神社で最初にすることは?

*二ヶ月ほど前にお亡くなりになられた、石川和広さんという詩人の方の、遺作となる詩集の編集にあたらせてもらっている。ほんとうにひょんなご縁から、詩の選定と文章を寄稿することになった。ぼくは、詩を書いた当人の石川さんとは、お会いしたことがない。渡された500以上もある作品から、彼のことを少しずつ知っていく。

ちょうど今日、はじめて石川さんにお線香を上げさせてもらった。どこかのタイミングでご挨拶をさせてください、と言っていたのが急に決まってあたふたしてしまっていたので、前日に少し時間を落ち着く時間をとった。ガヤガヤと賑やかな喫茶店でタバコをふかしながら、えんえんと考える。いったい何をお話しすればいいんだろう、僕みたいな知らない人が作品を扱うことについてどう思っているんだろう、お供物とかって何が必要なんだ、格好は...

と、思考の泥沼を抜けれたのは、「死んだ偉人より、生きるバカ」という、誰かの歌詞を思い出したからだった。そうだ、まずはご家族の方にきちんと挨拶をしよう。明るすぎず、でも暗すぎず、しっかり挨拶をしよう。それができたら、石川さんにもちゃんと「はじめまして」と挨拶をしよう。すべてはそれからだし、ぼくが何かを感じたり思ったりするのも、それからだ。...と抜けた頃には、気づけば1時間が経っていた。

自分の言いたいことや思いたいことを先回りして、感じることや思いを合わせていくのは、どこか下品な行為かもしれないと思うようになった。順序が逆なのだ。感じることや想いがあるからこそ、行動ができるはずなんだよね。もちろん、逆から始めて「思い出す」こともアリだとは思うんだけど、それは本来の流れじゃないからね。感じて、思って、考えて、行動したり言葉にしたりがあるはずだ。料理を失敗するひとつの理由は、レシピ通り順序通りやらないからだったりする。

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