理想を叶える力がないから言葉を紡ぐしかない。

泣いても泣いてもスッキリしなくなった。泣いても泣いても何も変わらないことが脳に染み付いてきた。もうこの薬は効き目が薄い。

新しい薬を探さないと。胃の中のものを全て吐き出すことになってもいい。生きたいと思えるような、薬を。

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SNSってやっぱり残酷だ。
キラキラした生き方をしている人たちを、あなたへのおすすめとかいう機能で数え切れないぐらい見せてくる。自分の周りの人々が自分と向き合って努力してたり、休日には思いっきり楽しんだりする姿が溢れている。

どうしたって自分と比べてしまうじゃないか。これだけSNSに溺れる中で、比べるなと言うほうが無理だ。SNSはいとも簡単に“自分の理想”をまざまざと見せつけてくる。文字で、写真で、動画で。いちいち苦しくなる僕は一旦スマホを伏せて外に出るべきなのだろう。

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僕だって、素敵な写真を撮りたい。自分の愛用のカメラを片手に公園を歩いて、ふとした日常を切り取ってみたい。切り取った日常をそのまま送ってもいい。何枚か貼り合わせてもいい。それらをネットの海に流してもいい。自分の部屋だけに抱えてもいい。きっと贅沢な幸せなんだろう。

人の写真だって撮ってみたい。ふんわりとした女の子の写真とか、怪しげなストリートでクールな表情とファッションをさせたりとか、何もかもさらけ出したハダカとか。表情、影、雰囲気、身体、全て。人一人から無限にあふれ出すそれらを、小さな四角でめいっぱい捉えてみたい。

絵だって描いてみたい。自分の全てを自由に表現できるなんて最高じゃないか。残念ながら僕の指は僕の思い通りに線を描いてはくれないけれど。

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妬ましいよ、本当は。

皆自分が才能を発揮できるところで輝いて努力できているから。その様子がSNSからひしひしと伝わってくる。

僕は努力が嫌いなんじゃない。努力できるものが見つからない自分が嫌いなんだ。

自分って何なんだろう。どんなふうに見えているのだろう。どうしようもない男に見えるだろうか。僕が垂れ流すのはくだらないことばかりだ。
それでも、どこかでいい言葉を期待している。

褒められたいんだよ、どうしようもなく。

褒められるようなものが何もないのは自分が一番よくわかっている。それでも認められたいんだ。自分が見て、聞いて、感じたことを言葉にしたいから。

皆は絵や写真で表現する。そこには、僕なんかが綴る言葉よりももっと多くのメッセージが読み取れる。僕が必死に綴った言葉よりも、あの子がぽんと載せた一枚の写真の方が多くの人に認められる。

悔しいよ。でも僕は不器用だから、こうやって少しづつ言葉を綴るしかない。言葉だけは、皆に平等に与えられるものだから。絵や写真みたいにきらびやかじゃない。僕の言葉なんかせいぜいアスファルトの隙間からやっとその顔をのぞかせた小さな花みたいなものだ。それでも、誰かは見つけて立ち止まってくれる。スキという名の水をくれる。
僕の言葉が、もしかしたら誰かの力になれていることだってあるかもしれない。

言葉しかないっぽい。僕には。

理想は叶えられない生き方の中で、言葉だけが、今の僕への最高の薬だ。

言葉のおかげで今日もなんとか生きていられる。

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