見出し画像

千葉県袖ケ浦市「ひらおかサステラス」から地域にサステイナブルな生活を提案ーー長嶌美紀さん

今回お話をうかがったのは、千葉県袖ケ浦市に「ひらおかサステラス」をオープンさせた長嶌美紀(ながしまみき)さん。

長嶌さんは、元中学校の英語の先生で現在はSustainability Lab. TERRAという事業を起こし活動されています。今している取り組みがどのように動き出していったのか、そのきっかけ・現在・見つめている未来についてうかがいました。

※この記事は、NPO法人ETIC.(エティック)のアントレプレナーシップ・トレーニングプログラム「PLAY!」の修了メンバーの皆さんのインタビューシリーズ、第7回目となります。
今回は、PLAY!事務局で情報発信を担当している竹田がお届けします。

1.中学校の先生を辞めて個人事業主になるまで

竹田:長嶌さんの自己紹介をお願いします。

長嶌:生まれ育った袖ケ浦市でSustainability Lab. TERRAという事業を自分で起こして、その形態の一つとして空き家を再生して、地域の人たちが集まれる場所を作るために空き家を改装して準備しています。

ひらおかサステラスの外観

竹田:どういうきっかけで活動をされるようになったんですか。

長嶌:もともと地元で採用されて、中学校の教員をしていました。教員は、学校にずっといてその学区の地域の人たちと関わるんですけど、自分が住んでいた地域に所属している感がいまいちないと感じて。ほとんどの働いている人たちがそうだと思うんですけど、自分が住んでいる地域があって、そこで生きていくっていうベースがあるんですけど、自分は地域に所属していないなという気持ちがありました。学校教員は忙しいので、学校という場所にとらわれていました。

2019年に千葉県の袖ケ浦市あたりも台風被害を受けて、いろんな地域で停電があって、このあたりは被害が今までない所で災害慣れしてなかったのでインフラが止まって皆パニック状態になったんです。私の地域ももれなくそこに当たって、そんなとき私は学校に公務員として行かなくちゃいけない立場だったんですけど、反面この地域の人たちの暮らしがすごく気になっちゃって。自分ができることってそんなにないなって。

それで愕然としたというか。「この地域で私生きているんだよね?」みたいな気持ちになって、何かできないかなって思ったきっかけでもありましたね。それに加えて授業とかやっていても、SDGsとかの授業をどんどんやるべきなのに学校って旧体制で、コロナの時もドタバタしたんですけど、いろいろと新しい風とか教員が地域に出て活動するとか、地域の人を呼んで授業するとなると保守的で動けない所にちょっとモヤモヤしていて。

自分の地域に関われていない気持ちもある一方で、学校の教育では学校と地域を繋げたいっていう気持ちがすごくあって。そして、サステナビリティとかSDGsの授業もやりたいし、でもやりきれないみたいなジレンマが募ってきてしまい、教員ではなく地域の住民として今までの経歴を生かした活動をしたいと思って退職をして、個人事業主として何かやっていこうという気持ちになったんです。

2.挑戦を肯定してくれるコーチング

竹田:もともとはどんなことをやりたいと思っていましたか?

長嶌:教員をやめた時で、何かを自分でやりたいなと思っていて地域のために活動するなら、地域の中にどんどん入っていこうと思い、市民活動団体に入ったり、そこの団体でお祭りを作ることに参加したり。自分自身が公民館のボランティアの一員になって講座を企画したりしはじめたんです。ただ、ビジネスとしてやることは定まってなかったんですよね。

竹田:PLAY!を通してビジネスに落とし込むことを目標にしていたんでしょうか?

長嶌:ボランティアに参加して地域の人と関わりは持てていたけど、ビジネスの話ができる人はいなかったんです。ビジネス経験も一切ないから、アドバイスが欲しいなと思っていました。ソーシャルビジネスをやっている人がこの地域には見つけづらかったので、都内や地方などの例やノウハウを持っている人を教えてほしい、繋げてほしいと思い縋りつきました笑。

竹田:PLAY!に参加してみて一番記憶に残っていることや佐々木コーチの言葉で頭に残っていることなどをお聞きしたいです。

長嶌:そのころ所属している市民活動団体のお祭りで商品を売っていて、商売をする練習の場だと思い参加していました。佐々木さんとの話が月一だったので、売上や何が売れたとか反省を話すたびに佐々木さんが「いいじゃない」と肯定してくれて、「売り上げが伸びました!」と話すと一緒に喜んでくれました。

