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4話★ゴミ清掃員のヒーローの物語 滝沢秀一さんの体験を児童小説にしました! クリーンアースレンジャー

「着いたぞ!ゴミを集めよう!」

ゴミ清掃員のクリーンアースレンジャー、ブルー、グリーン、そして新人のピンクは次のゴミ集積所へやってきた!

↓1話は、こちら


★4話★

クリーンアースレンジャーは、カッコ悪い!?


次のゴミ集積所にも、沢山のモッタイナイお化けが待っていました。

「モッタイナイネギ~!
子供に【野菜は嫌い】って言われて、捨てられたネギ~!」

「僕は見た目が悪いと言われて、捨てられたバナナ~!黒くなっても、食べられるのに~!」

野菜や果物のお化け達が、3人の周りをフラつきます。

「モッタイナイね!
でも、僕達は捨てられた物を持って帰ってはいけないの!だから、片付けるよ!ごめんね!」

ブルーとグリーンは、お化け達の横でゴミ袋を運びます。
ピンクだけは、野菜のお化け達から離れてゴミ袋を運びます。

(私は、野菜が苦手なのよね。
工夫して食べられるように、今日から頑張ろう!)

そう心に誓って、ピンクはゴミ袋をトラックのバケットへ入れました。

「この集積所も、ゴミが多いわね。」

「日本って、部屋の片付けがブームになっているよね。
でも、使える物ならゴミにしないで、リユースをして欲しいな。」

「買っては、捨ててを繰り返す!
そして、片付けた自分に大満足!
そんな片付けならば、地球にとって大迷惑だぜ!」

そう叫んだブルーは、ゴミ袋から 突き出た雑誌を取り出しました。

雑誌の表紙には、【すっきりキレイ!部屋の片付け方を教えます!】と書かれています。

「部屋の片付け方だけでなく、ゴミの分別も教えてやってくれ!
雑誌はリサイクルをすれば、再生紙に変わるのにモッタイナイぜ!」

そう言って、ブルーはゴミ袋を両手いっぱいに抱えました。

「今日も、大量だぁ!」

頑張るブルーを見て、ピンクも負けずに腕を上げます。

(ブルーは何年もの間、ずっとゴミを集めてきたのよね!
私は1日目なんだから、もっと頑張らなきゃ!)

そう思いながら、気合いを入れてゴミ袋をつかみます。

「ヨイショ!」

すると、フワフワした柔らかさを感じました。

「あれ?これって・・?」

はちきれそうな程に膨らんだゴミ袋の隙間から、クリッとした目が こちらを見ています。 

ティラリーーーン!

「いや~っ!」

ショックを受けたピンクは、53パワーダウン!

「これって、ぬいぐるみじゃな~い!」

ガックーーン!

力が抜けたピンクは、座り込みました。
すると、ブルーが呼びかけます。

「そんなの、よくある事だぞ!
こっちの袋を見てみろ!
UFOキャッチャーで取れた ぬいぐるみが沢山入っているぞ!」

ブルーは手に持ったゴミ袋の隙間から、ウサギのぬいぐるみを見せました。

ピンクは、またまたガックーーン!
地面に手をついて、うなだれました。

「私は子供の頃から、ぬいぐるみが大好きなの!この子達を助けたいわ!」

すると、ブルーは首を横に振って叫びます。

「諦めろ!
俺達は、【捨てられた物を、持ち帰ってはならない】というルールを忘れるなよ!
このぬいぐるみ達に明日はない!
俺達が、トドメを差すしかないんだ!」

「そんなぁ~!可哀想よ!
まだ使えそうじゃない!」

悲しむピンクを気にせず、ブルーは ゴミ袋をバケットの中に入れてボタンを押しました。

「必殺!クリーンクラッシャー!」

ゴゴゴゴゴゴ!

プレス板が動くと、ぬいぐるみの中からモッタイナイお化けが出てきました。

「UFOキャッチャーのぬいぐるみは、キャッチできたら役目は終わり!
短い人生だよ~。」

「モッタイナイよ~。遊んでよぉ~。
抱きしめてよぉ~。うわーん!」

お化け達が、大きな声で泣き出しました。

ゴオン!ゴオン!

「ごめんね・・。」

クリーントラックは悲しそうに呟きましたが、プレス板は ぬいぐるみを押し潰していきます。
ピンクは、涙を こらえました。

「ごめんね!助けられなくて、ごめんね!」

ピンクが叫んだ、その時でした。

ゴロン!

