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思い出は変わる

長年、体のメンテナンスをしていますが、
ここ数年は特に、足腰に筋力と持久力をつけようと意識してきました。
がんばりの割に美ボディにはなっていませんが、
疲れがたまらなくなり、前より丈夫になりました。

スレンダーな美ボディとは裏腹に
下半身の筋肉がしっかりしてきて、
どちらかといえば土偶に近づいています。
原始の力を象徴する神々しい土偶に似ているというのも、
おこがましいのですが。
ある意味、元祖理想的なボディだからOK、引き続き頑張ろう、
と自分を鼓舞しています。

おもしろいことに、身体的なたくましさに比例して、
内面的にもたくましくなってきました。
体に引っ張られて、心も強くなった気がしています。
体幹太く、心も太く。

新しく変わったというよりも元の感性が高まったのを感じます。
物事を察知するセンサーの感度が鋭くなって、
自分の反応を瞬時にキャッチできる
子どもの頃の価値観を取り戻す感覚です。
私の素直な気持ちって、こうだったという感触。
「そうそう、これだよこの感覚」という具合に、
新鮮かつ、懐かしい気分です。

健康になっていく過程で、デトックス作用も強くなりました。
体の代謝が良くなるのと同じで、心の代謝も活発になったのです。
それに伴って、心身が健康になればなるほど、
自分の気持ちを押し殺し始めた10歳くらいから、

そのことに気がついた40代くらいまでの記憶を
思い出すのが辛くなりました。
思い出の印象が、どんどん変わっていったからです。

思い出自体、事実内容は何も変わっていません。
でも、その事実を見る角度が、
45度、90度、180度と変わっていきました。

若い頃、楽しいと思っていた出来事が、
今、振り返ると、不快な出来事に感じたり。
いい友達だと思っていた人が、
実は意地悪だったことに気がついたり。

なんで、あんなことしたのだろう。
なんで、あんな扱いを受けて、許していたのだろう。
なんで、あんな生活を楽しいと思っていたのだろう。
なんで、あんな失礼で意地悪な人たちと仲良くしていたのだろう。
何かを思い出すたびに、
「あーいやだいやだ」と頭をかきむしって、
過去を振り払い気持ちになるのです。

ぼんやりしていた数々の思い出が、
悪夢のように蘇り始めたきっかけは、何年かぶりに、
若い頃仲良くしていた人たちに再会したことでした。
いつも通りの会話がくり広がる中、
とても居心地が悪くなってしまったのです。
ちっとも楽しくないどころか、
何を話して良いかもわからなくなってしまいました。
会話を聞きながら、
「私もこの仲間だったのか。」と複雑な気持ちになりました。
それから、思い出を見る目が変わっていったのです。

別の時には、久しぶりに再会した友人と。
以前から、その人は、ちょっと皮肉屋なところがあるとは思っていたけれど、
「賢くて機知に富んでいる人」と受け取っていました。
でも、改めて会ったら、
「ああ、これは嫌味や意地悪だったのか。」と気がついたのです。
話していて、だんだん頭が痛くなってきた。
しかも、その嫌味や意地悪は、がっつりと私にも向けられていた。
マヌケだったなあ、と情けない気分に。

でも、たぶん、そんな事実に全く気がついてこなかったわけじゃないのです。
思い出すのは、何かしら違和感を抱いていた場面が多い。
きっと、本当は前から気がついていた不都合なことを
見ないふりしていたのです。
「この人は、仲良し、いい人」と自分に言い聞かせて、
不快な気持ちを押し殺していたのだと思います。

無理やり、舞台の書き割りの景色を本物だと思おうとしたみたいに。
本当は表面的で空っぽのハリボテだと気がついているのに、
360度見ることなく、正面からの絵だけを信じようとする。
そんな風に自分をごまかしていた。
でも、押し殺した気持ちは、消化されないで残っていました。
一つ一つ、湧き上がってくる思い出と向き合うことになりました。
自分で自分をないがしろにしたことに対して、
嫌な気持ち、情けない気持ちになり反省しました。

自分がやってきたこと、付き合ってきた人たちが、
別世界のものに見えるようになりました。
過去の世界は、不健康な状態で築き上げた価値観の上に
成り立ったものだったと気がつきました。

私は若い頃から、見かけは元気そうでしたし、
健康診断の結果はいつもA判定で問題なし。
だけど、今思えば、明らかに不健康でした。
冷え性、不眠、坐骨神経痛、首痛、人間関係のストレス、
不健全なものにどっぷり浸かっていました。
若かったから、
「このストレス社会の中、皆そんなもんだ」と
自分に言い聞かせて勢いで乗り越えていました。

現在はありがたいことに、その負の渦巻きから抜け出てきました。
過去にいい思い出がないのは残念ですが、
その分、よくしてくれた人のことは、
ますます有り難く思っています。
いじけていた私に、暖かな優しさを与えてくれた人たちが、
以前より鮮明に見えるようになりました。

体も、心も、いらないお荷物をおろすたびに、
新しくていい出会いがやって来る気がします。
いらないお荷物を抱えている限り、
新しいものが入ってくる余地がないことも学びました。

人生に無駄なことはないとはいうものの、
一度、無駄だと知ったことはやめないと、
本当に必要なものが入ってこなくなってしまうと実感しています。

今の日々が、将来、思い出したくないものにならないように、
素直な気持ちで、正直に、
自分に向き合っていきたいと思っています。


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紫陽花の赤ちゃん