商品を売っていて、どう思い、何をしている時が一番楽しかったとか問われたのですが、売っている時が楽しいのか、お客さんと話している時が楽しいのかとか、そういうところまでクローズアップして突っ込んでくれて、この仕事のここが好きなんだなっていうのも気づけたんですね。

お店を出店したときの様子

お金の話もしました。私の資金はあまりなかったのですが、カフェをやりたいから借金してやろうか迷っていました。その時、「カフェを始めたら、厳しい話だけどカフェを経営することばっかりになって、私の楽しいとか地域社会にみたいな気持ちはなかなか乗ってこられなくなるんじゃない?」とアドバイスをしてもらいました。

竹田:PLAY!はどんな人におすすめですか?

長嶌:私は経営とかのバックグラウンドがまるでない人間だったので、誰に相談したらいいかわかりませんでした。私と同じ立場の経営経験がない人とか、未知の領域に足を突っ込んで、こういうことを始めたいけどアドバイスがほしい人は嬉しいんじゃないかなと思います。

後は、ソーシャルビジネスをやりたいけど近くにそういうことをやっている人がいないから、そういうノウハウを持っている人に話を聞きたい人ですかね。インターネットに頼ってソーシャルビジネスとか地域で起業とか検索をして、経験談とかを探したけど少ないんですよね。自分のパターンとは違うし、バックグラウンドも違うし。参考にはなるだろうけど、これでいいのかな?という気持ちは付きまとうから、自分に即した自分の立ち位置で相談できるひとが身近にいたらいいなって思います。

竹田:自分が欲しいタイミングで欲しいモデルケースを提供するというところが一番よかったですか?

長嶌:私はやっぱり「何やってるんだろう?」、「教員辞めちゃったの!?」みたいに見られることも多かったので、そういう風に見ず、挑戦していくっていう立場をまず肯定してくれる人がいてほしいとすごい思いましたね。佐々木さんは肯定もしてくれたし、ビジネス的にまずいんじゃないかっていう方向はノーを言ってくれるし、メンターという立場でいてくれたのがありがたかったですね。

3.ひらおかサステラスから地域に繋がりの場を提供

竹田:長嶌さんは前職で映像系の仕事をしていて、教育と離れた分野だと思いますが、教育に想いを持ち続けられる理由は何ですか?

長嶌:気持ちはずっと教育にありますね。やっぱり地域に貢献したいっていう気持ちもそうだし、コミュニティのために何ができるか?とか人のために自分は何をすべきか?とかって考えた時、教育っていうのはすごく大事だと思うし、その一端を自分が担うことに使命感を持ってやってきました。それが教員じゃなくてもできる事だっていうのは今わかってきているし。教育の手段として映像はあると思うんですよ。

私は教員になる前に都内の映像制作会社で勤務していました。結婚式で流すプロフィールビデオなどを多く手掛けている会社でした。大学が教育学部でしたが専攻自体は映画・映像で、昔から映像関係の仕事に憧れがありました。披露宴会場で自分の手掛けた映像が流れて、それを見た新郎新婦や出席者が感動している姿を見ることが嬉しかったです。映像制作の仕事を通してわかったことは、私は映像を見ている人が何を感じているか、何を考えているのか、何を学んだのか、を知ることに興味がある、ということでした。

それって「映像を介した教育心理」とも言えるかもしれません。ちょうど世間にYouTubeが浸透してきて、映像制作も動画視聴も個人に身近になってきた時期でもあって、映像の可能性をすごく感じ始めて。それを教員として実践してみたくなったんです。

実際、映像や映画から子どもたちが学んでますよね。私も昔見た映画からいろんなことを教わったり、想像力を持てるようになったりしました。映像にはそういう力があると思います。

子どもたちが先生の作ったスライドショーを感動してみてくれてたりする様子を見ていると、映像の力を教育に生かすべきだなと。だから、ひらおかサステラスでは映像を使った教育をやっていきたいなと思っています。

竹田:映画を見て学ぶんですか?

長嶌:そうですね。社会的な映画やメッセージ性のある映画、ドキュメンタリーなど、そういう映画を取り扱っている配給会社と提携して上映会をやりたいと思っています。そして、観に来た地域の人と意見交換をしたいですね。映画は、内容自体は遠い世界の話だったりするんですけど、それを自分事として落とし込むことをやっていきたいなと思います。

あとは、まだ具体化できてないですけど地域の子どもたちと映画作りにもチャレンジしたいです。演者も、監督もカメラも子どもたちに担当してもらう予定です。

竹田:教員じゃなくてもできると思ったからこそ、いろんな挑戦をしようと思えたんですね。ゆくゆくは、学校現場にフィードバックされていきますか?