バケットの中から、人間の女の子の人形が顔を出したのです。
まぶたは閉じていて、スヤスヤと眠っているように見えました。

ゴゴゴゴゴ!

そんな安らかな姿を気にせずに、プレス板は力強く動きます。

「ちょ、ちょ、ちょっと!
女の子の人形がいるわよ!」

ピンクは、慌ててブルーに声を掛けました。

「わっ、わかってるけど、仕方ないだろ!ゴミなんだから!」

そう答えたものの、ブルーも苦しそうな顔を見せます。

ガツン!

人形の頭にプレス板が当たると、顔が下へと押されました。
その瞬間、パチリとまぶたが開いたのです。
大きな瞳は、ピンクとブルーを見つめています。

「ママ・・。」

「えっ・・?」


ピンクの顔は、真っ青になりました。
可愛い声が、人形から聞こえたのです。

「ママ、おなか すいた・・。」

「ギョッエエーー!」

これには、ブルーの背筋も凍りました。

「怖い!怖い!呪われる~!」

「頼む!まだ使えるなら、リユースをしてくれーー!」

2人は置かれていたゴミ袋を全てつかんで、トラックに放り込みました。

「次に行くぞーー!」

あっという間に集積所を片付けて、3人はトラックに乗り込みます。

ブルルル!

エンジンが掛かりトラックが走り出すと、ピンクはゲッソリした顔で うなだれました。

「怖かった。はぁ・・。」

ピンクは、深いため息をつきました。
そして、ブルーを見つめます。

「ねぇ、ブルー。お願いがあるの。」

「何?」

「いらなくなった ぬいぐるみでも、キレイな物なら子供達に譲る事ができるのよ。」

ピンクが目を潤ませると、ブルーが明るい声で答えました。

「寄付をする取り組みの事だね。」

「そうよ!
寄付の活動をしている方達に送れば、ぬいぐるみを必要とする子供の元へ運んでくれるの。
一度 役目を終えた ぬいぐるみが、第2の人生を送れるのよ。
だから、その事も本に書いて欲しいの!」

↑寄付品は、汚れのないキレイな物でお願いします

「オッケー!任せてよ!」

ブルーが返事をすると、ピンクの表情は明るくなりました。その横で、グリーンが声を掛けます。

「日本人の考える事って、スゴいよね!
ギニアに来た日本人は、僕達に色々な事を教えてくれたよ!」

「どんな事?」

ピンクが尋ねると、グリーンは嬉しそうな顔で答えます。

「僕は とっても貧しい国で育ったから、先進国みたいに教育を受けられず、知識が乏しかった。
そしたら、日本人が来て色々な事を教えてくれたの。
最初は、井戸の作り方!おかげで、キレイな飲み水が飲めるようなった。
次は、学校を作ったんだ。子供達は勉強ができるようになったんだよ!」

「へぇ!それは、スゴイね!」

立派な日本人がいると聞いて、ピンクとブルーは嬉しくなりました。

「素晴らしい日本人がいるのね!」

そう笑顔で答えたものの、ピンクは暗い顔に戻りました。

「でも、今の日本の環境は良いとはいえないわよね。
贅沢に慣れてしまって、食べられる物を捨てても何とも思わなくなっているもの。」

すると、ブルーが真剣な顔で話します。

「知恵を生かした日本人は、便利な物を沢山作って日本を豊かにした。
でも物が増えて、大切に使う気持ちを無くす人が増えてしまった。
作り過ぎた物は大量のゴミになり、自然を壊している。
現代を生きる日本人は、貧しい国に住む人達のように、物を大切にする気持ちが必要だね。」

「そうよ。物でも、動物でも、人でも、相手を思いやる気持ちが必要よね。」

ピンクが答えると、2人は黙ってしまいました。
でも、グリーンだけは変わらずに2人に笑顔を向けます。

「日本では、子供の頃から色々な事を学べていいよね。
日本人の考える力で ギニアの環境を良くできたんだから、日本の環境だって変えられるよ!」

その言葉を聞いて、うつむいていたピンクは顔を上げました。

「その為には、日本が無くしたものを取り戻さないといけないわ。」

ピンクは、グリーンを見つめます。

「グリーンは、日本が無くした大切なものを持っているわ。
私は、ギニアから日本に来て、この仕事を選んでくれたアナタに とても感謝しているの。日本の為に働いてくれて、本当にありがとう!」

