回転寿司という「広告」。

*「回転寿司」を思いついた人は、どんな人だったんだろう。どんなきっかけで、寿司を回転させるなんて手法を思いついたのだろうか。正確に言えば、寿司は回転していない。下に敷かれてあるレールが回っているだけで、寿司はそれに載せられて、食べにきているお客さんの周りを移動しているだけだ。どちらかというと、「回転させられている寿司」に近い。

回転寿司ができる前は(もちろん、今でもあるけれど)、カウンターに座って、ネタを頼むというスタイルの寿司しかなかったんだろうね。いわゆる(?)「非・回転寿司」だ。「不・回転寿司」でも「否・回転寿司」でも「未・回転寿司」でもいい。それまでは、注文をして、大将が握って出てくるまでは、どんなものか分からない、という状態だったわけだ。

あ、とここで思いついた。「回転寿司」というシステムは、ひとつの「広告」なんじゃないか。デパ地下である「試食」なんかに近い。食べること以上に、料理するとこうなりますよ、という見た目や香り、出来上がったときのイメージをお客さんに見せているのだ。

プラモデルで考えたってそうだ。完成品のイメージが必ずパッケージに写っている。そりゃそうだ、組み立ててみないと何ができるか分からないプラモデルなんて、誰も買うはずがない。そう思うと、回転寿司は「出来上がった状態」をお客さんに見てもらって、美味しそうなら手に取ったり注文してもらうための、ひとつの「広告システム」なんじゃないだろうか。

お客さんを広告が見える場所へと案内して、あとは回転するレールが、商品を載せて勝手に広告してくれる。メニューで見かけてもそそられなかったネタや、見落していたネタが、いざレーンで目の前に来ると、美味しそうだと思って食べてしまう。気に入ったら再度注文するだろうし、気に入らなかったら別のものを頼めばいいだけだ。そう考えると、なかなか面白いシステムだと思うんだよなぁ。いったい、どんな人が考えて、思いついたのだろう?


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?