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今日のうんち

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食べたら、でるもの。なにかを食べては、今日も出す。 2018年4月16日よりまいにち更新される、白川烈が書くエッセイです。 クサいときもあるかもしれませんが、それはご愛嬌で。… もっと読む
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2022年9月の記事一覧

四十にして惑わず。

*孟子はこう申した。「孔子ならこうした。荘子ならそうした。同志よ、どうした?」

なんてギャグはどうでもいいのですが、孔子さんの「論語」ちゅうやつの有名な一節を思い出したんですよね。

「吾十有五にして学に志し(志学)、三十にして立ち(而立)、四十にして惑わず(不惑)、五十にして天命を知る(知命)。 六十にして耳順い、七十にして心の欲する所に従いて矩を踰えず」とあるそうな。こう見てみると、なかなか

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楽しめる集団。

*去年の夏ぐらいからかな、うちに大量にあるボードゲームを使って、知り合いのお店で月に一度、会を開くようになった。毎月、ぼくはボードゲームの入った重い荷物を抱えて、来るお客さんたちにゲームの説明をしながら一緒に楽しむ。報酬をもらわないことにしたので、ある程度好き勝手やらせてもらっているのもあるし、何よりぼくが好きなもんだから、なんだかんだ毎月続けているイベントなんですよね。

で、約1年間ぐらい続け

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芸事って受動的なのかも?

*きのうは、先日イベントにも出てもらった落語家の九ノ一さんと飲んでいた。途中でミュージシャンの方も合流したり、プロのDJの方も合流したりして、みんなして「落語」を中心に、それぞれやっていることやポイント、みたいなことを話していく、それはそれはいい時間だった。ぜんぜん違う職業でも、共通点ってけっこうあるものなんですよね。

中でも、きのうの話でいちばん面白かったのは「落語って、ほんとうにお客さんあり

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誰もがA面とB面を持っている。

*引越しを控えていて、荷物の整理をしていたらおびただしい数の本があることに気付いた。整理してみると、6畳ほどの部屋の半分が本で埋まってしまっている。読書家なわけでもないが、読んだ本をなかなか捨てられず、溜めていたらこんなことになっていた。引っ越しを機に、手元に置いておきたい本と売ってもいいかなという本を整理し、ブックオフに行ってきた。

量が量なので、けっこうな待ち時間ができる。そのあいだ、久しぶ

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「重さ」という単位が司るもの。

*「最大でいくらぐらいのお金を手に持ったことがあるか」という話で、盛り上がっていた。「手に入れた」といった貯金残高の話ではなく「手に持った」というわけだ。これなら、たとえ貯金が100円の人だって、3億円を泥棒したことがあれば「3億円」という回答になる。逆に、貯金が数百億兆マン円あるような大富豪でも、カードで支払いをしている人なら「数万円」という回答になるかもしれない。

たいていの人が「十~百万円

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キレイなワタシでいられない。

*久しぶりに銭湯へ行ったら「あかすり」という文言を見て、懐かしいなぁと思った。きょうび、あかすりなんて見かけることは少ない。小さい頃は銭湯に行けばどこにでもあったし、ぼくもしてもらったことはある。ゴシゴシやられて、「垢」がたくさん出るんだよねー。

アカスリされるのは苦手だったけれど、終わってから出た「垢」のかたまりを見て、喜んだことがあったっけなぁ。驚いてもいたよ、こんなに汚かったのか!というか

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新しいという価値。

*「新しい」という価値観は、なんとも面白いものだなぁと思う。新しい車、新しい家電、新しい情報、新しい機械、新しいあたし…きっとほとんどの人が「どうせ買うなら新しいものがいい」と思うでしょうね。もちろんぼくも、そりゃ新しいもののほうがいい。ただ、どうして「新しいのがいい」のか?をよくよく考えてみると、いろんなことが分かる。

どうして「新しい」がいいか。それは、「新しい」ことが、最新鋭で、今までにな

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回転寿司という「広告」。

*「回転寿司」を思いついた人は、どんな人だったんだろう。どんなきっかけで、寿司を回転させるなんて手法を思いついたのだろうか。正確に言えば、寿司は回転していない。下に敷かれてあるレールが回っているだけで、寿司はそれに載せられて、食べにきているお客さんの周りを移動しているだけだ。どちらかというと、「回転させられている寿司」に近い。

回転寿司ができる前は(もちろん、今でもあるけれど)、カウンターに座っ

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うそを書く言い訳。

*打ち合わせの合間に、初めて入る喫茶店で小一時間、手帳の空いたスペースを埋める時間を取っていた。ぼくが使っているのは、ほぼ日さんの五年手帳で、サイズはA5、見開き1ページで五年分の「今日」が書ける仕様になっている。左のページに5分割された2022年~2026年までの「今日」があり、右ページはおおきな空白だ。左のページにはその日考えたことや思ったこと、出来事を書くようにしていて、右ページにはぼくの好

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紙とペンの代わりにこの場所で。

*こうしてまいにち文章を書いているけれど、書いていることのほとんどを憶えているわけじゃない。もちろん、「あ、これこの前書いたなぁ」とか「同じようなこと、最近書いたぞ」といった、進研ゼミで出てきたぞ!みたいなことは、日常に多くある。自分で出した答えも、道のりも、それなりに憶えていることもある。でも、きっとたいていのことは忘れてしまっているので、またイチから考え直したり、思い出したあたりからまた歩き始

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ヘンテコな樹みたいな人たち。

家を出て、少し歩いたところに隣の家の塀がある。塀からは、松の木をはじめ、いろんな植物たちがひょっこりと顔を出していて、庭先には何種類か樹があるようだった。そのなかでも、何という種類の樹か分からないけれど、途中までまっすぐ伸びていたが、屋根やら塀やらの障害物があるからか、くねくねと方向転換して、ヘンテコな形に伸びていった樹がある。ぼくは、なんだかその樹が好きなのだ。

こういう人間を、ぼくは知ってい

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日本のイメージ。

*きのう観たハリウッド映画が、もう、とんでもなかった。ぼくの好きな伊坂幸太郎さんが原作の映画で、舞台は日本の新幹線。東京ー京都間で繰り広げられる、殺し屋同士のサスペンスミステリー。ぼくは原作も読んでいるので、いったいどんな映画になったんだろうと期待と不安を抱えて行ったら、いろんな意味でおもしろく、アタリでありハズレのような、変な映画だった。

主演のブラッドピッドほか、様々なハリウッドスターが出演

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月、かもしれない。

*きのう、夜中に家の周りを散歩をしていて、ひととおりぐるりと歩き回ったので、家の前の段差に腰を下ろし、タバコを吸っていた。目の前にある家の塀からは庭先の樹がひょこんと顔を出していて、その上に電線、また向こう側の家が見えて、空がある。空には半月とも満月とも言えない、おおっぷりな月が出ていた。なんだかその、縦に広がる景色が良くって、ポケットに入れていたスマホを取り出し、縦にしたまま写真を撮った。

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ぼくにしかできないこと、なんてあるっけ?

*いま思えば、「ぼくにしかできないこと」なんて、これまでの人生でやってこなかったんじゃないかな、と思います。まだ二十七歳、前の方がまだまだ長いだろうけれど、きっとこれからも「これはぼくにしかできませんよ」なんてことは、やらないんじゃないかなぁ。というより、できないんじゃないかなぁ。

特別な才能があるわけじゃないし、人よりめっぽう優れているところがあるわけじゃない。拙い取り柄といえば、たいていのこ

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