すると、グリーンは嬉しそうに笑います。

「フフフフフ!あとで、ピンクにもブルーにも、ジュースを奢っちゃうよ~!」

「フフフフフ。」

3人が笑い合うと、トラックが止まりました。

「おーい、みんな!お待たせ~!」

元気よく声を上げたのは、クリーントラックです。

その声を聞いて、ブルーは今日一番の笑顔を見せました。

「ここの集積所は、俺達のお気に入りの場所なんだ!」

「えっ?どうして?」

「降りれば、わかるよ!」

そう答えて、ブルーは勢いよくトラックから降りました。グリーンも後に続きます。

すると、2人は誰かに向かって大きな声を上げたのです。

「クリーンアースレンジャー、ブルー参上!」

「グリーンもいるよ!みんな、待っていてくれて、ありがとう!」

「えっ?誰がいるの?」

ピンクも2人に続いてトラックから降りると、そこには保育園があり、小さな子供達が集まっていました。

保育園の庭から、ゴミ集積所を眺めているのです。

「来たよ!クリーンアースレンジャーが来たよ!」

一人の男の子が大きな声を上げると、ブルーは子供達に向かって手を振りました。
子供達も、笑顔で手を振り返してくれます。

「今日は、新しく仲間になったピンクもいるよ~!」

ブルーがピンクを紹介すると、子供達は目を輝かせました。

「わぁ!ピンクだ!」
「女の子だね!」
「頑張って!」

子供達のキラキラした眼差しを見て、ピンクの心は舞い上がりました。
思わず、ガッツポーズを作ります。

「私は、ピンク!ゴミモンスターを、やっつけるわよ~!」

ピンクは、勢いよくゴミ袋をつかみます。

「ファイトいっぱーーつ!!」

元気ハツラツになったピンクは、ゴミ袋をバケットに入れました。
その横で、ブルーがトラックに付いたボタンを押すと、今度はクリーントラックが大きな声を上げます。

「元気があれば何でもできるーー!
クリーンクラッシャー!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!

プレス板が動いて、ゴミはトラックの中に飲み込まれていきます。子供達は大喜びです。

「うわ~!動いた!クリーンクラッシャーだ!」
「働く車って、すごいね!」
「トラックがゴミモンスターを、やっつけたよ!」

子供達の喜ぶ声が嬉しくて、3人は 張り切ってゴミ袋を運びます。

「ゴミモンスターに負けないぞー!」
「頑張るぞー!」「おう~!」

すると、子供達の声援が響きます。

「頑張って!」「頑張って!」

気合いの入った3人は、 あっという間にゴミ袋を片付けました。

「もう行かないと!」

「応援してくれて、ありがとう!」

「また来るね!」

大きく手を振って、3人はトラックに乗り込みました。

ブルルルルル!

トラックは走り出します。
3人の気持ちは高まったままで、笑顔で話します。

「あの子達は、私達をヒーローと思ってくれているのね!とっても嬉しいわ!」

「可愛いよね!フフフフフ!」

「みんな、良い子だよ!フフフ!」


3人は、嬉しそうに笑い合いました。

ブルルル!

トラックは、少し走って次の集積所に止まります。

「よし!着いたぞ!降りよう!」

ブルーの掛け声で、3人はトラックから降りました。

「あぁん?何だよ!ゴミ収集車かよ!」

突然3人に向けられたのは、熱い声援ではなく、怒鳴り声でした。

近くの駐車場にいた男の人が、目をつり上げています。

「今から、車を出すんだよ!
トラックは邪魔なんだよ!」


ブルーは、男の人に向けて頭を下げます。

「おはようございます!
すぐに ゴミを集めます!」


そう言って、ブルーは すぐにトラックのボタンを押しました。グリーンと一緒に、沢山のゴミ袋を抱えます。

すると、横を通る小学生が鼻をつまみました。

「くっせ~!」

小学生の隣にいた大人も、嫌そうな顔を向けます。

「やっだ~。臭いから、こっちにおいで!」

2人は、汚いものを避けるように通り過ぎました。

ピンクは そんな2人から目をそらして、ゴミ袋をバケットの中に運びます。

3人は、素早い動きでゴミ袋を全て片付けました。

ブルーは、男の人に もう一度頭を下げます。

「収集は終わりました!ご協力頂き、ありがとうございます!」

「早くどけよ!」

そう言われて、3人は急いでトラックに乗り込みました。

ブルルルルル!

