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短編小説

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2021年3月の記事一覧

ここはどこ?わたしはだれ?

ここはどこ?わたしはだれ?

こんなにも人がいるのに私は1人ぼっちだ。誰も私の存在に気づかない。いや、気づいていても全く関心を示さない。それがこんなにも寂しいことだとは知らなかった。誰か私を見つけてくれ。

思えば私はいつも求められてきた。その度に私は「助けてあげる」という気持ちでいた。いつしか自分が誰かの役に立てる喜びを忘れていたのだ。

だからこんなことになっているのかもしれない。誰も私に関心がない。私は役立たずなのか。い

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安心安全

安心安全

男とは女を守るものだ。そう教わった。

今まで俺は、適当に生きてきた。
うっかり穴に落ちた事もあれば、夜な夜な宴にも参加したし、自由気ままに宙を舞う事だってあった。

そんな俺を変えたのは、一人の女との出会いだった。それは運命の出会いだった。
その日から俺は、彼女を守ると誓った。
彼女の安全を最優先に考え、彼女が安心して暮らせるように努力した。
そんな俺に対して気安く接してくる奴もいたが構わない。

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ノウ

ノウ

温かい。
いや、そんなはずはない。
安心する。
何故だ。まさか本当に。
ああ、そうだったのか。
それなら、安心して死ねる。

「生まれ変わりって信じる?」
突拍子のない言葉に僕は内心いらだちを感じていた。
彼はノウという。事あるごとに僕にかまってくる。

僕は彼を疎ましく思っていた。
そんな彼に言われた言葉が僕には聞き流すことができなかった。
僕は父親の顔を知らない。僕が生まれる前に亡くなった。僕

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私は二階に住んでいる

私は二階に住んでいる

私は二階に住んでいる。
お気に入りの帽子をかぶっている。
人に見られる仕事をしている。
私にはライバルがいる。
彼は一階に住んでいる。
彼もお気に入りの帽子をかぶっている。
私たちはいつもスポットライトの取り合いをしている。
私が注目される時があれば、彼が注目される時もある。
でも私は彼とは違う。
私は彼より魅力的だ。
彼を見た人々は足を止めずに去っていく。
私を見た人々は足を止めてくれる。
まる

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