誰もがA面とB面を持っている。

*引越しを控えていて、荷物の整理をしていたらおびただしい数の本があることに気付いた。整理してみると、6畳ほどの部屋の半分が本で埋まってしまっている。読書家なわけでもないが、読んだ本をなかなか捨てられず、溜めていたらこんなことになっていた。引っ越しを機に、手元に置いておきたい本と売ってもいいかなという本を整理し、ブックオフに行ってきた。

量が量なので、けっこうな待ち時間ができる。そのあいだ、久しぶりに来たブックオフの店内をさんぽしていた。懐かしいCDたちを手に取っては入っている曲名を見て、脳内再生を繰り返す。シングルだと「A面」「B面」と2曲が入っているのを見て、これはなんだか、人間にも言えることなんじゃないかと思う。

人はみんな「A面」で出会う。けれど、SNSだったり、知り合いのいない場だったりすると、自分の「B面」のまま会話できるような出会いがある。本棚で言うと、手前がA面で、奥に隠してあるのが「B面」だ。

どっちが本当の自分かじゃなくて、どっちも本当の自分なんだと思う。「あの人は、裏表あるからね」という会話を耳にするたびに「じゃあ、アンタにはないのかよ」とツッコミたくなる。裏表なんてあって当たり前だ、人間なんだから。誰しもに、人にはそう簡単に見せたくない、知られたくない「B面」がある。そのB面だって、自分の愛すべき一部だ。

A面もB面もある自分。使い分けて人と話したり、仲を深めたりする。境界線をなくすことが本当にいいことなのかどうかは分からない。けれど、無理してAとBとを同じ盤面にしてしまおうとしなくてもいいんじゃないかなぁ。ぼくなんかは、たくさんの「B面」を持っておきたいなと思うくらいだし。

いろんな人の「B面」を知っていきたいなぁと思う。それには関係性も大事だし、出会い方だって大事だ。いきなり誰もがB面を聞かせてくれるとは思わない。だからこそ、聞きたいわけでもあるんだけど。A面をたっぷり味わったあと、流しっぱにしていたB面の曲に、おおおって唸ってしまうことって、あるよねー。


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