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失われた青春

青春っていつからいつまでのことを指すんだろう

もっぱら勉強に耽っていた学生時代は恋愛だとか部活動だとか旅だとか本来青春の醍醐味とされるものとは無縁の生活を送っていた。
学校では勉学に励み9時に帰宅の後家では予習復習。決して認められることのない努力を無駄に重ね青春を放棄していた。
家族からの期待とプレッシャー、羽目を外したいと思う気持ちは常にどこかにありながらもガッカリされるのが怖くて自分の気持ちは無視し続けた。

もちろんここ日本に生まれ水準の高い教育を受けられる有難さはひしひしと感じている。
楽しむための場ではなく学びの場であることも重々承知の上だ。
無駄に学生時代を過ごしたわけでもなく、その分の知識と教養は身についた。
ただ、友人から凄く楽しかったとスクールライフを熱烈に聞かされた時に、悪くもなく良くもない標準的な脳みそがなんの役に立つのかと思い耽るのは当然のことだろう。

別の高校や大学に行った友人らと会話するのは楽しい。どれだけ学生生活が楽しいか、充実しているのかを教えてくれるから。
私の人生には無い記憶。もう取り戻せない青春を思うと悲しくもある。

映画やドラマも然り。アメリカで、イギリスで生まれ育っていればこんな経験もできたという落胆と興味。
手に入れたいものこそ目の前にすると手に入れる勇気がない。
これまでの生活に慣れているから。その先に新たな希望があるかわからないから。

彼らの記憶を通して自分の記憶を創る。想像の中の記憶。世界各国・日本全国を旅して、カルチャーや伝統の渦に浸る。
いろんな人と出会い遊び、恋をする。そこから得られる弾けるような感情と興奮に酔いしれる。
切れ味の悪い思い出と真っ逆さまに落ちていく記憶の狭間で踊り狂う。

トウキョウ、私の中でそれは青春の集大成だった。
立ち並ぶビルの眩しい光の中、毎日殺人が起きていて、危険極まりない場所であると感じていた。
実際には忙しない日常の中にスリルとワクワクが入り混じる地で、ありとあらゆることが起こりうる場所だと思う。
身体の関係だけの友達や少女たちが酒を振る舞う店、数分電車に揺られるだけでたどり着くネオンの街。
その繊細さに疲れを感じながらも走り続ける心にゴールはなかった。

そんな魔法の街で学生時代を過ごしたにも関わらず、心に深く突き刺さる経験をせず過ごした私はこの身動きの取れない状況下、こうして一人酔いながらもっとこうありたかったと思う。
痛々しい夏。これはFさんの言葉でありますが、学生の皆さん、どうか心に留めておいて下さい。
もう二度と緊張と興奮に満ち溢れた学生時代は戻ってきませんから。
勉学に励むも遊びに耽るもその人の自由ですが、愛する人のために自分の感情を無視するのは得策ではありませんね。

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