32.私はどんな仕事がしたかったのか?②

最初にイベントや企画に対して感じていた「やりたい」をもっと突き詰めて考えていたらよかったな、と思う。
「イベントやりたい」ではなく、「どんなイベントがやりたいのか」「イベントを通して何を実現したいのか」ということまで考えることができていたら。

私は表面的な「イベントやりたい」に縛られすぎて、自分が何になりたいのか全くわからなくなってしまっていた。だからイベント業界にさえいれば自分の夢は叶っていて、幸せなのだと錯覚したのだ。その錯覚は、やがて自分を納得させるための都合のいい言い訳になり、幸せの判断基準を狂わせた。

自分が作るものに人が集まること。
自分が素敵だと思ったものに人が共感してくれること。
自分が作ったものに人がお金を払ってくれること。
自分のことを好きでいてくれる人が周りに増えて居場所ができること。

高校生の時にイベントをやって幸せだった理由は、多分こんな感じだったんだと思う。別にイベントじゃなくてもよかったじゃん、と今は思う。

私は本来とても自分本位な人間で、「周りの人が幸せだったら私も幸せ」と言えるような献身的な心はあまりない。会社のために働くことさえ、ちょっと虚しさを覚えているところもあったくらいだ。だから、違和感はたくさんあった。「売らなきゃいけない」「あの人が言ってるから理由は分からないけどやらなきゃいけない」そんな言葉が交わされる度に、自由じゃないなと感じていた。

それなのに一生懸命押し殺そうとしていた。大人になるってそういうことだと思っていたから。私はそこそこ「できる」人間で、ちゃんと好きな業界で好きな仕事をしている。そうやって周りから見られたかった。そこから外れていく自分が想像もつかなかった。

だけど流されていく日々に、ひやりとした焦りを感じたことはある。それは、「好きなもの」が分からなくなってきたときだった。

音楽が好きだった。大好きなミュージシャンがたくさんいた。
黒くて耽美的な服が好きだった。好きなブランドの服を無理して買った。

そんな自分の根幹にあったはずの一つ一つが、仕事をすることによって薄れていっていると感じたのだ。価値観が変わって新しいものが好きになったのではなく、ただただ純粋に薄れていく。

この行き着く先はどこなんだろう。私は私じゃなくなって、社会人になるのか。

震えるほど恐ろしいことだった。だけどその恐怖さえ、薄れていく日々だった。

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