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創作における追い風

――追い風を見つけるまで方角の選択肢を潰していくことが、創作という作業なんですよね。


人生は物語。
どうも横山黎です。

大学生作家として本を書いたり、本を届けたり、本を届けるためにイベントを開催したりしています。

最近は音声配信も始めました。毎週金曜日22:00から僕のお気に入りの本を紹介するライブ「FAVORITE!!」を開催しています。興味を持たれた方は是非遊びに来てください。



今回は「創作における追い風」というテーマで話していこうと思います。



📚新作の執筆が進んだ

僕は今、『はちとご』という連作短編集を書いています。

はちとごとは僕の通う大学の近くにあるシェアハウスのことで、家屋の一部を地域に開放する住み開きという活動をしているので、住人に限らずいろんな人がひとつ屋根の下で過ごしているんです。

大学から2,3分の距離にあるから大学生が立ち寄るのはもちろんのこと、放射線技師の方やガラス細工をつくる方やマネースクールを経営している方など、たくさんの社会人もいらっしゃいます。

「はなれ」と呼ばれる場所をコミュニティスペースとして開放しているんですが、そこからはステキな出逢いと交流が生まれるのです。

かくいう僕も、友人に誘われてはなれを訪れたことが、はちとごに関わるきっかけでした。そのときのことは今でもちゃんと覚えていて、自分の本を手売り3冊手売りできたし、はなれにいた住人の方々と打ち解け合うことができました。そういえば、だいぶ夜遅くまでお邪魔していたっけ。



とても心が温まる場所だと感じ、それからというものの、僕ははなれに通うようになりました。はちとご主催のイベントにも参加するようになったし、気が付けば住人を名乗るまでになっていました。

はちとごに関わるようになって、次第に僕が思い始めたことが、「はちとごを舞台にした物語を書きたい」でした。

場所としての魅了が十分にあるから、はちとごを舞台にいろんな人が関わり合い、時間を共にして、それぞれが成長していく姿を描く物語を書きたいと思ったのです。というより、僕が読んでみたいと思いました(笑)

そんなこんなで今月に入ったくらいから本格的に執筆を始めたわけですが、昨日、やっと手ごたえのある文章で、第一章を書き出すことができました。


📚筆が走り出すということ

物語の構想は練り続けてきたし、別の章の書きやすいパートを先に書くこともありましたが、第一章の書き出しにふさわしい納得のいく文章がどうしても思いつかなくて、頭を抱えていたんです。

第一章の第一節は物語の入り口ですから、他の章の書き出しよりもより神経を使わないといけません。この先も読み続けるかどうかを決める部分でもあります。どんな言葉で始めるのか、どんな映像を切り取るのか、こだわることが求められるのです。

僕はよく自分の物語が映像になったらというifを考えるので、良い画かどうかが文章の選定の目安になります。引きで全体像を映して始めるのか、寄りでミクロな世界から始めるのか。

いろんなことを思案した結果、筆が走り始めました。作り始めてから初めてのことでした。

僕が勝手に思っていることですが、筆が走るということは、その道が正解だってことを意味しています。追い風に背中を押されている。そんな風に思うのです。



📚創作における追い風

小説に限った話ではないと思いますが、創作における向かい風、追い風というものは確かにあって、いくら考えてもなかなか前に進まないときがあれば、逆に恐ろしくなるくらい調子が良いときもあります。

「物を創る」とはその繰り返しを意味します。

だから、僕がよく意識していることが、調子が良くないときをちゃんと受け止めるということです。向かい風に吹かれているということは、自分の進んでいる方向から風が吹いているということ。我武者羅にその道を進み続けた先に追い風に変わることもありますが、簡単に考えれば、自分の身体の向く方向を変えればいいのです。

「一昨日は南を向いた。向かい風だった」「昨日は東を向いた。向かい風ではなかったけど、追い風でもなかった」「今日は北を向こう。追い風だった」といった具合に、追い風を見つけるまで方角の選択肢を潰していくことが、創作という作業なんですよね。

昨日、追い風が吹いてくれたのは、今日までひとつずつ方角を潰してきたからなんだ。そう思えるようになると、向かい風も追い風と同じように愛することができます。向かい風に吹かれているときは辛い時間ではあるけれど、その痛みをいつまでも引きずっていたら追い風を見逃してしまうおそれもある。

追い風も、

向かい風も、

自分を導いてくれる同じ風。

そんな意識のもと、創作に向き合うと、心が少し軽くなるんじゃないかなというつぶやきでした。最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

20231011 横山黎




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