トラックが走り出すと、ピンクはホッペを膨らませて、ムスッとした顔を作ります。

「ゴミを集めているのに、邪魔だとか、臭いなんて言うのは失礼じゃない?
みんなが出したゴミなのに!」

ブルーは、落ち着いて答えます。

「気持ちはわかるけど、こういう事はよくある事だよ。
対抗すればトラブルになるから、まずは丁寧に挨拶をしてね。」

「・・はい。」

小さな返事をすると、ピンクは下を向いて黙りました。

ブルルル!

信号の色が赤に変わったので、トラックは止まります。

すると、グリーンが窓の外を見て笑いました。

「ピンク!窓の外を見てよ!
男の子が、こっちを見て笑っているよ。」

「えっ?どこ?」

ピンクも、窓の外を眺めます。
首を伸ばして、トラックの下に目を向けると、小さな男の子が お母さんと手を繋いで道路沿いに立っていました。

男の子は、トラックを指差して嬉しそうに笑っています。

「手を振ろうよ。」

グリーンが笑顔で手を振ると、男の子は元気良く手を振り返してくれました。

ピンクも、笑顔で手を振ります。

ブルルル!

信号が変わり、トラックが進んでも男の子は ずっと手を振って、トラックを眺めています。

「小さい子って、働く車が好きだよね。」

「そうね。」

グリーンは嬉しそうでしたが、ピンクは窓の外を眺めながら呟きます。

「あの子も大きくなったら、私達を見て【臭い!】って言うのかしら・・。」

悲しそうに うつむくピンクに、グリーンは答えます。

「臭くても、クリーンアースレンジャーはカッコいいよ!」

「・・・。」

ピンクは、黙っています。

すると、ブルーが口を開きました。

「ピンクは、クリーンアースレンジャーのレッドを知らないよね?」

「えっ?レッド?」

ブルーは、運転をしながら話を続けます。

「レッドは 、2人の子供を持つお父さんなんだ。

高校生の息子に、【親父は働いている時は、話しかけるなよ!汗だくでクセェし、友達に見られたら みっともねぇよ!】って言われたんだって。」

その話を聞いて、ピンクはガックリと肩を落としました。

「そんな事、言わなくてもいいじゃない・・。」

「そういう年頃だからね。」

ブルーが答えると、トラックが止まりました。

ブルルル!

「さぁ、降りよう!」

「おう!」「はい。」

3人がトラックから降りると、目の前の集積所には、沢山のゴミ袋が集まっていました。

ブルーは、集積所の先に延びる狭い通路に指を向けます。

「この通路の先にも集積所があるんだけど、トラックは入れないから、自分達でゴミを取りに行くんだ。」

「えっ?取りにいくの?」

ピンクは、嫌そうな顔で答えました。

すると、グリーンが元気良く声を上げます。

「僕が行くよ!
ギニアにいた時に、日本人に助けてもらったから!」

そう言って、グリーンは走り出しました。

「じゃあ、俺達は ここの集積所を片付けるぞ!」

「・・はい。」

ピンクは嫌そうな顔を見せた事を、申し訳ないと思いました。

トラックに付いたボタンを押して、2人はゴミ袋を持ち上げます。

「さっきの話なんだけど・・。」

ブルーは、体を動かしながら話します。

「レッドの息子は、クリーンアースレンジャーをカッコ悪いと思っているみたいだけど、俺は仲間をカッコ悪いと思った事は1度もないよ。」

ピンクはゴミ袋を抱えながら、黙って耳を傾けます。

「レッドは、ベテランなのに威張る事もなくて、積極的にゴミを集めに行くんだ。
レッドの力って、すごいんだよ!
大量のゴミを持って、全力で走るんだ!」

そう言ってブルーは、沢山のゴミ袋をバケットに放り込みました。

ゴウン!ゴウン!

