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選ばない力

――選ばないことによって、「世界観」や「一貫性」が担保されるんです。


人生は物語。
どうも横山黎です。

作家として本を書いたり、木の家ゲストハウスのマネージャーをしたり、「Dream Dream Dream」という番組でラジオパーソナリティーとして活動したりしています。

今回は「選ばない力を育てる意義」というテーマで話していこうと思います。


🏨他の道を選ばなくてよかった

僕は今日も、木の家ゲストハウスのマネージャーとして一日仕事をしていました。清掃、メールや電話対応、予約サイトの管理などなどです。

この3連休はひたちなか海浜公園で「Lucky Fes」という音楽フェスがあったこともあり、久しぶりにたくさんのゲストに恵まれました。いちばん忙しかったのはやっぱり初日の土曜日で、既に多くの予約を受け付けているのに当日予約も2件入るし、そのうえオーナーの宮田さんは体調を崩して動けずにいたので、判断するのも行動するのも僕ひとりでした。

ただ、5月終わりから6月にかけて宮田さんが世界旅に出かけている3週間の間は僕ひとりで管理していたし、最近も宮田さんは次なる展開のために前橋や宇都宮に出かけて不在の日が多いので、僕ひとりで仕事を回すのも慣れてきたものでした。もちろん結構大変だったけどね(笑)

宮田さんと僕
木の家ゲストハウス1周年パーティー

そんな3連休を乗り越え、予約の波が落ち着いてきたとはいえ、やるべきこともやりたいことも減るわけでなく、むしろ増える一方です。

今は水戸にある宿泊施設8棟以外にも、山形にある最近オープンしたばかりのゲストハウスの運営代行も担っているので、仕事量は日に日に多くなっている状況。来月には前橋、宇都宮で新たに直営のゲストハウスが生まれるだろうから、木の家ゲストハウスの勢いは止まることを知りません。

一連の流れを受け、僕が心から思うことは、この仕事を選んでよかったなということ。僕が職場に求めていたのはお金でも安定でもなく「夢」だったので、木の家ゲストハウスは僕にとってこれ以上ないうってつけの職場といえます。

「この道を選んでよかった」とは、「他の道を選ばなくてよかった」と言い換えることができます。前置きが長くなりましたが、今回は「選ばない」という選択に注目していこうと思います。


🏨「違い」を面白がり続ける

僕は教育学部の学生でした。ちゃんと教職課程を取っていたし、教育実習にも行きました。教員免許は持っているから、今教壇に立とうと思ったら立てるんです。ただ、僕は教員にはなりませんでした。その道を選ばなかったんです。

理由はいくつかあるんですが、そのひとつに「らしくないから」が挙げられます。より自分らしい未来を選ぼうとするならば、教員になるという選択肢を切り捨てた方がいいと判断したんです。

中学、高校時代くらいから「変わってる」と言われ始めました。自分の好きなことを好きと言っているだけなのに、自分のやりたいことをやっているだけなのに、普通ではない、という評価をされることが多くなっていったんです。

別にそれによっていじめられることもなかったし、好く評価してくれる人がたくさんいる環境にいたから特別塞ぎ込むことにはなりませんでした。やがて「人と違うことをしていく」ことに自分のアイデンティティを見出したくらいです。

大学生になってからも「変わり者気質」は健在で、自分で本を出版したり、その手売りを始めたり、プレゼンイベントで一言も話さずにプレゼンしたり、桃太郎について1時間物語るトークイベントを開催したり、とにかく周りの誰もがやらないようなことをやり続けてきました。

このnoteもそう。毎日2000字の記事を書く人なんて周りにひとりもいないんです。

手売りの軌跡
一言も話さずにプレゼン
「BOOK TALK LIVE "桃太郎"」

誰もやっていないからこそ面白いんじゃないか、と謎の理論を持ち出して、とりあえずやってみる。そんなことを繰り返していった先で、誰もやっていなくても自分がとことん面白がっていたら面白い未来が待っていることが分かったんです。

だから、です。誰もやっていないから、僕はこの道を選んだんです。周りが学校の先生になるなか、僕はゲストハウスのマネージャーになったんです。全国探しても、なかなかいないんじゃないかな(笑)


🏨選ばない力

学科の友達に「進路、どうするんだっけ?」と訊かれたことがありました。大学4年が始まった頃は「多分、教員になると思うよ」と答えていたんですが、それを聞いた相手から「れいくんらしくない」と一蹴されることがありました。

逆に、少し時間が経って、ゲストハウスのマネージャーになろうかなと決めた頃、同じ質問をされたとき、「多分、ゲストハウスの管理をすると思う」と答えたら、「なんかよく分からないけど、れいくんらしい」というなんかよく分からない評価をもらったんです。

そのとき、僕はすんなりと理解されるような普通の道を選ぶことは、僕らしくないのだと悟りました。それと同時に、なんかよく分からない、人とは違う道を選ぶことが僕らしさに繋がっているんだなと思ったんですよね。

教員の道を選ばないことが、僕らしい選択なんです。木の家ゲストハウスのマネージャーの道を選ぶことが、僕らしい選択なんです。

木の家ゲストハウスマネージャー

最近は特に、何を選んで、何を選ばずにいるか、という視点で、物事を捉えるようにしています。選ばないという選択も立派な選択で、選ぶスキルよりも実は求められることなのかなと思うんです。

たとえば、今日、今度木の家ゲストハウスを舞台にした謎解きイベントを開催するんですけど、その主催のしゅんちゃんと軽いミーティングをしていたんです。その際、「視覚検査の機械」をもとに謎をつくったと口にしたんです。

前提として、なんでゲストハウスに視覚検査の機械があるのか疑問だと思うんですが、詳しい事情は割愛します(笑) 僕が疑問に感じたのは、「なんで木の家ゲストハウスが舞台に謎解きイベントで、視覚検査の機械をつかった謎をつくるんだよ」ってこと。

病院やメガネ屋さんで謎解きイベントをやるんだったら分かる。むしろ打ってつけの道具だと思うから是非使うべきだと推奨すると思うんですけど、今回は違うじゃないですか。木の家ゲストハウスでやるんです。ゲストハウスなんだから、木、2段ベッド、枕、布団、リビング、交流、BBQ……そういった要素と絡めるべきだと提言しました。

今回の謎解きイベントにおいては、「視覚検査の機械」を選ばないことが正解だと判断しました。選ばないことによって、「世界観」や「一貫性」が担保されるんです。こういうときに、「選ばない力」が役に立っているんです。

「世界観」や「一貫性」を追求するときには特に必要になってくるスキルだと思うので、これからも変わらずに、何を選んで、何を選ばずにいるか、という意識を持ち続けていようと思いました。最後まで読んで下さり、ありがとうございました。

20240715 横山黎



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