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uta

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#日記

15時

15時

風が吹いて涼しさを取り入れる
水滴のあんかけが伝う
下っ腹がなびいて膨らめば
風邪を引いてしまいそう
角度の悪いサビに掴まって落っこちそう
ギリギリとゆれて傷は同じ所へ響く
重みを見ながら鳥の声が一定に鳴く
ビチビチと葉が拍手して笑ってる
鉄にもたれて曲がる大木は
すこしずつしなりを覚えてく
純粋で順調な自分のキャパの
広さにゆっくりと微笑む待望
立ちっぱなしでカッコ悪い
動けずに居れば存在は慣れ

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ミラージュ

ミラージュ

幻想になれない目移りを
美味しいピークに肩を並べて
夕方の匂いをいっしょに
緩やかにほおばりたいな
真実の酸っぱい瞬間を
甘いと感じて空を蹴っちゃった
どれほどの色が試しても
眺めてるだけにはおやすみ
名前に潜って鍵も失くして
雪間草も浮遊すれば
水槽には戻らない
この頃の羽毛といえば
毛皮のカーニバルも警戒する
娼婦のひとときには
大切なものこそ棄てて
エッセンスをたくし上げる
奇怪な音を悦ぶな

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現を脱がす

現を脱がす

跡を引く匂いが気に入らなかった

顔をしかめちゃう
音を粒として聴くほどに
点が線になるときを知っちゃったし
よくばりな私たちには到底、
魚が舞ってても気づけない

うつつは抜かさないように、
       、うつつを脱がすの

大きな影が私の前を横切った
心臓がドクンって鳴った
首にくっついた銀色に少し触った

動いてたその時と
今すぐ動きだしそうなあの時
美しい若者は自然の事故
美しい老人は芸

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嘆きのような悦び

嘆きのような悦び

絵に描いた雲が空に浮かぶ日は来ない
美しさを呑み込む音が粒として堕ちてく
甘い砂糖が当たり前にならないように教えてね
大きな畑のなか向日葵がぽつんと背を向けた
太陽が嫌う向日葵に仰いで
あちらの視界は欲しくないんだ
青いイチジクと垣根のベットへ身を投げて
プラム色の心がほどけば立ちくたびれた森と話してた