すると、プレス板の音に紛れてグリーンの声が聞こえます。

「持ってきたよーー!」

両手に沢山のゴミ袋を抱えながら、グリーンはこちらへ向かって走ってきます。
ブルーは、懸命に走るグリーンを見つめました。

「俺はね、ゴミ袋を抱えて走る仲間を最高にカッコ良いと思ってる。
レッドの息子に会えたなら、【君のお父さんは、メチャクチャ カッコ良いよ】って伝えたい。」

トラックの前に到着したグリーンは、ゴミ袋をバケットに入れました。

「ヨイショ!」

額の汗を拭き取るグリーンに、ブルーが声を掛けます。

「グリーン、ありがとう!まだ、ゴミは残ってる?」

「うん!あと少し!」

「よし!次は、俺が行く!
ここは、2人に任せた!」

そう言って、ブルーとグリーンはハイタッチをしました。

「いってらっしゃい!」

次は、ブルーが走り出します。
グリーンの額の汗は止まりません。

「ゴミが沢山あって、一度では運べなかったよ。
もう少し、ゴミが減るといいな。ふぅ~。」

大きな息を吐き出すグリーンに、ピンクは声を掛けます。

「ゴミを運んでくれて、ありがとう!
グリーンが走る姿は、とってもカッコ良かったわ!」

「えへへ。ピンクだって、カッコいいよ!」

グリーンが笑顔で答えると、ピンクは目をそらしました。

「私は、足を引っ張ってばかりだわ。」

「そんな事はないよ!
ピンクもブルーも、クリーンアースレンジャーは、み~んなカッコいいよ!」

笑顔を絶やさないグリーンを見て、ピンクも笑顔を作りました。

「ありがとう、グリーン!
そうよね!クリーンアースレンジャーは、みんなカッコいいよね!」

「うん!」

2人は笑い合って、目の前のゴミ袋をつかみました。

「さぁ、ここのゴミを片付けよう!」

グリーンは、トラックのバケットに向かってゴミ袋を放ります。すると、袋の中から汚れた靴が転がり落ちました。

「わぁ!いいなぁ、この靴!欲しい!」

グリーンは靴を拾って、目を輝かせます。
でも、ピンクは そうは思えません。

(誰かが履いていた靴なんて、汚いじゃない。)

そう思いながら、指を靴に向けました。

「汚れているよ。」

「洗えば落ちるし、まだまだ使えるよ!」

そう返されたピンクは、口を閉じました。
靴は汚れたら買い換えれば良いと思っていたからです。

「ギニアにいた頃は、いつも靴に穴が開いていたんだ。この靴は、まだ2年は履けるよ。」

そう言って、グリーンは靴をトラックに入れました。

「貰ってはいけないから、ゴミにするしかないけどね。モッタイナイ!
僕には、まだ使える物はゴミとは思えないよ。」

ゴウン!ゴウン!

プレス板が動いて、靴は潰されます。

苦しむように折れ曲がる靴を見て、ピンクは昔買ったスニーカーを思い出しました。

(新しい靴が増えたから、あのスニーカーは捨てたのよね。 状態は良かったのに、リユースするのが面倒だった。
私も、物を大切にできない日本人なのね・・。)

「はぁ・・。」

ピンクはため息をつきながら、ゴミ袋を持ち上げます。

ポトン!

すると、目の前に小さなゴミ袋が落ちました。
袋は小さく揺れています。

(えっ?何、これ?)

ピンクは、眉間にシワを寄せました。

「ギョミーーン!
ゴミモンスターの気配を感じます!」

ゴミリンが叫ぶと、ピンクは目を丸くします。

「やっぱり!袋が動いてる!」

そう言うと同時に、袋に顔が浮かび上がったのです。

「ぎゃーー!目玉が、いっぱい出てきた~!」

ピンクが叫ぶと、グリーンがゴミ袋に近づきます。

「ネズミかな?」

グリーンは、袋の中を覗きます。

すると・・。

ディロリロリーン!
ゴミモンスターが現れた!

「ケケケケケ!
僕は、ウジ虫モンスターだっよ~ん!

