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人間の感情は水と似ている。【はちとごインタビュー#2】


はちとごインタビューとは?

茨城大学の近くに「はちとご」という住み開きシェアハウスがあります。住み開きとは、家屋の一部を地域に開放すること。「はなれ」と呼ばれる空間がコミュティスペースになっており、大学生に限らず、子どもから大人までたくさんの地域の人が立ち寄る場所になっています。

はちとごインタビューとは、シェアハウスに住んでいる住人を含め、これまでにはちとごに関わってくれた人を対象に取材をし、はちとごの実態や魅力を発信していく企画です。



本日のインタビュイー

ふじの さき
横浜在住のイラストレーター&画家。移動カフェ「ちょこんと。」の店主。現在はコワーキングスペース「PILE」に勤務している。


「波紋が広がっていくように」


――実ははちとごの誕生のきっかけはさきさんだとお聞きしたんですが、本当ですか?

水戸に住んでいたのは3年間くらいだったのですが、カフェをやる場所を、ずっと探していて。ちょうどその頃、はやぶさくん(はちとごの管理人)と知り合って、「あさみと」に誘ってもらって、その会場だった「mahaloco」を知ることになりました。

そのなかで、「mahaloco」でカフェをやりませんかという話になり、週に一度間借りでカフェをやることになったんです。でも、また旦那さんの転勤で引っ越すことになってしまって……。


――え、また転勤⁉

そうなんです。「mahaloco」でカフェを始めて3カ月くらい経った頃、旦那さんの転勤で横浜に引っ越すことになっちゃったんです。まだ始まったばかりだったし、もっとこの場所でカフェをやりたくて。そこで、カフェの活動をしながら水戸と横浜で二拠点生活したいなあと思うようになったんです。

そんな話をはやぶさくんにもしていて、「シェアハウスだったら一緒に住めるじゃん!」と言われました。

はやぶさくんがちょうど場づくりの挑戦を始めようとしていたときだったし、家の更新があったし、私の引っ越しがあったし、いろんなタイミングが重なって今しかないってなったんですよね。


――それが「はちとご」誕生のきっかけだったんですね。

そうです。そこから物件を探すことになりました。

その頃に「シェアハウスの名前、『はちとご』にしたいんだよね」ってことをはやぶさくんから言われていたんです。「私、ロゴ書くよ」って言って、ロゴの作成を引き受けました。作成を進めていきながら、リビングで「寒いね」と言って鍋をつついていましたね。


――最初からロゴがあったわけではないんですね。

住んでいくなかで決めていった感じです。私のなかで「はなれ」の印象が強くて、住人がいる「リビング」と人が遊びにくる「はなれ」があって、隔てているけどつながっていることに温かい印象を持ちました。だから、ロゴを温かいオレンジ色にしたんですよね。

住む前につくっていたら、ああいう風にはなっていなかったと思うんですね。実際にローマ字だけの試作品もあったし。



――面白いですね。住んでいくなかでイメージが湧いてきたんですね。ちなみにですが、さきさんは具体的にどのくらいの期間住んでいたんですか?

オープンした2021年の11月から翌年の春、2月か3月くらいまでいましたね。

隔週で3日間泊まる感じだったんですが、横浜での生活が忙しくなってしまったんですよ。今みたいに短期住人の制度がなくて、1人1部屋あてがわれていたんですが、常にいられないのに1部屋をゲットしておくことが、はちとごにとって良くないなと思ったので退去しました。まっきー(現5日住人)っていうニューカマーが現れたので、まっきーに引き渡しました。


――そうだったんですね。そんなはちとごでの暮しのなかで、印象的だったことはありますか?

私ははやぶさくんよりもちょこっとだけ年が上で、はちとごの住人歴史上、一番年が上かもしれません。自分がシェアハウスに暮らすってこともそうだけど、自分と歳が10個も下の子たちと一緒に暮らすなんて人生のなかで起こり得るとは想像もしていなかったから、まずそれが良い時間だったなと思います。


――普通だったらなかなかないですもんね。10歳離れた人と暮らすなんて。

でも、あんまり歳の差を感じず、立場とか肩書とか関係なく、みんなでご飯を食べながら、のんびりしたトークできて心地良かったです。



――はちとご初期の頃って、どんなイベントがあったんですか?

イベントが始まっていったのは、春くらいかな。私がどうしても畑をやりたくて、「ここで畑ができるか大家さんに確認してくれ!」とはやぶさくんに頼んだところから始まりましたね。

だけど、住人じゃなくなって、月に1回くらいしか来れなくなっちゃったので、農家の和田さんとか、まっきーとか協力してくれる人を誘って、私は消えたんですよね(笑)


――言い出しっぺなのに(笑)

たしか「耕す」と「収穫」だけ行きました(笑) 畑は毎日見てこそのものなので、ちゃんといつもいる住人じゃないと世話できないなと学びましたね。



――面白いですね。短い期間だったとはいえ、いろんな気付きや学びがあったと思うんですが、はちとごに関わる前と後とで、自分のなかに変化や成長はありましたか?

「あさみと」に行くようになったきっかけもそうですが、自分の身の回りの職場、家庭以外の人と知り合いになれる機会ってそうそうなくて、なおかつ私は転勤族なので、どこに行っても最初誰も知らない状態から始まるんですよね。違う世代とか、違う立場の人と出逢える環境はそうそう多くありません。

はやぶさくんのつくっている場所って特殊で、住人もいるけど、年上の人もふらっと来るし、学生も来るし、子どもがいるときもあるし、多世代との交流が自分にとって良かったなと思いました。


――そんなはちとごですが、近いうちにお引越しすることになりました。今後のはちとごに期待するものはありますか?

強い熱意ではなくて、「なんとなくやりたい」「なんか行ってみたい」「ちょっと頑張りたい」を許せる場所、小さな決意を応援する場所だったらステキだなと思います。

あとは、私は「現状維持」って言葉をあんまり使わないけど、はちとごに関しては現状維持できることが強みだと思っているんです。もちろん変わっていくんだけれど、烈しい変化ではなくて、波紋が広がっていくようにゆっくりと広がっていってほしいですね。


――「波紋が広がっていくように」、ステキな表現ですね。SNSを拝見していて「水」に関する表現を多用されているように見受けられました。先日の個展の名前も「水のおと、きみのこえ」でしたね。「水」に対して、どのような思いがあるのでしょう。

人間の感情と水はすごい似ているなと思っていて、最近は特に創作のテーマにもなっているんですよね。

長野にいるときは「木」とか「森」がテーマだったんですが、水戸に来てから「水」がテーマになりました。

湖や海が近くにあったし、はちとごの人たちの苦悩や感情の動きを知っていくなかで、自分のなかで響くものがあって、創作のテーマになったんだと思います。そう思うと、水戸とはちとごってすごい!(笑)


――ひとりのアーティストの創作のテーマを変えたわけですからね。それくらい、水戸も、はちとごも、良い刺激をくれる場所なんだと思います。最後に、はやぶささんに一言、お願いできますか?

はやぶさくん、元気かな?

なんだかんだ水戸での恩人なんだよね。水戸で友達いなかったから、はやぶさくんが水戸でできた初めての友達でした。

今後とも、友達として、のんびりゆったりお願いします!


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