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ダンデライオン 絵本の様な物語 BUMPOF CHICKENの楽曲をアレンジしたお話 バンプオブチキンに届けたくて作りました 野生の動物 タンポポの生態

★1章★家族

広いサバンナには、ライオンが家族で暮らしています。

ライオンのお母さんは、子供達を、たくましい大人のライオンに育てます。

子供たちはじゃれ合いながら、狩りの仕方や戦い方を覚えます。

ところが、一匹だけ、お母さんに甘えてばかりの子供がいます。 

オスのライオン、名前はダンデ。

お母さんは言いました。

「ダンデ!ダンデも戦う練習をしなさい!甘えてばかりじゃ、強くなれないわ!ダンデは大人になったら、ここを出ていくんだから。」

すると、ダンデは、お母さんに飛びつきました。

「えぇ~!やだよ!ずっとみんなと一緒にいる!お母さんといる!」

ダンデは怖がりで、とても寂しがりなのです。お母さんに抱きついたまま、離れようとしません。

お母さんはダンデを抱きしめました。

「ダンデ!ダンデは、とっても強い子よ。お父さんとお母さんの子供だもの。」

甘えたがるダンデに、お母さんは頬を寄せるのでした。

「お母さん、お母さん!」

ダンデは、お母さんの頬に温かさを感じました。


★2章★お母さん

時間が流れ、ライオンの子供達は大きくなり、オスのライオンは家族から離れる時がやってきました。

ところが、ダンデだけは草むらに隠れて動こうとしません。

ダンデを見つけたお母さんは、声を上げました。

「ダンデ!隠れていないで、ここから出ていきなさい!」

ダンデは、草むらの中からソッと顔を出しました。

「いやだ!ずっと、みんなと一緒にいる!お母さんといる!」

お母さんは鋭い歯を向き出しにすると、大きな声で言いました。

「ダンデ!出て行きなさい!自分の力で、強く生きなさい!」

お母さんに睨まれても、ダンデは草むらの中から出ようとしません。

「嫌だよ!お母さんと一緒にいる!」

するとお母さんは、ダンデに背を向けました。

ダンデは草むらから顔を出します。

「お母さん、お母さん!」

お母さんはダンデの呼びかけに答えません。広いサバンナに向かって歩き出しました。

ダンデには、お母さんが行く先がわかります。獲物のいる場所です。

家族は何日もの間、お腹を空かせているのです。

狩りはライオンのお母さんの役目です。家族の命を守る為に、獲物を捕まえなければなりません。

ライオンのお父さんの役目は、強い敵から家族を守ることです。ライオンは大人になると、家族の命を守る為に戦うのです。

ダンデは、頼もしいお父さんとお母さんに守られて、大人になれたのです。

お母さんの姿は、サバンナの草原の中に消えてしまいました。

「お母さん・・。」

ダンデは草むらから顔を出すと、うつむいたまま歩き出しました。



★3章★サバンナの動物



ダンデは一頭で、広いサバンナを歩きます。

すると、ライオンの匂いを感じました。

「仲間がいる!」

嬉しくなったダンデは、匂いのする方向へ向かいます。すると、草むらからメスのライオンか現れました。

「新しい家族だ!」

ダンデは喜びました。
メスのライオンに近付こうとすると、

「ガルルル・・。」

うなる声が聞こえます。
家族を守るオスのライオンが現れ、ダンデを睨みつけました。

たて髪は大きく、濃い茶色をしています。力のあるライオンは立派なタテ髪をしているのです。

オスのライオンは大きな口を開けると、鋭い歯を見せつけて、

「ガオーーッ!」

大きな声で吠えました。

「うわぁ~っ!」

驚いたダンデは、慌てて逃げ出しました。

ライオンが新しい家族を作る為には、群れの中で一番強いオスのライオンと戦い、勝たなければなりません。

臆病なダンデには、とても立ち向かう事ができません。ダンデは、木陰で小さくなって怯えました。

ダンデが動き出せずにいると・・

ドシン!ドシン!大きな足音が聞こえます。

「なんだろう?」

ダンデは顔を上げました。

「パオーン!」

鳴き声が響く先に顔を向けると、そこには、元気に長い鼻を上げる象の子供と、お母さんがいました。
象の子供はダンデに気付くと、すぐに長い鼻を下ろしました。怯えた声で、お母さんに話し掛けます。

「お母さん、ライオンがいるよ。嫌だよ、怖い!」

ドシン!ドシン!

