#舞台
ゴミの日に生まれてゴミの日に眠る
現代川柳と400字雑文 その71
何年か前の引っ越しの際、舞台で使った小道具や衣装をまとめて廃棄した。その中に血まみれの白いシャツがあった。もちろん偽物の血、血糊というやつだ。たぶん腹を刺されたか撃たれたかしたという設定だったんだと思う。半透明のゴミ袋にシャツを入れると一気に不穏になった。うっすら透けて見える真っ赤な血の色、がすこし酸化した、茶色がかったリアルな赤色。事件だ。すくなくとも事件
動物が月の明かりで菓子パンに
現代川柳と400字雑文 その68
満月は人の心を狂わせる。なるほど魅力的な考えだ。おそらく、あの妖しげな光につい魅了されてしまうのだ、的な意味合いもあるだろう。漱石の名を引き合いに出すまでもなく、月はロマンの源泉である。大学の後輩に、月を見ながらワインをひとびん空けるのを趣味としていた者がいた。ワインを飲みながら小説を書くこともあったらしいが読んだことはない。かつて同じ劇団で演劇を作っていた