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映画『ブラック・ウィドウ』感想

予告編
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 ちょっと前に映画『シャン・チー/テン・リングスの伝説』の感想文を投稿しましたが、その中で本作の名前をちょろっと出していたので、投稿しようかと。

 当時の思い出も詰まっている感想文ですが、よければどうぞー。


勧善懲悪


 ホントにねぇ、喧嘩すんのも勝手ですけど、観客やファンの気持ちなんてどこへやら……。ディズニーと劇場の確執にここまで辟易させられるとは思わなかったです。今年だけでも『ラーヤと龍の王国』(感想文リンク)、『クルエラ』(感想文リンク)を観るのにちょっと手こずらされたし。ただでさえIMAXで観られる劇場って都内でもまだ限られていて、おまけにディズニー作品を上映しない大手シネコンに気を遣ってか、他の劇場でも上映回数少なめだったし……。特に終盤のアクションシーンなど、高さが活かされているようなアクションシーンがとても多く、そういった点でもIMAXで観て正解だった(ディズニー+にも興味あるんですけどね)。まぁMCUで言えば、次の『シャン・チー』はTOHOシネマズ等の大手シネコンでも上映するらしいので多少は安心したんだけども、こういった “いざこざ” は観客には関係の無いところでやって欲しいなぁ笑。←「何の話かよくわからない」って方はネットで調べてください。兎にも角にも、皆が映画をネット配信で観ようがDVD・ブルーレイで観ようが知ったこっちゃ無いですけど、僕は、絶対に、映画館で観たいのだ!




 さて本題。アベンジャーズのオリジナルメンバーでありながら初の単体主演作となるブラック・ウィドウ。主演はスカーレット・ヨハンソン。先述のようなことがあったとはいえ、そこそこの注目作だと思っていたのですが、MCUの中では一見さんには優しくない部類かもしれません。MCUを観てきていない人からすると所々で「ん?」となるようなワードも出てきますし。

 その代わりと言っては何ですが、物語の展開についての説明はきちんと描かれているので、詳しくなくても迷子になることは無いと思います。冒頭、クレジットを流しつつ物語の経緯が映し出されたダイジェストみたいなシーンは、同じくMCUの『インクレディブル・ハルク』の冒頭シーンを彷彿とさせるようで良かったと思います。説明はしているものの、かと言って退屈にならない程度の尺で収まっており、知らない人は「こんな感じなのか」と物語の入り口を理解し易くなるし、知っている人にとっても、まるでオープニングムービーを見ているかのように楽しめるはず。MCUらしいユーモアもあるし(とはいえ、他作品に比べると若干少ないかも?)、なんだかんだで多くの人が観て楽しめるんじゃないかな。



 何より、単純に面白い。超優秀なスパイである彼女が主人公の物語だからこそ、スパイ映画としての面白みもちゃんとあるし、ヴィランの描き方もしっかりしています。

 本作のヴィランであるタスクマスターは、覆面を被っているため素性がわからない。そんな奴に何の前触れも無く襲われる。車のシートに挟まれ、なかなか逃げ出せずにいるロマノフ。絶体絶命のピンチか? そんな彼女のもとへ、ゆっくりと歩きながら近づいてくるタスクマスター……etc. まるでホラー映画に用いられるような手法で登場させることで、ヴィランの不気味さがより際立っていた印象です。

 もう一つ、スパイ映画としての面白みで言うと、まぁネタバレになっちゃうからあまり細かくは述べられませんが、敵を欺き、騙し、裏をかく……、そんな彼女の策略に、物語を眺めている観客までもが一緒になって騙される感じが面白い。しかもその観客への裏切りが、とても嬉しい裏切りというサプライズになっている辺りは、スパイ映画とはいえやっぱりヒーロー映画である所以。(こんなことを書いといて何ですが、「これはもしや、私(観客)を騙そうとしているのか?」なんて訝しんで観たりせずに、素直に騙されながら観た方が楽しめると思いますよ。)


 近年、女性が活躍する映画が増え、例えば今年だけでも『クルエラ』や『プロミシング・ヤング・ウーマン』(感想文リンク)等々、法外で無茶苦茶な手法で復讐する作品が目立っているのが印象的な中、シンプルに、ただただ悪い男を、古臭い権威主義的な思考の黒幕を、正々堂々やっつける感じがあるのも本作の魅力。同情の余地の無い悪者は徹底して滅しつつ、一方で、同じく敵対していた者だったとしても、その人たちが救われるべき者であればしっかりと救いの手を差し伸べる、王道の勧善懲悪。繰り返しになりますが、それでこそヒーロー映画たる所以だと思います。



 MCUの中の時系列で言えば、一旦過去に戻った本作。作品と作品の間を繋ぎつつ、『エンドゲーム』(感想文リンク)を観たファンにとっては、どこか救いのようにも感じられた物語。彼女にもちゃんと家族があったんだ、スパイという役割のためにどこか本心が掴み切れずにいた彼女が過去作で口にしてきたアベンジャーズの仲間たちへの信頼感は本物だったんだ、と思える。

 そして「でもMCU的には特に進展無しかぁ」とか気を抜いていたら、ポスト・クレジット・シーンでの安定のサプライズ笑! もぉ、早よ続きが観たい!

 とはいえ、ディズニー+でもMCUが始まったし、流石に全部は観てられない……。今後の世界観について行けるかどうか、不安で堪りません。


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