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今日のうんち

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食べたら、でるもの。なにかを食べては、今日も出す。 2018年4月16日よりまいにち更新される、白川烈が書くエッセイです。 クサいときもあるかもしれませんが、それはご愛嬌で。… もっと読む
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2022年4月の記事一覧

神社で最初にすることは?

*二ヶ月ほど前にお亡くなりになられた、石川和広さんという詩人の方の、遺作となる詩集の編集にあたらせてもらっている。ほんとうにひょんなご縁から、詩の選定と文章を寄稿することになった。ぼくは、詩を書いた当人の石川さんとは、お会いしたことがない。渡された500以上もある作品から、彼のことを少しずつ知っていく。

ちょうど今日、はじめて石川さんにお線香を上げさせてもらった。どこかのタイミングでご挨拶をさせ

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感情を思い出すために

*さいきん、手帳に書き残しておく出来事や考え、思いのようなものの取り扱い方が、自分の中ですこし変わってきた。いや、正式に言えば、変えた、んだけど。いや、もっと正式に言えば、書く言葉自体はそこまで変わっていないのかもしれない。ただ、それを書くときに、「見返したとき」の捉え方が変わったというかね。

きっかけは、ぼくが毎回聴いている、AV監督の二村ヒトシさんと、作家の燃え殻さんのラジオ「夜のまたたび」

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宇宙は永遠に無限に広がっている?

*「やり方は無数にあるよ」とか「永遠にやってられるね」とか、そういう言葉を聞いたり見たりするたびに、人は「無限」や「永遠」なんていう言葉が好きなんだろうなぁと思う。限りがない、つまり数えることが意味をなさないことや、終わりのない延々と続く時間。そういう表現が好きなものなんだなぁと思うのだけど、「無限」や「永遠」なんてものは、きっと本当は存在しないはずなのだ。

夢のないようなことを言ってしまうけれ

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酔っ払って書き残したメモより

*ぼくは毎日手帳をつけているので、基本的にどこへ行くときも、カバンの中に手帳を忍ばせている。酒場で飲んだり、友人とお茶をしたり、どこかへお出かけしたりして感じたことや書き残しておきたい言葉、おぼえておきたい感情、忘れたくない出来事を、手帳のその日のページに書き残している。その場で速記として書き残すこともあれば、何日か経った後にいつの日か忘れたけれど、適当に空いているスペースに書き込むこともある。

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自分という樹を剪定するのは、自分である。

*先日、打ち合わせをしていた後輩が「ついつい人に合わせてしまうんですよね」と、打ち合わせがひと段落ついた頃にコーヒーを啜りながら、最近の悩みを吐露していた。ぼくは「人に合わせない人よりよっぽどマシだけど、人に合わせてばかりってのも自分に責任がない人みたいで怖いよな」と、なかば真面目に返してしまった。

「人に合わせる」ということは、なにもわるいことじゃない。合わせることができないと、わがままばかり

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「ラブレター」を「企画」として。

*とくに仕事でもなく、遊びでやる予定もなく、ただただ漠然と「おもしろい企画を思いつかないもんかなぁ」とぼーっと考えていたところ、ちょっとおもしろそうなことを思いついた。「こんなお客さんに来てほしいね」というのをもっと具体的に落とし込んで、その人たちに向けてラブレターを本気で書いたなら、ほとんどの人は足を運んでくれそうなものじゃなかろうか?

いわゆる、「ラブレター」を、「企画」として出来ないだろう

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答えは何も、分からなくたっていい。

*もう4年くらい前のことだけれど、ふと、分かったことがあった。あのときの違和感、もやもやが、なぜか今、合点がいって晴れたのだ。あれは駅ビルの地下で、友人たちと飲んでいるときのことだった。たしか音楽家と、画家と、ぼくの3人で飲んでいたところに、もうひとり誰かがたまたまやってきたんだっけな。

話の内容もおぼえている。どんなルートでそこにたどり着いたのかは分からないが「五大元素」の話をしていたんだ。世

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努力の奴隷をやめてみる。

*ぼくはよく、飲み会や食事での大人数でのおしゃべりのときに、自分が考えたゲームを試してみたり、へんてこな質問をぶつけてみんなで考えてみたりといったことをするんだけど、この前酒場で、若い子から言われたんだよね。「どうしたらそんなにゲームや質問を考えられるようになるんですか?」と。

それに対して「自分が好きだから、空き時間や暇なときにぼーっと考えてるだけだよ」と返した。すると「どれくらい考えたらでき

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プレゼンテーションよりも。

*ありとあらゆる場所の、ありとあらゆる方向から、ありとあらゆる媒体を使って、「広告」が飛んでくる世の中になった。ビルを見上げれば大きな看板に「おいしい!〇〇」なんてのがでかでかとあって、電車の中には「楽しい旅行、〇〇」みたいな広告が貼られている。スーパーに行けば「今日は〇〇がお買い得です」といった耳から入るタイプの広告が流れていて、ありとあらゆる手段で、ありとあらゆる方向からぼくたちは広告を受けて

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他人はいつだって、好き勝手

*つい先日、仲良くしている友人夫婦のところに、お子さんが生まれた。生まれた深夜に連絡をもらって、無事でよかったという安堵と、おめでとうというお祝いの気持ちが一緒に湧いてくる。仲良しの友人が、お父さんと、お母さんになる。ぼくはまだその顔を見たことがないけれど、きっとこれから、その子を通して「お父さん」と「お母さん」の友人を垣間見るのだろうな、なんて想像もする。

ちょうど生まれた3日後くらいに、お父

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「型」から入ってみること。

*なにかどこかで読んだ話で、日本の特徴は「型」というものが存在していることだ、というのを見た記憶がある。格闘技しかり、日本舞踊しかり、歌舞伎や落語といったものもしかり、「型」というものがある。まずはこの「型」をおぼえるところから始めるというのが、日本の特徴だといった文章だった気がする。うろおぼえで、ごめんなちゃいだけど。

「型」から入っても意味がない、という人もいるだろうが、ぼくはそうとは思わな

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お金のためだけに働いているわけじゃない。

*抱えている仕事の数がどんどん増えてきて、どうにもこうにも首が回らなくなってしまった。管理する側のプロジェクトもあれば、管理もしながら一部を担当しているプロジェクトもあったり、ライティングだけやデザインを担当しているプロジェクトがあったりと混在していて、頭を切り替えるだけでも時間がかかってしまう。古いコンピューターを起動させたときのような音が響いて、それくらいの時間がかかる。案件数と売り上げが比例

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口がほぐれますよ。

*柳家喬太郎さんの落語を聴きながら電車に揺られていた。たぶん、古典落語じゃなくて、創作落語だったかな。話の途中で落ち着いた口調の人物が「いやねえ、賑やかなふたりを見ていると、私も口がほぐれますよ」と言っていた。この「口がほぐれますよ」という初めて聴く表現に、こころからいいなぁと思う。「口がほぐれる」って、いい表現だ。固まっていたり塞いでいた口が、ほぐれて柔らかくなっていくのがなんだか見ているように

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お守りと神様と人間。

*昔から神様という存在がよく分からなかった。これはきっと、ぼくが韓国籍で、いわゆる日本の風習をそこまで踏襲していなかったことがおおきいと思うのだけれど、神社に行ったりしても手を合わせている人を見て、何に手を合わせているのだろう?と純粋に思っていたし、「神様」と言われても、会ったことも見たこともないから分かんねえよ、なんてことを思っていたし言ってもいたと思う。やーね、イジワルな子どもだよね。

いわ

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