ビックリマンシール風

袋の中の食べ物が腐ったの!そして、ハエのお母さんが卵を産んだよ~!
これは、まさに母の愛!生まれて すぐに栄養を取れるから、ウジ虫は元気に増え続けたよ~ん!」

な、な、な、な~んとっ!
袋が揺れていたのは、中で大量のウジ虫が動いていたからなのです。

「ギョエーー!気持ち悪い!!」

2人は叫びました。

すると その時、ブルーがゴミ袋を抱えて戻ってきたのです。

「ただいまーー!
そっちは、終わりそう?」


ブルーが2人に声をかけると、ピンクは真っ青な顔で助けを求めます。

「ウジ虫モンスターが現れたのよ!
ブルーが、やっつけてよ!」

「ええぇーーっ!?」

ブルーは、飛び上がりました。

「ウジ虫~!?ムリ、ムリ、ムリ!!
俺は、ウジ虫が世界で一番 大っ嫌いなんだ!」


ブルーは全力ダッシュで逃げようとしましたが、すぐにグリーンが捕まえました。

「ブルーがリーダーなんだから、やってよ!」

「そうよ!クリーンアースレンジャーは、カッコいいわよね!
ブルーが、やっつけてよ!」


3人は、嫌な仕事を押し付け始めました。

「ブルーがやってよ!」「やだ!」
「グリーンがやって!」「やだ!」


するとブルーは、電柱の影に隠れました。

「ピンク!
これは修行だと思って、ウジ虫モンスターと戦ってくれ!頼む!」


ブルーは、小さくなって頭を下げます。

「何よ、それ!
情けないリーダーね!」

呆れたピンクは、仕方なく覚悟を決めました。

「私は自然が豊かな場所で育ったの!
臭いカメムシやゴキブリと一緒に暮らしてきたのよ!ウジ虫になんて負けないわ!」

ピンクがそう言うと、ウジ虫モンスターがウネウネと動きました。

「ウジ虫が生まれるような生活をする人間が悪いんじゃーん!」

「えっ・・?」

おっしゃる通りの言葉が返ってきたので、3人は黙ってしまいました。

「・・そ、それでもね!
私達は違反ゴミ以外は、残して帰る訳にはいかないのよ!」


必死に言い返したピンクは、右腕に力を集中させます。

「私は、ゴミを集めるクリーンアースレンジャー!ゴミから色々な事を教わったわ!
もう、好き勝手にゴミを作らない!
1人1人が協力しないといけないのよ!」

ピンクが熱い鼻息を出すと、右腕に血管が浮かび上がりました。

「こ、これは、まさか!」

電柱の影に隠れているブルーは、目を丸くしました。

ピンクのエネルギーが、右腕から溢れ出ているのです。
すると、ゴミリンが叫びます。

「クリーンパワー53倍!!バグキャッチ!!」

グワシッ!

ピンクは溢れ出るエネルギーと共に、ウジ虫の入った袋をガッツリと掴みました。

「うおらーーー!」

ウジ虫モンスターは勢い良く、トラックの中へ放り込まれます。

ズバッシャーーーーー!!

「ウジ虫!?イヤーーー!」

大量のウジ虫が放り込まれて、クリーントラックはショックで白目になりました。

一番最悪なのは、クリーントラックかもしれません。

「ケケケケケケ~!」

プレス板が動いても、ウジ虫モンスターは楽しそうに笑っています。

「食べ物の管理ができない人間は、 いっぱいいるも~ん!
またすぐに、生まれちゃうよん!ケケケケケ!」

ゴウン!ゴウン!

プレス板に飲み込まれて、ウジ虫モンスターはトラックの中に入りました。

ティッ、ティッリーン!

YOU WIN!!

ピンクのレベルは上がった!

グリーンは、大喜び!

「すごい!ピンクが覚醒したよ!」

「えっ?覚醒って何?」

力が抜けたピンクは、肩を落として言いました。

「本気でゴミと向き合えるようになると、覚醒するんだよ!
地球の環境を守るヒーローになる素質があるってことだよ!」

すると、ブルーが電柱の影から出てきました。

「俺は、ゴミで覚醒するまで3年も掛かったのに・・。
ピンクは1日で覚醒するなんて、すごいぞ!」

「頑張ったギョミ!」

ゴミリンが声を上げて喜ぶと、ピンクは今日一番のガッツポーズを見せました。

「さぁ、この集積所をサッサと片付けるわよっ!時間がないわ!」

「おう!」

3人は、素早い動きで全てのゴミ袋をバケットに入れました。

「次も、頑張るぞ!」

「みんなで頑張ろう!」

「イエッサー!」

3人は気合いを入れ直して、トラックに乗ります。

「おえぇ!おっえ~。」

クリーントラックだけは、ウジ虫を無理やり突っ込まれて気持ち悪そうです。

ブルルル・・!

それでも、トラックは次の集積所に向かって走りました。

「次は、この先にある集積所だ!」
「私が、ゴミを集めに行くわ!」

3人は、その後も何度も何度もゴミを集めて回りました。

どこに行っても、集積所は臭いゴミで いっぱいです。

ディロリロリーン!

オシッコモンスターが現れた!

