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映画『シャン・チー/テン・リングスの伝説』感想

予告編
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IMAXを堪能


 マーベルやDCといったアメコミ映画に限らず、観る前に大なり小なり原作を知っておきたいと思うのは映画好き人間の性なのかもしれません。まぁ時と場合にもよりますが……。そんな僕のアメコミ情報源は、ほとんど『しゃべんじゃーず』、もとい柳生さんで賄われているんです。そしてそんな柳生さんが動画の中で、アメコミヒーローの中でも一、二を争うほど好きだと仰っていたのが本作の主人公であるシャン・チー(シム・リウ)。MCU参戦の報が入る何年も前から、シャン・チー愛を熱く語る柳生さんの姿を動画で拝見してきたせいか、不思議なことに映画化を知った時に真っ先に頭に浮かんだのは柳生さんの顔でした笑。原作を読んだこともないのに、ここまで公開を楽しみに出来たのは間違いなく柳生さんのおかげ。そしてそんな本作は、その期待を裏切るどころか、様々なハードルを悠々と跨ぐほどの満足感を与えてくれました。軽ネタバレ注意です。



 「縦に広がる構図が~」、「アクションにも縦の動きが多くて~」等々……。僕はIMAX作品の時は大概、似たようなことを述べてしまう節があって、「コイツまーた同じこと言ってるよ……」と思われそうで情けないのですが、この映画こそ、IMAXで観て良かった! ダークゲートを “見上げる” 構図、異世界ファンタジーに負けず劣らずのラストバトルなど、IMAXの広い画角だからこそ活きる映像が盛り沢山。いやホント、マジでオオカミ少年の気持ちがわかるというか、いつも同じことばかり述べていると、ここぞという時に信じてもらえないわけで……。観終わった興奮や感動が冷めやらぬまま感想を書くと似たような言い回しを並べてしまいがちなのだと、反省するばかりです。

 IMAXでの鑑賞、延いては劇場で観る価値という点で言えば、音響も凄まじい。いくら設備が整っていようが、自宅では絶対に出来ない音響体験がそこにはある。劇中で幾度も出てくるテン・リングスという全く新しいものによる未知のパワー、そしてシャン・チーが水中で感じていたであろう水圧の衝撃など。こういった視覚や聴覚だけでは表現し切れないものを、聴こえないぐらいの音で再現してくれているんです。それは単純に音量が小さいのではなく、人間の耳で聴き取るのがやっと、或いは聞き取れないレベルの重低音ということ。そんな重低音を大音量で流すことで、耳に入ってくる音量以上の衝撃や振動が身体に伝わってくる。それはもはや地鳴りか、地震か。座席が震動し、身体の芯が揺さぶられる。〈感動〉や〈興奮〉といった曖昧で不明瞭な感覚ではなく、文字通り、物理的に胸が震える。これも劇場で観たからこそ味わえる喜び。

 コロナの感染拡大により、ディズニー作品の多くが劇場での公開を諦めネット配信限定になったり、もしくは劇場公開とネット配信を同時に行ったり……。そんな中にありながら、本作だけは劇場公開が先だった。感激も一入です。



 この映画を観ていると、様々な作品が彷彿とされます。「なんかこれ『ラッシュアワー』のあのシーンみたい!」「トニー・レオン(ウェンウー役)のカンフーとか、もはや『イップ・マン』じゃん!」等々。闘技場で名も知らぬ誰かが香港スピンでやられていたり、過去のカンフー映画の歴史をなぞるかのように様々な動きを見せられ、遂にはドラゴンボールみたいな次元に到達する始末。カンフー映画はあまり詳しくないですけど、MCUが描く新たなカンフー映画としての魅力だけではなく、過去の作品へのリスペクトも感じます。

 また、『ドクター・ストレンジ』の時にも思いましたけど、MCUのアクションや型には、まるで流麗なダンスを見ているかのような美しさもあり、そういう所も観ていてかっこいい(まあこの点については『ブラック・ウィドウ』(感想文リンク)で軽くディスというかイジられていたんだけども笑)。その他にも、終盤の敵のヴィジュアルにはモンハンを思わすような世界観があったり、龍に乗る姿を見せてくれるクライマックスの展開には『千と千尋の神隠し』や『ネバー・エンディング・ストーリー』顔負けのワクワク感も詰まっている。もぉね、観ている間中ずっと楽しい。



 「目を閉じると母を思い出す」と言った妹シャーリン(メンガー・チャン)に対し「わからない」と答えていたシャン・チー。しかし、終盤に訪れたピンチの場面で目を閉じた時に、母との記憶を想い出し、そこから大逆転が始まるという展開もかっこ良かった。強く拳を握るのではなく掌を開くという、“剛” ではなく “柔” の教えが、父親の形との対比になっていたのも良い。もっと言えば、超人だらけのMCUの中で、ただの人間が、修行という過程を経て最強へと昇華していく感じも最高に面白かったです。

 とまぁこんな感じで、「あそこが良かった」なんて言い出したら切りがない。



 テン・リングスの万能さも然ることながら、闇の世界という新機軸みたいな存在も、今後のMCUへの期待を膨らませてくれます。超人だらけの中で一般人の代弁者の如くツッコミや驚き役を担ってくれるケイティ(オークワフィナ)の存在も良かったです。中にはマンダリンやサノスの指パッチンなど、MCU一見さんにはわからないことも多かったかもしれませんけど、そんなマイナスをも補って余りあるほどの面白さが詰まった一本でした。


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