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【映画レビュー】かもめ食堂 癒やしの映画でGWラストスパートに疲れを取ってみませんか?

みなさん、こんにちは。映画大好きマヒロです。
とても大好きな映画、「かごめ食堂」を今回はご紹介したいと思います。
ゆっくりとした時の流れ、まったりとした進み方が何とも心地の良い映画です。
ゴールデンウィークもいよいよ後半。
「世界で一番幸福度が高い国、フィンランド」を舞台にしたこの映画でゴールデンウィークのラストスパート、疲れを取ってみませんか?

2006年 日本・フィンランド 102分
監督 荻上直子
原作 群ようこ
出演 小林聡美
   片桐はいり
   もたいまさこ



あらすじ

フィンランドの首都ヘルシンキで日本人女性のサチエは「かもめ食堂」という食堂を開いています。
首都といっても華やかで開けている所で営んでいる訳ではなく、閑静な住宅地といった感じの所にお店はあります。

北欧フィンランド南側の海沿い
フィンランド湾のすぐ近くにあるのがヘルシンキ

見知らぬ土地で店を開いて1ヶ月、まったく客が来ない日々。
現地のフィンランド人はガラス張りの店先から、そんなサチエの様子を見て
「彼女は大人なの?」
「小さいから子どもでしょ?」
「これじゃかごめ食堂じゃなくて子ども食堂ね」
と話しています。

サチエ役を演じた小林聡美

そんな中、日本かぶれのフィンランド青年が初めてのお客様として来店。
サチエは「初めて来てくれたお客様にはコーヒーをずっと無料で飲ませてあげるんだ」と考えていました。
この青年は幸運にもかもめ食堂で無料でコーヒーが飲めるようになります。
そして日本人のサチエも驚くくらいの日本贔屓!
「ガッチャマンの歌を教えて下さい」
彼にそう言われたサチエは冒頭部分の歌詞しか出てこずに困ってしまいます。

ガッチャマンの歌の歌詞が気になり、ずっと頭から離れないサチエはたまたま入ったお店でアジア人女性を目にします。
その女性は日本語で書かれたムーミンの本を読んでいる……
日本人だと確信を持ったサチエはその女性に「ガッチャマンの歌の歌詞を知っているなら教えて欲しい」と声を掛けます。

ガッチャマンの歌の歌詞を書ける女・みどり役を演じた片桐はいり

そしてフィンランドに来たのは良いものの、空港で荷物が紛失してしまった女・まさこ。

奇抜なファッションもモノトーンコーデも良く似合う
まさこ役を演じたもたいまさこ

各々の思いがあってフィンランドにやってきた3人の日本人女性。
観光で来た訳ではない3人。
観光以外で海外行くってなかなかの思いがないと行かないのではないかなと思います。
きっとこの3人にもなかなかの思いがあったのかもしれません。
でも、どこかちょっぴりマイペース。
そんな3人が繰り広げるのほほんと朗らかなフィンランド生活。

映画あれこれ……

群ようこの同名小説の映画化です。
この映画がとてもお気に入りなので、小説も読んでみたいな!

この映画は日本で初めてフィンランドでオールロケを行った映画です。
そして、実際に使用されているお店でロケが行われました。
ヘルシンキの中心部から少し離れた住宅街にあるこのお店は「カフェ・スオミ」で、地元の人からも愛されているお店だそうです。

「かもめ食堂」の店名がまだ残っている「カハヴィラ・スオミ」
今は「ラヴィンドラ・かもめ」と名前が変更されています

撮影にはフィンランド政府観光局が協力してくれたので、フィンランドの有名なブランド・マリメッコやイッタラなどフィンランドのブランドが多く使用されています。

イッタラ
「マリメッコ」といえばこのカラフルで派手なお花ですよね

マリメッコのものを上手に着こなす女優陣、凄いなって思います。

仲良くおにぎり握ってます

コーヒーが飲みたくなる映画


コーヒーを丁寧に入れるサチエ
日の当たり方も自然でお洒落な映画です

「かもめ食堂」というだけあって、食べ物が良く出て来ます。
どの料理も代わり映えのない和食が中心ではあるのですが、それがまた美味しそうで堪らないっ!