「やだ~!ペットボトルに、オシッコが入っているわ!」

「ケケケケケケ!
トラックの運転手がトイレに行けなくて、ペットボトルの中にオシッコを入れたのさ!」

「だったら、自分の家に持ち帰って捨てなさいよ!
集積所は、通行人のゴミ捨て場じゃないの!勝手に、ゴミを置いていかないで!」

「ケケケケケケ!
置いて行ったところで、バレないから捨てるんだぜ~!
お前らが、片付ければいいんだよっ!」

すると、ピンクはポケットの中から一枚のシールを取り出しました。

「必殺!収集デキマセーーン!」

ピンクは、ペットボトルに【収集できません】のシールを貼りつけます。

「さぁ、次の集積所へ行くわよ!」

すると、クリーントラックが苦しそうに声を上げました。

「ピンク!もう、オイラは お腹がいっぱいだよ!」

「あっ!そうだった!」

ピンクは、トラックに乗り込みながら言います。

「次は、清掃工場へ戻るのね!」

「そうだよ!オイラのお腹は、約900個のゴミ袋が入るけど、それでも もう限界!
日本は、ゴミが多すぎるんだよ~!」

「わかったわ。猫型ロボットのお腹みたいに、無限には入らないのね!」

「ムムッ!僕のお腹は、デリケートなんだよ~!」

ムスッとしたクリーントラックは、重くなった体で精一杯エンジンをかけます。

ブルルルル・・。

トラックは、清掃工場に向けて走り出しました。



「子供の頃に清掃工場の見学をしたけれど、その時の事は あまり覚えていないのよね。」

ピンクが そう言うと、トラックは清掃工場の入り口に到着しました。

「まずは、ゴミの量を計るんだ。トラックに乗ったままで計れるんだよ。」

運転手のブルーは、トラックを止めます。
計量器の上に乗ったのです。

「日本人が作る機械って、スゴいわよね!」

ピンクの心は、ドキドキしてきました。
ブルーは、トラックを進ませます。

「ゴミの量は毎回、ほぼ2トンだよ。」

「えっ!?そんなに?」

「うん。アジアぞうのメスと同じ位の重さだよ。
毎回、それ程の量のゴミをトラックに詰めて、6回工場に運ぶんだ。」

「えぇ~!?じゃあ、まだ あと5回もゴミを運ぶのね・・。」

そう言いながら、トラックと共に工場の中へ入りました。

ブルーは、トラックの後ろ側をゴミピット(工場の中の大きなゴミ箱)に近付けて止めます。

「さぁ、クリーントラック!
ゴミピットにゴミを出すよ~!」

ブルーがボタンを押すと、トラックの中にある、排出板という板が動いてゴミを外へと押し出しました。

「よっしゃ~!ウジ虫を吐き出すぜ!おえ~っ!」

ドサドサドサッ!

食べ残された野菜も、ぬいぐるみも、靴もウジ虫も、全てゴミピットの中に落ちていきます。

「はぁ~。スッキリンコ♪」

クリーントラックは、嬉しそうな顔をしましたが、モッタイナイお化け達は怒ったり、泣いたり大騒ぎです。

「うちの乳製品を食べずに燃やすのかっ!
生乳の生産量は、北海道がダントツ1位!無駄にするなら、関東には売ってやらんぞぉ~!」

「助けて~!焼かれたくないよ~!
カウボーイの人形は、ここから抜け出したらしいけど、現実では無理だよね。うわーん!」 


ゴミピットの上に付けられたクレーンが下へ降りると、クレーンゲームと同じように つかまれてゴミは焼却炉に運ばれます。
そして燃やされて灰になる。それがゴミになった物の運命です。

(ここは恐怖のクレーンゲームだわ。こんな形で人生を終えるなんて嫌よね・・。)

もし、自分が ぬいぐるみだったなら・・。
そう思うと、ピンクの胸は苦しくなりました。

(これからは、物を大切にする!
簡単に買わないし、捨てない!)


そう誓うピンクの横で、ブルーが声を上げます。

「よし!もう一度、出発だ!」

ブルルルル!
トラックはエンジン全開で走り、次の集積所へ向かいます。

途中で別のトラックとすれ違うと、ブルーは手を上げて運転手に挨拶をしました。他のトラックも工場へ戻ってきたのです。

1日に約100台のトラックがゴミを運んで工場へ戻る、これを1台につき6回行うので、1日だけで かなりの量のゴミが集まります。

燃やされて小さくなった灰のゴミは、トラックで運ばれて最終処分場に捨てられます。

最終処分場も、「お腹いっぱい!」という程に灰で溢れています。

さて、最終処分場がいっぱいになってしまったら、次は どこに捨てたら良いのでしょう?

