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2020年4月の記事一覧
サラダ・ボウルの惨劇
野菜室の穏やかな暗闇。彼らは寝息もたてず、安らかに眠る。
遥かなる故郷の畑の土の匂い。農家が与えてくれる美味しい肥料。穏やかな夢の中。誰もがずっと、この夢が続くことを疑いもしなかっただろう。
ぱかっ。暗闇の中、突然に扉が開いた。同時に、台所の鈍い光が野菜室に差し込む。更には女の美しい手が伸びてくる。
「ん、なんだ?」
寝ぼけ眼のキャベツを襲ったのは、何かに掴まれる感覚。それはいつの日か、ス
Unusual majority
心療内科に行った。
結果から言うと、うつなどではなかった。
だけど僕の心には問題がある。問題があるという自覚は、なんとなくある。だからこそ病院に足を運んだ。
清潔で、潔白な、白い箱。その中には僕と同じような人たちが、診察を待っている。絵本を読みながら待つ男の子。お母さんと仲良しそうに話す女の子。携帯をいじる青年。ファッション雑誌を読む女性。みんなどこをどう見ても、どこから見ても、普通の人。