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今日のうんち

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食べたら、でるもの。なにかを食べては、今日も出す。 2018年4月16日よりまいにち更新される、白川烈が書くエッセイです。 クサいときもあるかもしれませんが、それはご愛嬌で。… もっと読む
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2022年2月の記事一覧

いいものを見つける人

*ぼくはどうやら、なにか「いいものをつくる」よりも、なにか「いいものを見つける」ことのほうが、得意なようです。ゼロからなにかいいものをつくる才能とやらはそこまでなかったとしても、そうしてつくられた「いいもの」を、たくさん見つけたりすることは得意だ。それがどうしていいのか、なぜいいのかを説明できるし、けっこうジャンルごとにあるよ。焼き芋だったらこれ、海鮮だったらあれ、ボールペンだったらここのがいいよ

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声を上げるより前に

*今日が展示の最終日なのですが、この空気感の中で、展示をつづける意味ってなんなんだろう、と考えました。展示をしていていいのだろうか、展示をみんなにたっぷり楽しんでもらえるのだろうか、知ったようなことは言えないなかで、それなりに考えたり思ったりもします。情勢がどうというより、それを受けたぼくの心が、展示に来てくださいねと心から言えなくなってしまったから、整理をしたり、折り合いをつけようとしたり、少な

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今回は、見て見ぬ振りがむづかしいです

*ぼくたちは、あらゆるものを見て見ぬ振りをして生きている。逆に言えば、この目で見るものを選んでいるということだし、できるだけ目に映らないようにしているものを選んでいるということだ。すべてを見渡せるほど視野が広くないとしても、なんでもかんでも視界に入れて、そのたびに思ったり考えたりしていちゃ、身体も心も持たない。見たいものだけを見て、見たくないものは見ないふりをして生きている。このことは悪でもなんで

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水清ければ魚棲まず

*この前、ちょっと驚いた話があった。知り合いが海洋関係の仕事をしているのだけど、海を「魚が棲みやすくする」プロジェクトを自治体と大手企業と行なっているそうだ。ここでポイントなのが「海を綺麗にする」ではなくて「魚が棲みやすい海にする」というところ。というのも、ぼくも驚いたんだけど、澄み切った綺麗な海っていうのは、実は魚が棲みにくいんだそうだ。

綺麗な海というのは、まっさらで澄み切っていて、沖縄とか

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手を染めたのに足を洗う

*『なにか悪いことをしはじめるときは「手を染める」って言うだろう?でも、その悪いことをやめるときは「足を洗う」って言うよな。悪いことをして染めたのは手なんだから、本当に洗わなきゃいけないのは、足じゃなくて手なんじゃないか!」...と、この前、展示に来てくれた先輩とこんなことを話していた。お説ごもっともである。手を染めたなら、その手を洗わなきゃ意味がない。足を洗っても、なーんの意味がないじゃないか。

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もっといい場を過ごしたい。、

*来月に「場づくり」というテーマである方の授業を企画しているのですが、改めて「場づくり」について考えたり、振り返ったりするいい時間になっている。ぼくも大なり小なり「場」をつくってきたし、「場」が持つ可能性にも興味がある。ただ、ここ最近のぼくは自分のつくる「場」にどこか行き止まりを感じていて、もっといい場ができないものか、と悩んでいたものなんです。

「場」というのは、大小関わらずそれぞれにある。ぼ

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その本を通してわたしを紹介している

*昨年から有志でやっている「塩屋文芸部」、通称「塩文」という部活があります。部長から提出される課題やテーマに沿った文芸作品を、約1週間〜1ヶ月の〆切に合わせて書くという部活です。課題に即してさえいれば、小説やエッセイ、詩など形式は問いません。気付けば塩屋文芸部も先週の課題で第20回を迎え、部員も十数名ほどになりました。これがまた、おもしろい部活なんだよ。

作品を提出した後は「講評」に取り掛かりま

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安土桃山でも夢中になったか?

*むかし、友人とおしゃべりしながら野球の起源について考えていたことがあった。野球のはじまりは、いったいどんなところからだろう?なにかを丸めてひょいっと投げたのを、木の棒かなにかで打つところから始まったんじゃないだろうか。ここまではある種、思いつきやすそうなところではあるけれど、じゃあ、もう少し細かいルールを見ていくと、どのように決まっていったのだろう?

例えば、「ストライク3つで三振(1アウト)

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好きな形容詞を3つ教えてください

*このまえ、お風呂に入りながらふと思いついた質問があった。それが「形容詞の中で、なにが好きですか?」という質問だ。「好きな形容詞を3つあげてください」とかのほうがいいかもしれない。この質問は、なかなかその人をあらわす質問になりえそうだぞ、と湯船に浸かりながらほくほくしていたのだった。

形容詞というのは「あかるい」だとか「きれい」だとか、すべてに当てはまるわけではないですが、簡単に言えば「〜い」で

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ことばとおやつの親和性

*きのうから、神戸で開催されている絵本の原画展後編「こぼれおちる」が始まりました。前編とは展示内容を入れ替えて、これまた影を使った展示になっています。前編から変わらず、今回はギャラリーカフェでの開催になっているので、「おやつ」をご用意しているんですが、この「おやつ」と一緒に展示をしてみるっていうのを、ずーっとやりたかったんですよね。

なにも「おやつ」に限った話ではなく、「食べ物」と「ことば」を一

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わるくないよねえ、これも。

*「幸福度」という指標がある。ことばどおり、どれくらい幸福かどうか、という主観的なものをあらわすものだそうだ。その指標は、「国内総生産(GDP)」「社会保障制度などの社会的支援」「健康寿命」「人生の自由度」「他者への寛容さ」「国への信頼度」といった、6つの項目で決められるらしい。さっと調べただけなので詳しいことは知らないけれど、そんな指標があるんだなぁ、と。

例えばこの「幸福度」ってやつを世界中

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星空を見ながら顔に似合わぬことを

*顔に似合わず、ロマンチックなことを書いてみます。ぼくは、人間や社会の「関係性」というものはぜーんぶ、星空のようなもんだと思うんです。満点の星空を見ながら、これは「星々の関係性」だと思うんですよね。星の位置も、星座も、ひとつひとつが星々の関係性によって生まれているものでしょう。ぼくたちの肉眼で確認できる星だけじゃなく、思いも届かないほどの距離で、たしかに光っている星もあるはずなんです。

近いも遠

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3つのほんとうの自分

*ぼくにはどうしてもおもしろいなぁと思うことがあって、それは「人のセックスは見れない」ことなんですよね。ちょっと極北に近い言い方をしましたが、もっとゆるやかに言うと「恋愛しているときのその人」というのは、その相手しか見れないものなんです。同性でも異性でも、どれだけ仲の良い友人だとしても「パートナーとふたりでいるとき」のことは、知りようがありません。「見たことあるよ!」と言っても、それはあくまで「自

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すくう、こぼれおちる

*今回の原画展のタイトルは「すくう」と「こぼれおちる」にしました。
なにぶん、「て」に関する絵本ですから、手の周りのことばにしたかったのもあります。
漢字で書けば「掬う」「零れ落ちる」となるわけですが、漢字の持つイメージだけに囚われてほしくなかったので、
ひらがなで書きました。もっとおおきな「すくう」と「こぼれおちる」のイメージを、広げたかったんです。

なにかをすくおうとするとき、ぼくたちは両手

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