しんやの餃子世界紀行 Vol.64

「甘えん坊と人斬りの街」

北海道に生まれた僕にとって、東京に行くということ自体が華やかで輝かしく、勇者が集まる場所というイメージだった。

函館から見たら札幌もよほどの大都会だ。
ビルの高さでそう思うのではなく、高いビルの密集具合で感じる都会の出立ち。

湧いて溢れ出るほど歩く人の数も、新宿駅のパンデミックに比べたら永遠のように感じたものだ。

10年東京で暮らしたことによって、東京は勇者の街なんかではなく、人垣を登るためなら味方でも切り捨てる街だと知る。

そしてその人垣はあの日見たビルの高さよりもさらにさらに高い。

人が多いから高いビルが多いのではなく、そのビルを目指す人の数が多いからどんどん高さを競うことを知る。

人口の割に、あのビルを必要とする人が少なすぎるのだ。

一部の人の見栄が空へ空へと上を目指す。

掴んだ者が生き残り、掴まなかった者は生きる権利すらスレスレ。

東京だから掴めるチャンスの数も皆平等ではなく、地方都市とほぼ変わらない数のチャンスを地方都市の何倍もの人口で奪い取るような現状。

そしてそのチャンスすら長く続く訳でなく、掴んだはずのチャンスが紙切れでしかないことも日常茶飯事。

そういう戦場を捨てられない人たちは強い。

東京の人が優しくないのではなく、東京の人は人に構ってる暇がなく、何処から来た人だろうが助けを乞う者すら視界に収まってないだけなのだ。

それが良いか悪いかはさておき。

岡山は北海道に比べて文化に寛容かつ感化され、人は皆一定の優しさで人に触れることができる。

東京より西にも日本は続いていて、そこに岡山が含まれることを小学の地理振りに思い出した僕は、大阪でも京都でも広島でも福岡でもない岡山の街が好きになった。

少なくとも北海道よりは岡山の方が住みやすい。

東から来た人への耐性が良い感じについている。

岡山にとって札幌も仙台と東京も愛知も京都も大阪も神戸の人もみんな自分より東の人。

福岡や広島より大きくないし何かを競う必要もない。

政令指定都市としてのプライドすら、倉敷の美観都市に譲るような岡山。

北海道なんてあの広い都市に札幌１つで踏ん張ってる。

なのに岡山の周りには神戸も堺も広島もある。

岡山はそんな環境に少し甘えてる。

岡山は西日本の愛知になれるのに、

関西の終点、広島以西の玄関口で満足してる。

岡山の人は岡山がそこそこに住みやすいことを盾にこんなもんかってボーダーを引いてしまってはいないだろうか。

東京も大阪もこの未曾有の事態を経て大都市としての機能を再度見返している。

リモートワークは働いてんのか働いてないのか分かりにくいという感覚論の憂いすら、意外と効率的に結果を残し、なんなら余計な諸経費が削れて最高。

テレビに広告を打たなくてもSNSやYouTubeは情報を拡散してくれる。
なんならどの年齢のどの性別の人がリーチしてるかすら明確にする。

今更東京が、競争社会という疲弊と過酷を捨てることなんかできるだろうか？

少なくとも現在の東京を作ってきた先人が天に召されるまではこのままの状況が続く。

人の欲は勝った者の欲の順に並ぶからだ。
世界が変わることを恐れるのは、前時代を生き残った者なのだから。

もうすぐこの国ですらワクチンが打ち終わる。

日本ってちょっと頭弱いから、残念ながら他国の副作用の様子を見てしまってる節があって、不急率が低いようだがそれでも間もなく莫大な数のワクチンが普及する。

ニューヨークなんかもうマスクすら減ってきてる。

いずれ、日本も元の風景に戻る。

よし！緊急事態宣言だ！

と頭沸いてる今しかチャンスはない。

徳川が江戸に幕府を起こして以来、700年振りのチャンスなのだ、しかも今は誰かを斬る必要もない。

「やりたいこと」を「やらないといけないこと」を前の自分の感覚で先延ばしにしてはいけない。

それに気がついて動く人の数が東京は多く流石だなと思う。

でも大丈夫、安心して。
あいつら人の数が多いだけだから。
動かない人も一定数いる。

日本全国一律の個人に平等にチャンスが与えられた社会がやってきた。恐らく人生で一度やってこない。

俺はやれると思うよ岡山。

少なくとも、しんやの周りには才能がいっぱい。

ノウハウとか金とか始めたらついてくるからさ。

ダメ元で発信したら良い。

新時代は個性を尊重できた奴だけが勝つ。

現状維持の時代は終わり、場所の壁は払われた。

これからは個が前に進む時代だ。