週刊少年松山洋_タイトル_調整

第27号『アラブの石油王なんて存在しないんだから』

僕の作品を見ていただいていいですか?」

私は普段のゲーム開発の傍ら全国の専門学校や大学をまわったり、説明会や講演を行うことでだいたい年間のべ3,000人から4,000人の学生さんの前で話をします。

そうすると講演終了後に元気な学生さんがポートフォリオ(自身の作品集)を持って“こう”言ってきます。

「今、ゲーム会社に就職を考えていて作品を作っているのですがちょうど持ってきているので僕の作品を見ていただいていいですか?

もちろん喜んで拝見します。

で、パラパラとポートフォリオをめくるとほとんどの学生がCG(コンピューターグラフィック)作品でもなく、イラストやデッサンだけの作品集になっています。

「??えーっと、イラストしか無いみたいですが志望職種はなんですか?」

って聞くと

「なんでもやりたいです!頑張ります!

って言われます。

「いや、なんでもでは困りますよ。具体的な職種を定めていただかないと」

僕、絵が好きなんです!絵を描く仕事がしたいんです!」

「あー、だったら漫画家がいいのではないですか?」

「いえ、ゲームが大好きなのでゲームクリエイターになりたいんです!

「え、けどイラストしか描いてませんよね?」

「2Dのゲームが作りたいんです!」

「あー、なるほど」

「2Dだけだと駄目ですか?」

「いや、決してそんなことはないですけどかなり難しいですね」

何故ですか?」

「えーっと、じゃあ、今売れているゲームソフトの中で2Dゲームのヒットタイトルって何か挙げてもらえますか?」

え!?」

「挙げてもらえますか?」

うーん、あー、ヒットタイトルって3Dのゲームが多いですね」

「ですよね」

これは本当に多いやりとりでほぼ実録のような会話です。

そして続きます。

あのー、じゃあ、やっぱりイラストレーターにします!」

「あ、そうですか」

僕の絵ってイラストレーターとしてやっていけますか?あ、ゲームのキャラクターデザイナーでもいいです。絵が描きたいんです!」

「だったら漫画家になることをお勧めしますよ」

いや、僕お話を作るのが苦手なんで絵を描きたいんです!」

「じゃあ、難しいですね」

え!?難しいですか?どこが駄目ですか?」

「いや、不可能ではありませんがかなり難しい分の悪い闘いだと私は思いますよ」

どのへんが難しいですか?」

「逆に聞きますが。あなたはこのまま自分の好きな【描ける絵】を描き続けていれば、いつか誰かの目に止まって“おお、君の絵はなんて素晴らしいんだ!ぜひわが社のゲームのキャラクターデザインに採用させてくれたまえ!”って言われると思ってます?いつまでたってもそんな日はやってきませんよ?だってこの世界にそんな【アラブの石油王】なんて存在しないんだから」

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第27号『アラブの石油王なんて存在しないんだから』

松山 洋 サイバーコネクトツー

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株式会社サイバーコネクトツー 代表取締役 ゲームソフト開発タイトル代表作『.hack』シリーズ 『NARUTO -ナルト- 疾風伝 ナルティメット』シリーズ 『ジョジョの奇妙な冒険』 著書『エンターテインメントという薬』『熱狂する現場の作り方』漫画『チェイサーゲーム』

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コメント (6)
過去記事へのコメントですいません。友人の書籍編集者いわく、仕事相手のイラストレーターさんが「描きたくないです」とごねることがあるそうです。「指示ばかりされて、もはや自分の絵じゃない」との言い分があるようで、ゲーム制作でもデザインの擦り合わせの場面があると思います。
松山社長はデザイナーさんとどのようなスタンスでコミュニケーションしてらっしゃるのか気になります。お答え頂けると幸いです。
(いつもおもしろい記事、ありがとうございます)
ほほう、なるほど。我々の現場でもよくある話ですよ。ぜひ、記事で取り上げさせていただきますね!
イラスト、ゲーム、マンガの関係に関してはおっしゃるとおりだと思います。自分は美術を教えているのですが、美術の場合の「マンガ」にあたるものはなんだろうか?とか考えさせられました。
美術の場合は大半が“プロを目指している”わけではなく“趣味として楽しんでいる”ケースが多いように感じます。個人的には美術で技能を身につけた方もみんな漫画家になれば良いのに、と思います。
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