良い仕事ってのは。

*10月に出版する絵本について、ちょうど先日、あるお願いをしていた友人から連絡が来た。何を隠そう、ぼくの自慢の友人でね。よく一緒にイベントをやったり、遊んだり、話をしたりするのだけど、今回はきちんと仕事として、絵本についての「あること」をお願いしたのだった。それが、ちょうどできたというのだ。

出来上がったものをすぐにひらいて、触れる。これがもう、とーんでもなくよかったんだよ。うれしくって、たまんなかった。もうね、おおげさに言ってしまえば、今までの自分の人生がちょっとだけ肯定された気がしたんだよ。どうしようもないことや、後悔することもそれなりに多いけれど、ふらふらになりながらも今の道を歩いてきてよかったって、そう思えた。なんだか酔っているみたいな文章だけど、時刻はまだ昼過ぎだ。

たまたまその友人も作り手で、ぼくも作り手の端くれなもんだから、お互いにお互いの作品をよく目にする。そのときぼくはいつも「この人と友人じゃなかったとしても、良いと感じるだろうか?」と自分に問いかける。なにも斜に構えているわけじゃない。「友人」というフィルターを取っ払って、できるだけ誠実にまっすぐに、その友人がつくったものに触れたいのだ。しかし、今回のはあきらめた。ぼくの自慢の友人が作るから素晴らしいものができたんだと、心から思えるほど良いものだった。

そんな良いものをつくってくれた友人に、こころから「ありがとう」と連絡をした。すると友人も「素敵な作品に携わらせてくれて、本当に嬉しいです」と連絡があった。ああ、いいなぁ。「良い仕事」ってのは、頼む方も、頼まれる方も、「ありがとう」って思うんだな。改めて、その友人はほんとうに「良い仕事」をしてくれたと思う。そこに上下関係も、どっちがお金を払っているからとかもない。ただ、お互いに「ありがとう」と思えている。そのことが、なんともうれしくってねー。ぼく自身も「そういう仕事」をしていたいし、「そういう仕事」を気持ちよくしてもらえる人で在りたいもんだ。


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