長嶌:学校とはやっぱり離れたくないと思っています。教員の仲間もいますし。学校とコラボしてとか、そういうことはなかなかお金が絡むと難しくなっちゃうんですけど、いちボランティアとして参加していくことはできるかなと。

幸い隣近所の学校には顔を出しているし、私の素性も知れているので、早速何かやっていけるかなと思います。まだビジネスにはなっていないんですけど、ゆくゆくは出張授業とか取れるようになると嬉しいですし、サマースクールとしてこの場所を使ってもらえたらなと思います。

竹田:これからしたいことや近い未来の予定などをお聞きしたいです。

長嶌:これからやっていくのは、まずはお店です。マーケットという商品を売る場所をまずは完成させて、その後にスタジオ作りに取り組みます。多分、スタジオは7月には使えるようになる予定です。そこで子どもたちや大人も呼んで、私はヨガを教えたり、英語教室をしたりします。

スタジオは、今の時点でもう2件ほど予約が入ったんですが、その方々が、アーユルヴェーダのワークショップ、スパイスを使ったカレー作り教室をする予定です。そういうここで何かやりたいと思っている方への貸し出しがどんどん盛り上がっていけばいいなと思っています。

今後の夢が詰まったポスター

竹田:マーケットでは何を売られるんですか。

長嶌:食料品の量り売りや、オーガニック、フェアトレード商品などの“地球にやさしい”をテーマに自分で見繕った食品を並べます。東京は最近増えていますが、この地域にはそういうテーマのお店があまりなくて。

竹田:どんな食料品の量り売りがあるんですか。

長嶌:ドライフルーツとか、スパイス、調味料、食用油です。産地にはこだわって仕入れています。後は、海にやさしい洗剤も量り売りしています。自分がこれ使いたいとか、これで気持ちよく暮らせるっていうものだけ集めています。売れればいいんだけど笑。

量り売りのスパイスやドライフルーツ

竹田:盛りだくさんですね!

長嶌:自分は最終的には校長先生みたいなその場所を見守る立場でいたいです。授業は持っていたいんですけど、今後は地域の人たちも「ひらおかサステラス」をどんどん使ってくれて、運営してくれるようになると嬉しいなと思います。

インタビューまとめ

長嶌さんのお話いかがでしたか?

やりたいことがたくさんあり、夢を実現させるために日々活動されている姿はキラキラしていました。私もキャリアチェンジを恐れず、心躍る選択ができる大人になりたいです。ひらおかサステラスにもPLAY!事務局で行ってみたいです!

皆さんもぜひ足をお運びください。

〈Sustainability Lab. TERRA〉
Instagramアカウント

〈スペースレンタル〉
◆「スクール」システム:主催者が他利用者に参加料を徴収する活動で使用するレンタル(利用料は主催者からいただきます)

◆「ラボ」システム:参加料などなく、個人利用やサークル活動で使用するレンタル(利用料は利用者それぞれからいただきます)

長嶌さんのこれからの活躍をPLAY!事務局一同お祈りしています

今後もPLAY!では、自分らしい挑戦スタイルでアクションしつづけたい方々をサポートしていきます。PLAY!に少しでも興味を持ってくださった方は、ぜひお気軽にコーチング無料体験にご参加ください!

==============
【コーチング無料体験&プログラム説明会 実施中!】
PLAY!では、コーチング無料体験&プログラム説明会を開催しています!
お気軽にご参加ください♪
▶︎詳細・予約はこちら
※各日定員1名となりますので、ご検討中の方はお早めに!
==============

【WHAT'S PLAY!】
NPO法人ETIC.が主催する”個人のプロジェクト推進を支援するコーチングプログラム”です。約6ヶ月のパーソナルプログラムでアントレプレナーシップに火をつけ、あなたのチャレンジに伴走します。「実は前から頭にある『妄想』を現実にしてみたい」「本業とは別に自分の好きなことでプロジェクトを立ち上げたい」など、『アイデアを何かカタチにしたい!』という想いを持つ方をお待ちしています!
▶︎公式ウェブサイト

この記事が参加している募集

SDGsへの向き合い方

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?