「きっと、大丈夫。悪いようにはなりません。いつか笑って話せます。あなたの寂しかった日々が、誰かを助ける日が来ます」【対岸の家事(朱野帰子 著)】後編
ああ…
あまりに面白い作品すぎるのでnote3つ分にもなってしまった…。
これで絶対最後にします。
前回の続きになります。
対岸の家事(朱野帰子 著)についてです。
私が家事を丸投げされていて、それを律儀にきちんとこなしていた時、
酔っ払って帰ってきた元夫に言われた言葉が今でも忘れられません。
「ずっとこの家で、外の世界を知らずに生きてて惨めじゃないの?
俺はこうして毎晩色んな業界の偉い人に会ってるのに。」
おう、よく言ってくれたな、じゃあおめえは一生帰る家も持たずに外でうんこついたパンツと汗臭いワイシャツ一生洗わないで仕事して病んでろやボケエと思ったその時の気持ちを私は数年経った今でも抱えて生きています。
(根に持つねえ…)
繰り返される同じような毎日に孤独を感じ、自分の仕事ぶりを評価も感謝もしてもらえないと感じる専業主婦の詩穂。
そんな詩穂の下記の描写を通して、私の苦い気持ちに改めてきちんと向き合っているような感覚になりました。
誰でも出来ると言われる仕事、家事。
ここで疑問だけど、全ての仕事、誰でも出来ると思うけどなんで家事だけ誰にでも出来るとか言われるの…。
営業だって、技術系だって、マーケターだって、自分で資格とったり勉強すれば誰だって出来るじゃんね。
そして全ての仕事はみんな辛い。
みんな大変で、みんなそれなりに必死で生きている。
軽んじられて平気な人も、リスペクトもなしに甘えられて痛みを感じない人も、孤独が辛く無い人も、いないと思う。
あくまで本書はフィクションですが、キャリアと家事育児でキャパ崩壊の礼子も、孤独な専業主婦だった詩穂も、マンションから飛び降りようとした過去があります。
今日は大丈夫だった、でも明日はダメかもしれない、って思うほどの緊張感を絶えず感じていた礼子と、どうしようもない孤独を感じていた詩穂。
自分は期待していたほど容量が悪いかもしれない。
完璧に掃除された綺麗な部屋や、ニコニコ笑顔の優しいママをやれてる自分や、手の込んだご飯が並んだ生活は、予想よりはるかに難易度の高い目標だったかもしれない。
私なら出来ると思っていたことが、実は無理に近い目標だったかもしれない。
でも、何より大切なのは、「生きる」ことだと本書は言う。
主婦の一番の優先事項は、無数の家事や近所付きあいや夫婦円満でもなく、自分が「生きる」こと。
もう、その言葉だけで、この先も、ずっと生きていける。
私はこの言葉に心から癒されました。
このnoteをここまで読んでくださった誰かも、同じようにこの言葉に癒されることがあれば幸いです。
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