このシーンを見て「はっ」としてしまいました。
今の時代、網で魚って焼きませんよね……
グリルで焼いた魚では味わえない「視覚で味わう美味しそう」

食べ物も美味しそうなのですが、私はこの映画を見ると豆から淹れた美味しいコーヒーを飲みたくなってしまいます。

コーヒーを美味しく淹れるおまじない。
「コピ・ルアック」

「コピ・ルアック」とは
マレージャコウネコの糞から取るコーヒー豆のことです。
ちょっと驚きですよね……
コーヒー豆の中でも甘みの強い実だけを食べる為、その豆が上手い具合にお腹の中で精製されるそうです。
この映画では「おまじない」として登場しています。

感想

会話の量も多からず、少なからず。
そして、この映画の面白い所は音楽がまったく流れない所にあります。
生活音、自然な音、天然の光……
そして、舞台が外国なのに、どこか外国の映画チックでない。

ひょんなことがきっかけで遠いフィンランドの地で出会った3人の日本人。
でも人間の出会いなんて、全て「ひょんなことがきっかけ」なんですよね……
でもきっと、この3人は日本で出会っていたら仲良くなれたのかしら?
多くの日本人、当たり前の日本人同士の中で埋もれてしまっていたかもしれません。

海外に旅行に行った時、アジア人を見かけると「アレ、日本人かなぁ」と思ったことが幾度とありました。
日本にいる時にはそんなことまったく思わないのに……
そう考えると不思議です。
どこか同じ国の人に親睦を感じるのでしょうか?
それとも日本が懐かしくなったのでしょうか?

ううん。なんで日本人が気になったのかははっきりとは説明出来ないですが、嬉しかったんです。日本人だったら嬉しいなと思っただけ……
「日本なんてラララ~」と思っていた時だったので、なんでそんなに嬉しく思っているんだろうと自分でも驚きました。

何を作ろうとしているのかな?
小さい頃、お母さんの料理を作っている姿を思い出しませんか?

そしてもしも近所にフィンランド人のお店が出来たらどうだろうかと考えてみました。
ちょっと入るのに勇気いるかな……
まず「フィンランドの料理」が頭に浮かんでこない。
後、英語出来ない。
ってか、フィンランドが英語圏の国なのかどうかも分からない。
でも、ちょっと気になる……
「どこの国の人?」
「なんでわざわざ日本でお店だそうとしたんだろう」
「どんなお店なんだろう?」
頭に浮かぶ、様々な疑問。
そして率直に「何か怖い」という感情も芽生える。

この「怖い」という感情は「差別」にも繋がったりもしますが、私は人間が持ち合わせている自然な感情だと思います。
「危機管理能力」とでも言うんでしょうか……
馴染みのないもの、得体の知れないものに対して人間が自分の身を守る為に発する信号のようなもの。
この感情が湧くこと自体は何ら問題ではないのかなと。

近所のフィンランド人の料理店はいつも客が入っておらずにガラガラ。
少し気になるので、通り過ぎる時にしれっと覗き込む私。
フィンランド人のオーナーと目が合う。
「あ…… 目合っちゃった……」
そんなことを思っている私にニコリと微笑んでくれるオーナー。

「危機管理能力」のハードルが少し低くなる。

同じ人間同士なのに危機管理能力が働くっていうのも、人間は面白い構造をしているなと思いますが、どこかで意識していて「安心かどうか」を見極めしている。
これは日本人同士でも。
言葉が通じれば会話をすれば良いし、言葉が通じなければ微笑めばいいし、挨拶すれば良い。

結局、そこからじゃないとスタート出来ないんだな……

この映画の程良い距離感がとても心地よい。

フィンランド語を話せるサチエは「tervetuloa」
フィンランド語が話せないみどりとまさこは「いらっしゃい」

最後にサチエの一言。
「何が何でも日本である必要ないかな?」
人と繋がるということは、自我との戦いでもあるのかも。

アマゾンプライム会員の方は無料で視聴出来ます。



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