象のお母さんは力強い足で歩き出し、子供に声を掛けます。

「大丈夫よ!お母さんから離れないで、ついていらっしゃい!」

象の子供は、もう一度長い鼻を上げて元気な声を上げました。

「うん!待ってよぅ、お母さ~ん!」

象の子供は嬉しそうに、お母さんを追いかけて寄り添います。

象の子供は、大きな木の下に集まる象の群れの中に入りました。象の大人達は、長い鼻で子供達と触れ合い、可愛がります。

ダンデは、象の子供がお母さんに甘える姿を、ずっと眺めていました。


象の群れがいなくなるとダンデはサバンナを歩き出しました。

次に出会ったのはキリンの親子でした。

キリンの子供もダンデを見つけると、お母さんに寄り添います。

「お母さん、ライオンがいる!嫌だよ!怖いよ!」

「こっちへ、いらっしゃい!」

キリンのお母さんは、子供を守る様に並んで走り出しました。

今までダンデは、お母さんの側で沢山の動物を食べて生きてきました。

サバンナで暮らす多くの動物にとって、ライオンは嫌われ者なのです。


★4章★一頭の夜

サバンナに、暗く冷たい夜がやってきました。

歩き疲れたダンデは、木の下で休みました。

ダンデにとって、一頭で過ごす夜は初めての事でした。

冷たい風がダンデに当たります。

ダンデは目をつぶると、お母さんの事ばかり思い出します。

「お母さん・・。家族が欲しいよ・・。」

ダンデは、次の日も、その次の日もサバンナを歩き周りましたが、オスのライオンに立ち向かう事ができませんでした。

臆病なダンデには、家族を作ることができないのです。


★5章★出会い

少し痩せたダンデは、今日も広いサバンナを一頭で歩きます。

水の匂いを感じながら歩き続けると、川が広がっていました。

川に掛かる吊り橋を見つけるとダンデは橋を渡り川を越えました。

すると‥

橋の向こうで出会ったのは、一輪のタンポポの花でした。

まるで太陽のように、金色の花びらをめいいっぱいに広げています。

ダンデはタンポポに近づきました。

「お前は、俺が怖くないのか?」

すると、吹き抜ける風と共にタンポポは一度だけ頷きました。

ダンデはタンポポの側に座りました。
ダンデの頬は濡れていました。

ダンデは草の上に横たわると、タンポポに頬を寄せました。ダンデは濡れた頬が温かくなるのを感じました。

太陽の光がダンデとタンポポを包みました。

ダンデは暖かさを感じながら、ゆっくりと眠りにつきました。


★6章★雨

次の日は、雨が降りそうな曇り空でした。

タンポポは、ずっと無口で何も話しません。タンポポの花びらは小さくまとまって、開こうとはしないのです。

ダンデは川辺に向かいました。

(お土産を持って帰ろう。)

すると、草むらの中から眩しい光が見えました。

ダンデが近付くと、輝いていたのは小さな石でした。まるでタンポポの花びらの様に金色に輝いているのです。

ダンデは、金色の小石を気に入りました。

「この小石を、お土産にしよう!」

ダンデは小石を口に咥えると、タンポポの元へ運びました。

ダンデはタンポポの葉っぱの側に金色の小石を添えて言いました。

「お前によく似た色だろう。」


ゴロゴロゴロ・・。

ダンデは、雷の音に気付きました。

ポツン、ポツン!

ダンデが顔を上げると、分厚い雲が重なり、雨が降り出しました。

ダンデは、前足でタンポポを囲むように立ちました。

ゴロゴロゴロ・・。

雷の音は大きくなり、雨は激しくなりました。

ザアザアザアザア・・

ゴロゴロゴロ・・

雨の音と雷の音が重なります。

ゴロゴロ、ピシャーーン!

近くで大きな雷が落ちました。

ゴロゴロゴロゴロ!

雷は激しい音を響かせて、ダンデの元へ近づいてきます。それでもダンデは、タンポポの側を離れませんでした。

押し潰されてしまいそうな、激しい雨がダンデに降りかかります。

ゴロゴロゴロ・・

すると、黒い雨雲が眩しい光を放ちました。

ピシャン!

ガッシャーン!

大きな雷は、吊り橋の元へ落ちました。

ガラガラガラン!

砕けた吊り橋の欠けらが、ダンデの元へ飛びかかります。ダンデは逃げませんでした。

ガラガラガラッ!

バタン!

