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鵞足の評価と治療

今回は、鵞足についてまとめていこうと思います。

鵞足といえば、鵞足炎が一番聞き慣れた疾患かもしれませんが、実際は変形性膝関節症などにおける膝内側部痛にも鵞足が関わっているかもしれません。

そこで、鵞足の機能解剖から復習し、評価・治療方法まで確認していきましょう。


鵞足の機能解剖

鵞足とは、薄筋・半腱様筋・縫工筋の腱が付着する脛骨近位内側部のことを指します。

右下肢:脛骨近位内側

薄筋の走行

【起始】恥骨下枝
【停止】脛骨粗面の内側(鵞足)
【作用】股関節内転・屈曲
    膝関節屈曲・内旋
【神経支配】閉鎖神経L2,3

半腱様筋の走行

【起始】坐骨結節、仙結節靭帯(大腿二頭筋と共通頭を形成)
【停止】脛骨粗面の内側(鵞足)
【作用】股関節伸展
    膝関節屈曲・内旋
【神経支配】脛骨神経L5-S2

縫工筋の走行

【起始】上前腸骨棘
【停止】脛骨粗面の内側(鵞足)
【作用】股関節屈曲・外転・外旋
    膝関節屈曲・内旋
【神経支配】大腿神経L2,3

上記の画像を見ていただくと、3つの筋肉は、表層から縫工筋、薄筋、半腱様筋の順番で鵞足に付着していることがわかりますね。

また、3つの筋肉の共通点としては、膝関節屈曲・内旋作用を有しているということが挙げられます。

これは、走行的に後方から前方へ向かって捻れるように鵞足に付着しているため起きる作用と考えます。

因みに、膝関節の内旋というのは、下腿内旋と同義でもあるのでこちらで覚えるとわかりやすいと思います。

この膝関節内旋作用が評価・治療の際の手技に重要なのでしっかり覚えておきましょう。

鵞足の評価

鵞足の機能解剖を復習できたところで、早速臨床応用について考えてみましょう。

最初にも言った通り、鵞足部痛は鵞足炎に限らず、変形性膝関節症等でも多くみられます。

鵞足部痛の多くは、外傷なく生じていることが多いですが、組織の柔軟性・滑走性障害によっても誘発されやすいです。

これを踏まえて、膝内側痛を評価していくと、スポーツ選手以外の患者さんにおいても鵞足部痛を生じていることは少なくないはず。

鵞足の評価は、組織学的評価と力学的評価に分けて行っていきます。

評価の最初は、問診で受傷起点を伺い、疼痛評価に移ります。

まず、疼痛の示し方は、

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