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過去の自分に「読点」を打つ

――終止符を打つのではなく、読点を打つ。過去の続きを今生きているという意識は、自分の人生に物語を与えることになります。


人生は物語。
どうも横山黎です。

今回は「過去の自分に『読点』を打つ」というテーマで話していこうと思います。


📚大学生アーティストに取材

最近、僕はいろんな人にインタビューしています。お世話になっている住み開きシェアハウス「はちとご」の本をつくるためです。

住み開きとは、家屋の一部を地域に開放すること。シェアハウスなので複数人がひとつ屋根の下で同居しているわけですが、「はなれ」と呼ばれる空間をコミュニティスペースとして地域に開放しているんです。

大学近くにあるので大学生はさることながら、世代問わず大人も高校生も来ます。いろんな人と交流できるので、自分の価値観を多様化できます。いろんな生き方、考え方を知ることができるんです。



そんなはちとごですが、秋ごろにお引越しをするとのことで、何か思い出をつくりたいと思いました。

僕なんかお邪魔するようになって4ヶ月くらいのペーペーなんですが、それでも思い入れがありすぎる。どうにか残しておきたいという気持ちが湧くほど思い出があるんですよね。ずっと住んでる住人さんからしたらなおさらだろうし、「アルバム」をつくる需要は絶対にある。そう思い、はちとごの本をつくることにしました。

そんなこんなではちとごの界隈にインタビューしているんです。今日は既に3件の取材を終えています。あともう1件、まだインタビューしていない住人さんがいるのでこれからやろうと思っています。

その合間にこの記事を書いているんですが、午前中に取材したのは、大学生でありながら先日フルアルバムをリリースしたアーティスト。はちとごには、ミュージシャンも集まるんです。


📚「読点」

以前からはちとごでよく流れる音楽がありました。それが、今日取材したたいがくんの「読点」という曲です。キャッチ―でエモーショナルなメロディーラインに、飾らない言葉の並んだ歌詞が特徴的なナンバーです。

もちろんはちとごに関する質問もしたんですが、個人的に音楽(特に「読点」)のことを訊きたかったので、あれこれ質問しちゃいました。「読点」にまつわるエピソードが最高だったので紹介しますね。


たいがくんは僕と同じ大学4年生なんですが、僕らは大学1年生のときにコロナが猛威を振るい出した世代です。入学式もコンパも合宿も文化祭もない世代でした。

たいがくんは新しい大学生生活が始まり、地元の友達と離れてしまったことに寂しさを感じました。終わってしまう関係、離れてしまう関係に痛みを感じており、しんどかったそうです。

大学生として楽しむことはあっても、それは寂しさを紛らわすため。その頃に創り始めたのが「読点」だったのです。

2021年の夜、ベッドに横になってすぐ、急にメロディーが降ってきたといいます。飛び起きて、すかさぐギターを手にしました。降ってきたメロディーを忘れないうちに、たいがくんは爪弾きました。

そのときに弾いたメロディーは、完成された「読点」のものとほぼ同じもの。大学生になって引きずっていた寂しさに区切りをつけるための歌ができたのです。

たいがくん自身、大事にしたい考え方が「区切る」ということ。悩みや悲しみにまみれた過去に終止符を打つのではなく、新しい自分を支えてくれる土台にするために区切る。読点を打つ。そんな思いが込められているのです。

だから、苦しみも悲しみも忘れない。いつまでも覚えておいて、新しい自分の肥やしにしていこう。「読点」は、そんな決意を表明する歌なのです。

この記事の最後にMVを載せておくので、是非観てみてください。個人的に、MVもめっちゃ好きなのでおすすめです。
#最近は毎日聴いてる


📚過去の自分に読点を

僕はこの話を聴いて、めちゃくちゃ共感したんです。僕もたいがくんと同じで、過去を忘れたくない人だから。悲しい過去も、しんどい過去も、幸せな未来につながっていると信じているから。

たとえば、恋愛関係。付き合っていた人と別れたとき、SNSの投稿やもらった物を全部捨てる人いるじゃないですか。僕はあれがどうしてもできなくて。手紙も写真も誕生日プレゼントもとにかく持っておきたい人なんです。

だって、思い出を捨てるってことは、そのときの自分を否定することになるから。どれだけ別れがつらくても、輝いていた日々に間違いはないし、全ての日々の上に今の自分が成り立っているんだから、過去の自分をないがしろにしたくない。だから、僕は思い出の品を捨てられない人なんです。

たいがくんも「残しておきたい人」。だからこそ、「読点」が生まれました。


過去の自分に別れを告げる歌だけれど、終止符を打つのではなく、読点を打つ。過去の続きを今生きているという意識は、自分の人生に物語を与えることになります。より豊かで、より魅力的な人生にするためのひとつの方法だと思うので、改めて大事にしていこうと思いました。

「読点」、めっちゃおすすめなので、是非聴いてみてください。最後まで読んで下さり、ありがとうございました。

20230803 横山黎



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