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#エッセイ
こたつから出てこない娘と手をつなぐ
ある日、私が鼻歌を歌いながらリビングへ行くと、さっきまでアニメ映画を見ていた娘のハトちゃんの姿がなかった。無印良品の「人をダメにするソファー」は、人の形にへこんだままになっている。
「ハトちゃーん!どこー?」
と声をかけると、コタツの中あたりから気配がする。そして、ズビッズビッという鼻を啜る音。
「どうしたー?」
と言いながら、テレビ画面を振り返って見ると、たった今まで見ていた『カールじい
本当の声を聞かせておくれ
センター試験も終わって、高三の2月。
二次試験対策の授業があるにはあったが、自宅や予備校で自習する者も多くて、学校の教室に生徒はまばらだった。
小論文対策のクラスに現れたのは、なぜか化学のタジマだった。
「回収した答案は国語の先生が赤ペンを入れます」
と言って有名国立大学の論文試験を配った。そして、けだるそうに黒板の前に座った。
全部の文章に月が絡んでいた。
文章を読み進めるうち、私はどんどん