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今日のうんち

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食べたら、でるもの。なにかを食べては、今日も出す。 2018年4月16日よりまいにち更新される、白川烈が書くエッセイです。 クサいときもあるかもしれませんが、それはご愛嬌で。… もっと読む
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2021年8月の記事一覧

躊躇というゼロゼロ八秒が。

*「ためらい」ということばがあります。「躊躇」と書いて、「ちゅうちょ」とも「ためらい」とも読んだりするね。辞書を引いてみると「決めかねてぐずぐずしていること」とある。しかし、ぼくの「躊躇」のイメージはもっと瞬間的なものだ。左と右に分かれている道の真ん前でうんうん悩んでいるというより、もっと瞬間的に起こるもの。美味しそうな料理を口に運んだとき、よくよくみてみれば自分のきらいな食材が紛れていた感じ?そ

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ほんとうのとこ、ほんとうのこと

*

ほんとうは やさしくしたいのだ。
ほんとうは やさしくいたいのだ。
ほんとうは 愛したいし、
ほんとうは たくさん愛されたいのだ。
愛されてこなかったから、
もしくは愛してもらったから
だからほんとうは やさしくしたいし、愛したいのだ。
つめたくするんじゃなくて。

ほんとうは 責めたいわけじゃないのだ。
ほんとうは ゆるしてもらいたいのだ。
ほんとうは ゆるしたいのだ。
誰を?

じぶんは

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かき氷を食べてない夏。

*そういえば、今年の夏はまだ一度も「かき氷」を食べていないことに気付いた。いや、べつに毎年意識して「夏だからかき氷を食べよう!」とかやってるわけじゃないんだけどね。むしろ意識的に食べることはほぼない。海や縁日に遊びに行った際にかき氷屋さんがあって気分が乗ったなら、食べるくらいだ。ひとりでわざわざかき氷を食べに出かけるなんてことは、きっとぼくの今までの人生で一度もない。一度もないってのも、なかなか不

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良い仕事ってのは。

*10月に出版する絵本について、ちょうど先日、あるお願いをしていた友人から連絡が来た。何を隠そう、ぼくの自慢の友人でね。よく一緒にイベントをやったり、遊んだり、話をしたりするのだけど、今回はきちんと仕事として、絵本についての「あること」をお願いしたのだった。それが、ちょうどできたというのだ。

出来上がったものをすぐにひらいて、触れる。これがもう、とーんでもなくよかったんだよ。うれしくって、たまん

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擦り切れない思い。

*ぼくは根っからの気にしいで、考えなくていいこともぐるぐる考えちゃうような人だから、心が囚われるような出来事が起きたとき、ずーっと考えてしまう。2年ほど前、ある芸能人の方にたまたま怒られたときもそうだった。どっちが悪いとかそういうのを通り越して、いろんなところまで考えを巡らせては落ち込んでしまう。そういうことが、気にしいで考えすぎのぼくにはよくあることなのだ。

こういうとき「考えすぎはよくないよ

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取り柄がないと思うこと。

*甲子園を未だに直視できないぼくだけれど、それでもやっぱり、甲子園がテレビで流れていたり、ニュースが流れてきたりすると目で追ってしまう。ぼくが高校球児だった、というのもあるだろうけど、甲子園を好きな人たちはなにも、高校球児だった人たちだけじゃない。家族や知人に高校球児がいない人でも、甲子園という魅力に引っ張られて見ている人はゴマンといるだろう。そこまでさせる甲子園の魅力はやっぱり、いくら考えてみて

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ピロートークな男。

*きょうはちょっと、やらしい話をするよ。やましい話でも、いやらしい話でもなく、やらしい話だぜ。よいこのみんなはこのへんで一旦回れ右していただいて、ママの手料理を食べるんだな。きょうは、きっとおまえの好物だぞ。

「ピロートーク」ってのがあるでしょう。いわば、情事の後にふたりで寝転びながらする会話のことだ。ま、ふたりでも三人でも、ふたりと一匹でもいいんだけどさ。コトが終わった後に、余韻に浸りながら相

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うそをつかせたのは、ぼくだった。

*さいきん、うそをつかれたことがあった。いや、ぼくが気付いていないだけのウソもたくさんあるだろうけれど、そのときはたまたま、それが「うそ」だと知っていた。その「うそ」を相手から言われたとき、ぼくがはじめに思ったのは「うそをつかれた」ではなかった。「うそをつかせてしまった」と、そのときのぼくは思った。

うそをつくことが悪いとか、やさしいうそならいいとか、そういう話をしたいわけじゃない。ぼくはそのと

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辞世の句

*先日、マイ地蔵からおもしろい連絡が届いた。「烈は辞世の句って考えてたりする?」おお、辞世の句ですか。辞世の句を改めて調べてみると「死を前にしてこの世に書き残された詩的な短文のこと」とある。つまり、死ぬ前に言い残す詩のようなものだろう。遺言とちがうのは、誰に向けて放たれたものでも、目的があるわけでもないことばというところかな。

「考えてません。し、辞世の句を事前に考えておくってのも、なんだかヘン

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ルソーは絵が下手だった?

*「ルソー」という、有名な画家がいる。あのピカソが影響を受けたほどの、フランスの有名な画家だ。きのう、タモリ倶楽部などにもよく出ている山田五郎さんがルソーの絵を解説する映像を見ていて、それがなんともおもしろかった。実はあの有名画家ルソーは、絵が下手だったんじゃないか?という一説でね。

ルソーの絵をよくよく見ていくと、人物画は足が浮いているように描かれていたり、遠近感がおかしかったり、透視図法の描

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朝の勤行

*きのうから、奈良県吉野町へ来ています。満開の桜や紅葉で有名な、吉野山ね。ちょうど今日は修験道の本山である、吉野山金峯山寺の朝のお勤めにも参加してみました。なんだかんだお寺や教会の関係者の方のところへ宿泊させてもらう機会が多い人生だから、こういう朝のお勤めみたいなのは慣れてたりするもんです。ま、修験道のは初めてだったけど。

朝6時に旅館を出て、半ごろから本堂でお勤めが始まる。十五名にも満たない人

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腹の立て方のちがい

*友人と話していて、その腹の立ち方はなんとも女性的だなぁと思った話があった。その友人が男性とデートをしていて、それはなんとも星が綺麗な夜だったそうだ。その友人は四国の田舎育ちなもんだから、星とか花はお手の物で、「あれが夏の大三角、その隣にあるのが〜」なんて話をしていたんだって。そこで男性が「そんなことも知ってるんだね」と、まあ普通な一言を漏らしたそうな。で、その友人はその一言に腹を立てたんだと。

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ことばにするは、アンカーだ。

*おととい、「ことばは自分から出るものだけれど、根っこをたどっていくと誰かの存在を感じることがある」と書きました。このことについて、もうすこし書けそうだったから、書き残しておこうかな。

ぼくはたまたま言葉にするお仕事をしているから、言葉にする役割なんです。誰かに「こういうことを書いて欲しい」とお願いされることもありますし、自分で「こういうことを書こう」と思って、ことばを絞り出したり、ふわふわと綴

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「書き手」である前に。

*ぼくはたまたま「書き手」という職業についていますが、ぼくは「書き手」である前に、だれかの「聴き手」であり、「読み手」であり、「受け手」です。こうして毎日書いてばかりいると、書き手としてのじぶんみたいなものがにょきにょきっと伸びてくるのですが、書き手としてのじぶんに、日光や水といった養分を与えてるのは、「受け手」であるじぶんなんですな。「受け手」であるじぶんが、「書き手」のじぶんを育てている。

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