記事一覧
しんやの餃子世界紀行 Vol.77
「その絵の始まりは」
その絵の始まりは、一筆でなぞられた一本の白い線から始まる。
その線は「餃子の花」の生る一本の大きな木の幹としてなぞられた。
横に5メートルという金色のキャンパスの上を、下書きもなく、思うがように織りなす線の色は様々だ。
筆のなぞるタッチのそれと共に、アクリル絵の具が直接殴られた箇所のか弱さと荒々しさのコントラストが日々美しく重なっては、また別の線の下に消えていった。
しんやの餃子世界紀行 Vol.73
「西国無双の男と3バカ勇者の大冒険」
緊急事態宣言が明けて1ヶ月半ぶりに戻る岡山。
久しぶりに戻る岡山は最初、中国地方を襲った大雨の煽りをうけ、晴れの国の様相は消えた。
この雨に流れてパクチーがスーパーから消えた。
消えたパクチーが店に並ぶことは結局この1か月間なかった。
岡山が復活すること。
最初は不安が大きかった。
僕はこの街の何も知らない。
ただ一つ決めたことがある。
岡山発
しんやの餃子世界紀行 Vol.72
「東京」
MOROHAの武道館が決まった。
感慨深すぎる気持ちでいっぱいである。
しんやがまだ都内の小さなヴィレヴァンで店長をしている頃。
まだ売れるには程遠かったMOROHAが好きなあまり、コーナーを作ってSNSにあげたことがあった。
新譜の発売日。
そのSNSを見てアフロが店に一人でやってきた。
「なんか熱いTwitter見たんで。応援ありがとうございます」
あの日より覚えている
しんやの餃子世界紀行 Vol.70
「ごく稀に世に生み落ちる、美しいあなたへ」
美しいやかわいいという属性は生まれた時のガチャに成功しないといけない。
そもそも両親にその要素が皆無であればそのガチャを引くことも許されない。
その不平等が尊い。
その不公平が貴い。
別にかわいくなくても美しくなくても生きていける。
劣等劣種は見てくれの良し悪しで決まったりはしない。
ただ間違いなく得は多い。
その得の数ほど生きにくい生き
しんやの餃子世界紀行 Vol.69
「守屋という男」
守屋という男は不思議な男だ。
これと決めるとその他のものを全部ほっそり捨ててどこか遠くへ行こうとする。
守屋という男は不思議な男だ。
昨日まで楽しかったことが明日楽しいとは限らない。
違うと決めたら違う。
良いと決めたものは一生良い。
最近のあいつはモールアートにハマっているらしい。
「どう、しんや。どう?」
出勤した時の会話は最近毎日こうだ。
でも明日にはも
しんやの餃子世界紀行 Vol.68
「令和新時代の人事部長」
6/1付で密友合同会社の人事統括部長 兼 岡山エリアマネージャーに就任した。
今年の3月に岡山で守屋と出会うまで8年間放置され、あの日までに会った回数3回。
そんな男を2ヶ月足らずでこの役職につけた守屋は無謀か、それとも新谷の才能に気付いた天才か。
かくもともあれ、
「社会に付き合うには能力が足りない」
から一人独立した男がこうして一人前に人事統括部長とは滑稽
しんやの餃子世界紀行 Vol.67
「とある餃子世界の日常」
リア充の話をかけずに謎に2日経過。
明日書こうと決めた。
今日はそれより書きたいことができたから、そっちのことをつらつらと書く。
東京の餃子世界も営業再開して2週間が経った。
昼からの営業、明るい内の餃子世界に感じた違和感も薄れつつある。
最近は昼でもお客さんが来てくれるようになった。
じわじわと知名度を上げてきとる餃子世界、すごいね偉いね。
最近、
「
しんやの餃子世界紀行 Vol.66
「メンヘラな人、そうでない人」
あなたはメンヘラですか?
それとも違いますか?
人によって定義分かれるメンヘラについて。
メンヘラといえば近年まで女性に多く使われる言葉であった。
「メンヘラな女を捕まえたらやばいぞお」
なんてよく言われたものである。
しかし近年に於いて、メンヘラという言葉は女性以外にも使われるのではないかと考えている。
1つにメンヘラという言葉からは「痛み」の成分
しんやの餃子世界紀行 Vol.65
「森には木が植ってる」
夢とはいつも非情だ。
叶わないことの方が多い。
やりたいことが仕事になるかというとそれはそれも微妙だ。
人生は諦めの連続で、色々な諦めを通じて本来自分の中に眠る才能の類も諦めてしまう。
諦めなかった人が本物になるのは当然だが、諦めることに鈍臭い人が成功するような時代。
それくらい人は皆、自分の才能を諦め続けている。
「なんとなく大学は出とかないと」
人生最初の
しんやの餃子世界紀行 Vol.64
「甘えん坊と人斬りの街」
北海道に生まれた僕にとって、東京に行くということ自体が華やかで輝かしく、勇者が集まる場所というイメージだった。
函館から見たら札幌もよほどの大都会だ。
ビルの高さでそう思うのではなく、高いビルの密集具合で感じる都会の出立ち。
湧いて溢れ出るほど歩く人の数も、新宿駅のパンデミックに比べたら永遠のように感じたものだ。
10年東京で暮らしたことによって、東京は勇者の街な