『幻影の書』読書メモ
オースター作品を読むのは8ヶ月ぶりらしい。『幻影の書』でオースターは、物語を物語として語る勇気を獲得しているように見える。小説の中にはいくつもの大小軽重の物語がでてくるが、これらの物語一つ一つについて、これは真実らしい、これはデタラメだ、という評価をすることが可能になっている。『幻影の書』は、物語が真実性を獲得するためにの条件を課す。それは、見たものが、体験したことが、書けることが、真実であるというものである。だから、『幻影の書』での真実は、『幻影の書』の著者という立場を獲得