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短歌五十音(え)江田浩司『メランコリック・エンブリオ 憂鬱なる胎児』
※このnoteは次の三部に分かれています。
江田浩司の第一歌集『メランコリック・エンブリオ』の紹介。
タイトルの「憂鬱」から、憂鬱の近現代史を辿る。
タイトルの「胎児」から、江田浩司の現在を辿る。
第一部が独立しており、第二部、第三部は補論です。気になる方のみお読みください。
江田浩司『メランコリック・エンブリオ 憂鬱なる胎児』(2022, 初版1996)巻頭歌から見えてくるもの
たと
詩形と発想――短歌の短さについて
長さと余韻
俳句、短歌、詩、小説の一番の違いは「長さ」です。
俳句は17文字ですね。短歌は31文字です。詩は色々ありますが、ざっと20行×15文字として300文字と考えます。小説も30000文字としておきましょう(原稿用紙75枚分です)。
ごくごく大雑把に、短歌の長さを1としたとき、俳句は0.5、詩は10、小説は1000になります。つまり、小説は短歌の1000倍ほどの文字数を重ねることができ
川柳/引き出しを引いて出してもうなにもできない
太陽が押っ死んでから本番だ
血のようなものがみえるが夜だから寝る
枕に足が生えてきて俺が下か
ブラインドタッチで夜を暗くする
寿命吸うように新刊手に入れる
本物は初めてみた見なきゃよかった
引き出しを引いて出してもうなにもできない
早起きの三文では夜が買えない
ピカチュウのそばでは人を愛せなかった
ひとり起きて「夜」を報告するバイト
扇風機一往復ひとり死んだ
なにかの末裔です