飛び散った吊り橋の破片と一緒に、ダンデは倒れました。

ダンデの体からは真っ赤な血が流れます。吊り橋の破片がダンデの体に突き刺さったのです。

激しい痛みがダンデを襲います。

体に力が入らず、立ち上がる事ができません。ダンデは痛みをこらえました。

雨の音が聞こえなくなると、目の前は真っ黒になりました。

ポツン、ポツン。

ダンデの頬に雨の粒が当たります。濡れた頬には冷たさを感じました。

目を開けると、雨に濡れるタンポポの姿が見えました。

タンポポは大粒の雨の雫を落として、うなだれていました。

ダンデは大きく目を開くと、両足に力を入れて立ち上がりました。

鋭い歯を見せて、大きな声を上げました。

「お前を泣かすものか!」

やまない雨は、ダンデの体の血を流します。ダンデは歯を食いしばり、前足でタンポポを囲みました。

冷たい雨は降り続けます。

前足に力を入れて、倒れそうな体を精一杯支えます。

ダンデの体は冷たくなり、動く事も、声を出す事もできなくなりました。

ダンデは目をつぶりながら、雨が止むのを待ちました。


★7章★太陽

シトシトシト・・

ポツン、ポツン。

雷の音が消えて、雨の音が無くなりました。雨が止んだのです。

すると、雲の隙間から太陽が顔を出しました。

ダンデは太陽の暖かさを感じました。

バタン!

ダンデは、倒れました。

目を開くと、太陽に向けて顔を上げるタンポポの姿が見えました。

タンポポは、少しずつ金色の花びらを開かせます。

タンポポが大きく花びらを開かせると、ダンデは目をつぶりました。

すると、ダンデに頬を寄せるお母さんの姿が見えました。

ダンデは、雨に濡れた頬に冷たさを感じましたが、体の中に温かさを感じました。

雲の隙間から、太陽の光が差し込むと、ダンデとタンポポを包みました。

タンポポは、ダンデの側で金色の花びらを、めいいっぱいに開かせます。

ダンデは、不思議と寂しくはありませんでした。

ダンデはタンポポの側で眠りにつきました。



長い時間が流れました。

何度も何度も季節が巡りました。


★8章★ダンデライオン

よく晴れた、ある日のこと。

ライオンの家族が川辺へやってきました。

ライオンの子供は、大きな声でお母さんを呼びました。

「お母さん、こっちへ来てよ!ねぇ、見て!」

川辺には、まるで金色の化粧のように、タンポポの花畑が広がっています。

ライオンの子供たちは、タンポポの花畑に入り、じゃれ合いました。

甘えたがりの一匹のライオンが大きな声を上げます。

「お母さんも、おいでよ!」

お母さんは、花畑から顔を出す一輪のタンポポに気付きました。まるで大きく背伸びをしているようです。

タンポポは、吹き抜ける風に揺れています。

ライオンのお母さんは、花畑に入ると大きく背伸びをするタンポポに頬を寄せました。

タンポポは、太陽に向かって、金色に輝く花びらを、めいいっぱいに開かせます。

まるで、大きな声をあげているかのように。

動画視聴は、こちら↓


動画には、タンポポが綿毛になる過程も描きました。是非、ご視聴下さいませ!よろしくお願いします。

このお話は、バンプオブチキンさんの楽曲【ダンデライオン】の歌詞の物語をアレンジしたものです。歌詞には、ライオンのお母さんは出てきません。

私は、この【ダンデライオン】の動画を制作する事を目標にして、約3年間、30作品程の動画制作に励みました。

目標は3つです。
1、バンプオブチキンさんに物語を視聴して頂きたい事、
2、この物語を好いて下さる方にバンプオブチキンさんの曲も知って頂きたい事、
3、野生の動物と植物が懸命に生きる姿を伝える事です。

憧れの方の力に乗りたい訳でなく、プロの作家になり、バンプオブチキンさんに感想を聞くことが最大の目標です。
その為、プロとしての実績が必要なので、今後はnoteにて文章とイラストで物語を描いて可能性を試します。

動画はもう作れないので、今までの集大成として、この作品を作りました。

動画も視聴頂けたら嬉しいです!

そして、何よりバンプオブチキンさんのダンデライオンも是非聞いてみて下さい!
20年ほど前にバンプさんが制作されたCDアルバム【ジュピター】に収録された最後の曲です!時間が経っても、素敵な曲です!

最後まで読んで頂き、ありがとうございます!

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