ここはどこ?わたしはだれ?
こんなにも人がいるのに私は1人ぼっちだ。誰も私の存在に気づかない。いや、気づいていても全く関心を示さない。それがこんなにも寂しいことだとは知らなかった。誰か私を見つけてくれ。
思えば私はいつも求められてきた。その度に私は「助けてあげる」という気持ちでいた。いつしか自分が誰かの役に立てる喜びを忘れていたのだ。
だからこんなことになっているのかもしれない。誰も私に関心がない。私は役立たずなのか。いやそんなはずはない。今までずっと求められてきた。だが、なぜ今みんなが私を見て見ぬフリをするのだ。分からない。やはり私は必要ないのか。
自分の価値を見失いかけた時、係の人が私を見つけてくれた。その隣には私を見つけて安心する持ち主がいた。よかった。私の心の声を代弁したかのような彼の言葉が聞こえたと同時に私は彼の手に渡された。よかった。まだ彼の役に立てる。誰かの役に立つことが自分の幸せなのだと気づいた。ありがとう。
こうして「落とし物」は持ち主の元へと帰って行った。
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