはどのような対策を取っているのか、現状とその術を探ってみます。

【韓国】現状と乗り越えるための生活術

ランチフレーションに立ち向かう方法は少しずつ違うかも?まずは、韓国のビジネスパーソンはどのように乗り切っているか?基本的なものから、極端なものまで‥!リアルな生活術を紹介してみます😃

1.コンビニで簡単にすませる

これはあるあるですよね。実は最近、韓国ではコンビニが熱い!利用者が急増しています。韓国の調査会社によると、昨年度の韓国内のコンビニエンスストアの外食市場(*)は1兆9307億ウォン規模でほぼ2兆ウォンにまで達する歴代最大を記録したといいます。

出典:中央日報「韓国のコンビニ外食市場の現状と展望」
*コンビニの外食 : 弁当やチキン等のホットスナック、テイクアウトコーヒーなどの簡単な食事類

これは、まさに「ランチフレーション」の影響でしょう。最近では都心部オフィス街のコンビニエンスストアには昼休みになるとお弁当を買おうとする長蛇の列ができているのをよく見かけます。なんと「弁当入荷ラン」という新造語も登場したほど。元々はシャネルなどのハイブランド品を買うためにオープン前の夜中から店舗前に列を作るいわゆる「オープンラン」が韓国の社会現象となっていましたが、弁当が陳列される前に列を作り、入荷後すぐに売り切れてしまう「弁当入荷ラン」が現れるとはびっくりですよね。

とあるコンビニ関係者は「特にオフィス街では、10時~12時の間、コンビニの入荷トラックに間に合うように来店したお客様がお弁当を買っていく”入荷ラン”のお陰で10~20分で在庫がすべてなくなるところも多い」と話しています。また、コスパを前面に押し出した若い世代を狙った戦略も功を奏しており、業界関係者によると韓国の主要コンビニの今年の弁当売上は平均30%以上増加!コンビニが大盛況の時代が来ています。

2.比較的安いお店を利用したり、デリバリー(出前)を利用する

ハンバーガーチェーン店や韓国海苔巻きのお店も比較的安い方(5~7000ウォン程) ですし、韓国は出前文化がかなり発達・定着しているので「複数人で会社に出前を取って配達費を割り勘にする」+「割引クーポンを活用してお得に食べる」なんて方法もよく見られます。デリバリーをすると、徒歩圏内でなくても、少し距離のある安くて美味しいお店で出前ランチが可能です。また、ほとんどのお店で宅配が可能、かつ便利なアプリで簡単に注文手配ができます。複数人で注文時、少し厄介な割り勘・支払いもメッセンジャーアプリの機能で数クリックで送金ができて手間いらず。とある日の韓国での出前注文履歴をお見せすると‥この日も5人で割引クーポンを駆使して比較的安くお昼を済ませることができています。

「一緒に注文」機能で各自のスマホアプリからメニューを選んで一括注文【アプリ画面】

3.とにかく切り詰めて節約する!

なにがなんでも節約!そんなシンプルな方法もあります!特に新しいものに敏感なZ世代の間で流行し始めたのが「無支出チャレンジ」。近年YouTubeを始めとするSNSの影響で様々なチャレンジが流行していますが、そのうちの一つとして一日の支出をゼロに抑えて支出なしで生活するものです。SNSに投稿したり、関連のオープンチャットトークで複数人から評価・アドバイスを貰って実践したり、インターネット上で不特定多数の人と繋がりながらこういったチャレンジに挑戦している若者も多く見られます。この資金集めのために中古取引プラットフォームが利用されることも多く、合わせて成長を続けています。

【日本】現状と乗り越えるための生活術

1.お弁当を作る・持参する

続きまして日本。日本のお弁当文化は、約1200年前から始まったという古い歴史があります。お花見やピクニックなどのイベントでお弁当を持っていくことも多いですし、カラフルで見栄えも栄養もバッチリのお弁当、レベル違いのキャラ弁なども日本だから見られるなんとも馴染み深い日本文化と言えるのではないでしょうか。「BENTO」という言葉が世界でも通じるなど、日本のお弁当は世界でも注目を浴びています。そんな日本が誇るお弁当、このような時期には特に経済的にもお財布に優しいビジネスパーソンの味方になってくれます。作るのは面倒‥という方も多いとは思いますが、それでも日本ではまだまだお弁当を作って食べている方も多くいらっしゃる印象です。

2.冷凍社食を利用する(会社提供の福利厚生)

近頃、社内常備の好きな商品 (ご飯) を手軽に食べられるオフィス設置型の社食サービスが増えてきています。外食代の高騰でビジネスパーソンのお昼ごはんがピンチの中、一食100~200円ほどで手軽に美味しく、さらに安く!済ませることができるので福利厚生として需要が増えています。

宅配型社食サービス「オフィスプレミアムフローズン

エデンレッドジャパンが全国の一般社員男女を対象に行った「ビジネスパーソンのランチ実態調査2023」でも、多くがランチ代の高騰で負担が増えたと回答しており、このような状況の中で必要な福利厚生として食事補助制度が1位になるなど、一般社員も経営者側も食事補助制度についての必要性を強く感じている事がわかります。


ここまで、日本と韓国の物価高・ランチフレーションの現状と打開策について、両国を比較しながら見てみました。日本の現象や状況についてはメディアで触れる機会が多いですが、他国の実情について知る機会はあまりなかったと思います。これを機に隣国韓国でのリアルな現状について知ることができたのではないでしょうか。また日本国内でも活かせそうなこと、もしくは考え方を変えられそうな部分があったとしたら、少しでも参考になれば幸いです。

🔹🔹🔹

✅ビジネスパーソンに必須のリモートツールが気になる方に
おすすめの記事はこちら!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?