ことばとおやつの親和性

*きのうから、神戸で開催されている絵本の原画展後編「こぼれおちる」が始まりました。前編とは展示内容を入れ替えて、これまた影を使った展示になっています。前編から変わらず、今回はギャラリーカフェでの開催になっているので、「おやつ」をご用意しているんですが、この「おやつ」と一緒に展示をしてみるっていうのを、ずーっとやりたかったんですよね。

なにも「おやつ」に限った話ではなく、「食べ物」と「ことば」を一緒に味わってもらう、というのはおもしろいと思うんです。というのも、「ことば」も食べるものでしょう?食べるっていうか、取り入れるものでしょう。読んだり、聞いたり、書いたりして、自分の中に取り入れていくもの。ごくごく飲むように入ってくることばもあれば、よく噛んで咀嚼したいなってことばもある。ゆっくり時間をかけて味わいたいって思うことばもあれば、枯れた喉に染み入るようなことばもある。

じつはみんな、ことばを食べているのだ。その証拠に、印象に残っていたり、こころに残っていることばというのが、それぞれひとつくらいはあるでしょう。「あのハンバーグ、もう一度食べたいなぁ」って感じで読み返す小説があったり、疲れた時のビールのように聞き返す一文がある。両者に通ずる「味わう」という行為が、ことばと食べ物を繋げているように思う。

一緒に食べている人の「おいしいね」ということばでおいしさが増すように、ことばと食べ物はものすごく親和性が高いんじゃないかなぁ。食べ物を味わったあとに読むことばが、いつもより染み入ったり、ことばが前にあって食べたら、よりおいしく感じたり、なんてすることがもっともっとあるように思う。

「いただきます」だって、行為であり、ことばだよ。「ごちそうさま」だって、行為であり、ことばだよ。この可能性は、ぼくはきっと人生を通して追求していきたいし、知らず知らずのうちにやっていくんだろうなぁ。みーんなで「いただきます」をして食べるご飯って、いつもよりちょっとだけおいしい気がしない?


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