「重さ」という単位が司るもの。

*「最大でいくらぐらいのお金を手に持ったことがあるか」という話で、盛り上がっていた。「手に入れた」といった貯金残高の話ではなく「手に持った」というわけだ。これなら、たとえ貯金が100円の人だって、3億円を泥棒したことがあれば「3億円」という回答になる。逆に、貯金が数百億兆マン円あるような大富豪でも、カードで支払いをしている人なら「数万円」という回答になるかもしれない。

たいていの人が「十~百万円」のあいだぐらいの数字に落ち着いた。かくいうぼくも、プロジェクトの合計金額を銀行に移すときに持った「200万円」が限界だった。あのときは、相当にドキドキしたものだった。友人とふたりで、200万円という札束2本を抱えながら、みょうに辺りを見渡したり、逆に堂々と歩いてみたりして、銀行までの数十メートルを歩いた記憶がある。

その中でも一番大きい人は「一千万円」だった。札束10本を小さなケースに入れて持ち運んだそうだ。重さにしてどれくらいだろう?と考えてみると、一万円札が一枚1グラムとのことなので、一千万円だとちょうど1キロになる。あくまで重さで言ってしまえば、たったの1キロだ。スーパーで何日か分の食材を買い込んだら、同じくらいの重さになってしまうほどだ。ちなみに、世界一のベンチプレス記録が335キロなので、35億円をその人は一気に持ち上げると思ったらすごい。もちろん、目にしたことはないけれど。

この質問は「重さ」なので、電子的な数字だと意味をなさない。預金残高や、銀行に預けてあるお金から振り込みをすれば、1兆円だろうが100円だろうが、ゼログラムだ。しかし、数字という理屈の上では、同じ金額なのである。でも、実際に1兆円を手にして振り込みに行くのと、数字で見るのとでは扱い方は変わってくるだろうな。

高そうなツボだって、それなりに軽かったら、あれ?と思ってしまうでしょう。「重さ」ってのは、ひとつの「高級」を司る感覚なんだろうな。それは「金(きん)」からきてるんじゃない?って言われそうだけど、きっとほとんどの人が、重いぐらいの金(きん)を持ったことなんかないのにねー。


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