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第298号『天与呪縛のフィジカルギフテッド』

『呪術廻戦』の過去編「懐玉」エピソードの中で若かりし五条悟は異常なまでの身体能力を示す禪院甚爾(ぜんいんとうじ)に対して、こう表現しています。

「天与呪縛のフィジカルギフテッド」

本来、呪術者同士の闘いにおいて大きく戦況を左右するはずの呪力が全く感じられないことを悟ったモノローグの中での発言です。

また単行本5巻に収録されている「京都姉妹校交流会」エピソード中でもメカ丸自身が同じように『天与呪縛』という言葉について解説しています。

「生まれながら肉体に強制された“縛り”のことだ」

これを当てはめて考えると禪院甚爾(ぜんいんとうじ)の場合は「生まれながらにして呪力が無い代わりに驚異的な身体能力が与えられた」という解釈になります。

だからフィジカルギフテッドという表現を使っているのでしょう。

最近よく感じるのがこの「天与呪縛のフィジカルギフテッド」という考え方についてです。

通常、人は「○○が無い」と聞くとそれは不自由だったり能力そのものが人よりも劣ると考えてしまいますしかなりネガティブな印象を持ってしまいがちです。

しかしこの『天与呪縛』という考え方には「○○が無い代わりに■■が(まるで呪いのように)与えられている」という意味が込められているのです。

なんて前向きな考え方なんでしょう。

*****

自分自身に当てはめてみましょう。どんな部分でも構いません。自分自身を軽く見つめ直してみて「人よりもここが劣っているなー」って感じる部分はどこでしょう?

え、あんまりそんなことやりたくない?

むう、まぁ、そうですよね、人は自分自身の弱点や欠点を自らさらけ出したりしたくないものですよね。

わかりました、では実験ということで言い出しっぺである私自身が晒してみましょう。

自分で冷静に分析してみました。これが私自身が人よりも欠落している部分だと思います。

自分自身が人よりも劣っている(欠落している)部分
①一般的な物欲が無い(金・物・高級品・車・時計など)
②オシャレ欲が無い(服装などにこだわらない)
③ハゲ(正確にはハゲかけてる)

よし、出揃いました。順番に『天与呪縛』の方程式に当てはめて分析していきましょう。

①一般的な物欲が無い(金・物・高級品・車・時計など)
私にはこういった物欲がありません。アレ欲しいコレ欲しいというような収集欲も腕時計や車などの嗜好品にも興味がありません。だから(その代わりに)漫画・アニメ・映画・ゲームといったエンタメ全般における興味や好奇心が生まれ・育ちそれは大きくなるにつれてどんどんと膨らんでいってやがてただのオタクからこうしてプロのクリエイターとして仕事ができるようになりました。まさに「生まれながらにして物欲が無い代わりにエンタメ力を身につけた『天与呪縛』」ということになります。

②オシャレ欲が無い(服装などにこだわらない)
私は服装にこだわりというか執着がありません。時計や貴金属も身につけませんし普段からアディダスのジャージで過ごしています。というかほぼ年中アディダスしか着ていません。(仕事上スーツを着るような機会は年に10回程度しかない)なので毎日着る服で悩むことがありません。これはアップルの創設者スティーブ・ジョブズなんかもそうですが「同じ服を着ることで悩む時間を減らす=決断の回数を減らす」という行動理論に基づいています。まさに「生まれながらにしてオシャレ欲が欠落している代わりに決断の回数を減らすことができた『天与呪縛』」ということになります。

③ハゲ(正確にはハゲかけてる)
私は一般的な成人男性よりも毛根の数が少ないようです。だいたい世の中の成人男性の頭髪の毛根数はおよそ10万本と言われていますが、どうやら私はその半分の5万本くらいのようです。あ、あくまで体感的な話なので実際にはもっと多いかもしれません。まぁ仮に私の毛根数が5万本だったとして、ですよ?これって明らかに世の中の成人男性の半分しか無いってことですから、明確に『天与呪縛』が発生してしまっているわけです。では「毛根を天与呪縛により失ったことで私が得たモノ」とは一体なんなのでしょう?

えっと、なに?

あれ?

なにが、あるんだっけ?

んっと、あれ、おかしいな、出てこない?

毛根の代わりに得たモノ?

ドライヤーとかで乾かす時間?とか?

え、それだけ?つかそれ髪型とか長さによるんじゃね?

毛根の数の問題じゃないよね、違うよ、バカだな。

ええっと、ね、待って、考える。

ううーんっと、ね。

空気抵抗?

そう、前に進む時に空気抵抗が少ないよね、おかげさまで。

って、空気抵抗ってなんだよ?新幹線じゃないんだから!?

あと、そんな速度で移動してるわけじゃないからね?

空気抵抗の恩恵なんか人類に感じられるレベルじゃないよね?

え、じゃあ、なに?

なにがあるの?

え、無い?

無いってこと?

明らかに天与呪縛だよ?

毛根を失ってるんだから。

その代わりになんかくれよ!?

フィジカルにギフテッドしてくれよ、俺にも!

なんか無いのーーーーーーーーーー!?

結論:ハゲは天与呪縛ではなくただの遺伝(99%)

*****

くっそーーーーーー!無理かーーーーーー!無理だったかーーー!!

なんとか『天与呪縛』でうまいことまとめたかったのですが、どうやらハゲ(かけてる)人には適用されないようです。

まぁけど無理矢理にでも当てはめると「シャンプーとかリンスとかドライヤーがいらないから時間短縮になる」ってことなんでしょうけどね。

けど、それってさ、ぶっちゃけそこまでメリットを感じないよね。(シャンプーだけにね)

ただの結果論だよね。

フツーに考えても「え、時間短縮とかしなくていいから毛根ください」って全国のハゲとハゲかけてる人みんなが思ってるよね。

普通に髪の毛でファッサーとかしたかったし、美容室で「この辺もう少し遊んでみます?」とか言われたかったよね?もう全然髪型の選択肢が少ないから「あ、はい、全体的に整えてください、切り過ぎない範囲で」とかわけのわからない会話しかできないからね。

もっと美容師さんと会話したかったわ。

はぁ。

なんだよ、なんもイイコト無かったやん。

教えてくれよ、五条先生、俺の『天与呪縛』ってなんなの?

タイトル画像は『呪術廻戦』単行本9巻16ページより引用しました

*****

さてここからはもう少し真面目に『天与呪縛』という考え方について更に掘り下げていきたいと思います。

まぁ上の三つにしても③のハゲ(かけてる)だけは証明することが出来ませんでしたが①②に関してはだいたいあってると思います。

本来この『天与呪縛』という考え方はかなりポジティブなものだと解釈しています。

私がハゲ(かけてる)話をしてしまったのでだいぶなんか横道にそれてしまった感は否めないですが生きていく上で非常に有効な考え方だと感じています。

先に結論めいたことを言ってしまいますが結局のところ「天は二物を与えず」という考え方に極めて近しい概念だと思います。

それらを踏まえた上で再定義していきたいと思います。たぶんかなり前向きでポジティブになれる勇気が出るような話になると思うので、最近なんかクヨクヨしてしまって元気が無いなーって人にはちょっといい話かもしれませんよ。

良かったら読んで元気を出してください。それでは改めていきましょう。

天与呪縛のフィジカルギフテッド

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