夢だけど夢じゃなかった話

師匠も忙しなく走り回る12月の今日この頃だが、そんな12月も残り1週間余りで終わろうとしている。それはつまり2019年が終わろうとしているということを意味しており、「あぁ、今年も終わるなぁ」という決して声には出さない独り言を呟き、勝手にセンチメンタルになる季節の到来も意味している。
「だからなんだ」
そう言われればその通りなのだけれど、マフラーで口元まで覆い隠しながらそんなことを思うと年の瀬を感じるもので、またそれが楽しかったりするのだから案外私は12月のソワソワ感を楽しみにしていたりする。
 とは言え忙しい事をあまり好まない私にとって、12月のせかせかした雰囲気はどうにも受け入れられず、幸せたっぷりクリスマスムードの街並みもどうにも好きになれない。
そんな私が唯一楽しみにしている12月のイベント。そう、忘年会である。年末にあやかって好きなだけ酒を体内に流し込める頭の悪い会が私は大好きなのだ。忘れるために飲み、また忘れたいことを増えるのはなぜなのか。
それでも酒を飲んでしまうのは12月だからなのだろう。
 忘年会に臨む時、しっかり肝臓を守る対策をして戦場(居酒屋)へ向かうのだが、先日の金曜日はそうでなかった。19時頃に仕事を終えて「さっ帰宅帰宅〜」と心躍らせていると、他フロアの韓流イケメン先輩が「あいつと飯いこや」と声をかけに来てくれた。あいつとは大学の先輩である。大変嬉しい気持ちで「お、行きましょう〜」と二つ返事で答え、19時30分に会社を出た。
 3〜4軒居酒屋をまわったが、残念ながらどちらも忘年会で満席であり、行き着いたのが韓国料理屋であった。韓流イケメン先輩の「ここ行ったことあんで」が決め手だ。
サムギョプサルやチヂミ、センマイ刺しなどを適当に注文し、レモンサワーでそれらを流し込みながら仕事の話などで盛り上がった。
韓流イケメン先輩はとにかく韓国が好きで、今は韓国語を勉強しているらしく、「今度みんなで韓国行こや〜」と話していた。
海鮮チヂミをパクパク食べながら「すいません、レモンサワーくださーい」と注文すると「チョウムチョロンも〜」と先輩が注文し、レモンサワーの他にショットグラスが3つと怪しい小瓶が運ばれてきた。
ちなみにチョウムチョロンとは韓国の酒であり、日本酒と焼酎を混ぜたような味がする。(あくまで私的感覚だが)


あれよあれよとショットグラスにチョウムチョロンが注がれ、グラスが空けばつぎ、途中ゲームを挟み飲み、あいみょんのマリーゴールドを合唱しながら飲み、気がつけば5本のチョウムチョロンが空になった。
この時点でぼくの脳味噌は溶け、目の前の景色が揺れたマリーゴールドに見え始めており、いよいよ帰宅が難しくなっていた。
どうやってお会計をしたのか、2人にお金を渡したのかも定かでないまま店を出て、JRに乗りこんで最寄駅まで揺られて帰り、最寄駅についたらそのままタクシーへ乗り込み、自宅まで急ぎ帰宅した。
 リビングで卒倒し、そのままうなされながら朝まで寝た私は、その夜大変不愉快な夢を見た。自分の脱ぎたての靴下の中にゲロを吐く夢である。何故か脱ぎたてのくっせぇくっせぇ靴下を鼻まで持ってきて、その匂いで気持ち悪くなり吐瀉物をそのまま靴下に流し込むという本当に不愉快な夢だった。
いつの間にか布団で寝ていた私は、そんな悪夢を隣にいた彼女にしたら「それ本当に夢?」と訝しげな眼差しを私に向けた。
「まさかまさか」と笑いながら誤魔化しているうちにそそくさと土曜出勤の準備をして出社した彼女は、保育園のクリスマス会らしい。
気持ち悪いままリビングへ移動し、人をダメにするソファを2つ並べ寝っ転がり、落ち着くまで再び眠った。
しばらく経ってから気持ちの悪い匂いで目覚めた。「ゲロの匂いがする」ハッキリそれはゲロの匂いだった。乱雑に脱ぎ捨てられたTシャツを少しずらして見ると、果たしてそこにはあったのだ。吐瀉物入りのビジネスソックスが。「夢だけど夢じゃなかった…」思わず独り言を言いながら、ビニール袋にそれをぶちこみ、ファブリーズをこれでもかとばかりに吹きかけた。
不幸中の幸いは買い換えたばかりのラグが無傷であったことだが、サンタさんからの早めのクリスマスプレゼントが靴下いっぱいの吐瀉物とはなんとも悲しい。そして情けない。
せめて靴下いっぱいにお菓子をプレゼントしておくれよサンタさん。友達にも「靴下にゲロ吐く夢見ちゃったよ、うけるよね」なんて話しちゃったよサンタさん。
 こうしてまた今年中に忘れたい事が一つ出来たので忘年会を開きたいのだけれど、「今度はお年玉袋に吐かないようにしないとなー」と肝に銘じる私なのでした。

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