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演劇研究レポート

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演劇に対する思想やエクササイズを幅広くまとめています。
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#舞台

渡航前に、今のインプロ観をまとめる

渡航前に、今のインプロ観をまとめる

今週土曜(7月29日)に、僕はカルガリーに旅立ちます。
インプロの権威であるキース・ジョンストンの作った劇場「ルースムースシアター」に行き、そこのディレクターであるショーン・キンリーと共に2ヶ月間インプロバイザーとしての修行を積みます。
他にも世界中から次世代を担うインプロバイザー達が集まり、少人数でショーンの下でインプロを学び、時にはルースムースでのスタッフワークやショーに出ながら過ごします。ま

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駆け出しの俳優が20代でやるべき5つのこと

駆け出しの俳優が20代でやるべき5つのこと

この記事は20代以下のまだ売れたとは言い切れない駆け出し俳優のために書きました。才能や人気がめちゃくちゃあって、もう売れちゃって売れちゃって困ってるよおという人は対象外です。
俳優としてはまだまだだという自覚があり、これから20代に突入する人や、もう20代半ばという人、もしくはもう20代終わっちゃうよという人もまだ諦めずに読んでいただければと思います。
ちなみに30代以上を対象としていないのは、単

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即興でキャラクターを演じ、物語を作る

即興でキャラクターを演じ、物語を作る

僕らはインプロバイザーとして、即興でキャラクターを演じながら、同時に物語を作っていかなければなりません。

その際に、物語の構成を頭に思い描きながら演じてしまうと、どうしてもその場の演技が疎かになってしまったり、予定調和で動いてしまったりします。
なので「キャラクターとしてその場を生きていたら、自然と物語になっていた!」となることが理想です。

ロサンゼルスに、インプロシアター(Impro The

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物語を止める17のテクニック

物語を止める17のテクニック

インプロをやると、普段の癖がそのまま物語に反映されます。
例えば、普段からネガティブなことを言いがちな人は、物語でもネガティブになるし、普段から話の主導権を握りがちな人は、物語でも主導権を握るようになります。
そしてそれらは、時に物語が前に進むのを止める要因にもなります。

インプロの父であるキース・ジョンストンは、自身の著書である「Impro for Storytellers」で「物語を止めるテ

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「インプロ」から「台本のない演劇」へ

「インプロ」から「台本のない演劇」へ

インプロシアター(Impro Theatre)というカンパニーがロサンゼルスにあります。

彼らはフルレングスインプロ(1時間にも及ぶ即興演劇)というスタイルを探求、上演しているカンパニーで、シェイクスピア、チェーホフ、テネシー・ウィリアムズなど、様々な劇作家を題材にした即興演劇を作り、ロサンゼルス・タイム紙、バック・ステージ・ウェスト紙、ロサンゼルス・ウィークリー紙からの推薦を受けたり、世界中で

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バドミントンを通して、インプロを学ぶ

バドミントンを通して、インプロを学ぶ

昨日の深夜、ショーン・キンリーが今年の秋からスタートする予定だった「The Improvisation School」のオンラインレッスンが始まりました。

アメリカ、ノルウェー、フィンランド、インド、中国、そして日本。
世界6カ国から1人ずつで、合計6名の少人数クラス(昨日は2人休みだった)
当初の予定では、既にこのメンバーでクラスがスタートしていたはずだったのですが、コロナによってそれは来年に

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インプロゲームは、何のためにあるのか?

インプロゲームは、何のためにあるのか?

今日は久々にパティのWSを受けて、インプロゲームの意義について学びました。
インプロにはたくさんのゲームがあり、教育的なもの(インプロバイザーの能力を鍛えるもの)もたくさんありますが、中にはただ演じていて面白いだけで、むしろインプロバイザーにとって悪い影響を与え得るものもあります。

例えば「最初と最後」という、シーンの最初と最後の台詞が決まってるというゲームがあるのですが、これはプレイヤーにブリ

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表現の最適解を見つける旅

表現の最適解を見つける旅

今日の昼、シアターマスクLABOでフルマスクの稽古をしました。

フルマスクの探求をしてると、見せたいものを見せるための最適解が段々とわかってきます。
例えば、「結婚したがってる人」を見せるために必要なのは?
「結婚したいなあ」というセリフ?教会の鐘の音?床に乱雑にばら撒かれたゼクシィ?…
いずれにせよ、頑張って演技することが最適解とは限らないことがわかります。

その後、アメリカでインプロや演技

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自由とは、自分の中にある

自由とは、自分の中にある

以前、クラウンの合宿をやった時、参加者の1人が書いてくれた感想です。

今回の私の目標は、舞台上で自由に動けるようになる。失敗を恐れずにチャレンジできるようになるだった。ここ3ヶ月くらいはずっとこの目標に向かってやっているくらい、これを達成するのに大きな壁を感じていた。

そんな状態で始まった合宿1日目はもちろんいつも通りの私で、正解を求めて行動をしていた。猫の鳴き声を使って笑わせるワークでは、頭

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「何もしない」から面白い

「何もしない」から面白い

今日、久々にフルマスクを扱いました。

僕は表現というものは、「見せる」よりも「見られる」方が興味深いと思っていて、特にフルマスクはそのことを思い出させてくれます。

表現とは「見せるもの」だと思われがちなのですが、フルマスクをやると「何もしない」ことの興味深さが際立ちます。
観客は、フルマスクがただ下を向くだけで「寂しそう」と感じ、ただ真っ直ぐ立っているだけで「緊張してるんだな」と感じます。

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自分が自分じゃなくなる面白さ

自分が自分じゃなくなる面白さ

今日は久々の外稽古。それもずっとやりたかったマスクの稽古でした。

顔と声と身体を通して、自分ではない「マスク」という存在になっていく。
普段の自分ではたどり着けないような領域に行けて、衝撃的な瞬間にたくさん立ち会えるのが、マスクの面白さです。

僕がマスクに出会ったのは8年くらい前で、その時に扱ったのがキース・ジョンストンのハーフマスク(トランスマスク)でした。

↓レッスンの様子↓

マスクに

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「見せたい自分」ではなく、「見たいあなた」になる

「見せたい自分」ではなく、「見たいあなた」になる

僕が海外でパフォーマンスをしたり、ショーに出演したりする時、やっていてよかったなあと思うものが2つあります。

1つはクロサワインプロ(これについては後日書きます。参考記事はこちら)
そしてもう1つがクラウンです。

※下記写真は、フランスにあるフィリップ・ゴーリエ国際演劇学校にて

クラウンとはクラウンとは「道化師」のことで、お客さんに笑われる存在です。
日本ではピエロが有名ですが、あれはクラウ

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