その答えは、まだ見つかっていないのです。

20年後の未来には、私達の家の周りはゴミの山になっているかもしれません・・。



カァ!カァ!カァ!
カラスが、鳴きながら飛び立ちました。

沢山のレンジャー達によって、住宅街のゴミは集められ、カラスのご馳走の生ゴミは無くなったのです。

「あと、少しだ!頑張れ、ピンク!」

「はい・・。」

本日最後のゴミ収集になると、ピンクは疲れた顔を隠せなくなりました。ゴミを持ち上げるだけで、精一杯です。

「よしっ!これで、終わりだ!
トラックに戻るぞ!」

「おう!」「はい・・。」


ブルルルル!

3人を乗せてトラックが走ると、グリーンが一息つきます。

「ふぅ~。良かったね!無事に終わって!」

「うん。ゴミを集め終わった後は、街がキレイになって美しいね。」

ブルーは、運転をしながらゴミの無い集積所を眺めて喜びます。

「あ、そう・・。良かったね。」

ピンクは、ぐったりとした顔で呟きました。

「ピンク!もう少し頑張って!
工場にゴミを出したら、トラックを洗って終わりだよ!」

グリーンが声を掛けると、ピンクは頷きました。

「そうね。クリーントラックだって疲れてるわよね。キレイに洗ってあげないと。」

すると、クリーントラックが大きな声を上げます。

「ピッカピカにしてね~!」

ブルルルル!

トラックは走り、清掃工場に戻りました。




「終わった~!」

お腹が空っぽになり、嬉しそうなトラックは駐車場に止まりました。

3人は、トラックの体に水を掛けながらブラシで汚れを洗い流します。

「クリーントラック、今日もありがとう!」
「明日も宜しくね!」「ゆっくり休んで!」

「おやすみ~。」

キレイになったクリーントラックは、目を閉じました。

すると、ピンクは疲れて その場に座り込みます。

「大丈夫か?ピンク!
戦いの後のボクサーみたいになってるぞ!」

「本当だ!ピンクが、ホワイトになってる!」

グリーンとブルーは、ピンクを心配します。

「大丈夫・・。」

ピンクは最後の力を振り絞って立ち上がると、背筋を伸ばしました。

「お疲れ様です!
今日は、ありがとうございました!」

「こちらこそ、ありがとう!お疲れ様です!」

「ありがとう!お疲れ様!」

レンジャー達は、この一言を大切にしています。

1つのトラックに乗って3人で活動するレンジャー達は、チームワークが必要であり、仲間を思いやる気持ちが大切なのです。




「ただいま!」

ブルーが家に帰ると、2人の子供達が出迎えました。男の子と女の子の兄弟です。

「おかえりなしゃい!お父さん。」

「お父さ~ん!このオモチャが壊れちゃった!どうやって、捨てるの?」

ブルーは、男の子が手に持つオモチャを受け取って答えます。

「これは、電池で動くオモチャだから電池を抜いて、燃えないゴミの日に出そうね。」

「うん。わかった。」

子供がうなずくと、次はブルーの奥さんが話し掛けます。

「マニキュアを捨てたいんだけど、ビンの中身を拭き取れないのよ。水で洗って取れるかしら?」

「マニキュアで汚れた水は環境に良くないから、燃えないゴミで捨てたらいいよ。
ラー油の入ったビンとかもね。」

「そうね。
それなら、ソースの入ったプラスチックの入れ物は燃やすゴミね。これも拭き取れないもの。」

「うん。シャンプーの入れ物なら洗って、プラスチック資源の日に出せるよ。
ペットボトルの収集の日と間違わないでね!」


ブルーが 答えると、子供達は次々に色々な物を持ってやって来ました。

「歯ブラシは、燃えないゴミ?」

「それは、燃やすゴミだよ。」

「このDVDは、もういらない!」

「じゃあ、欲しい人にあげよう!
捨てるのは、モッタイナイからね。」

「お父さん!ペットボトルは、フタとラベルは取るんだよね。」

「そう!ジュースの入っていたペットボトルは、中を水で洗おうね。」

すると、ペットの猫までブルーの元へやって来ました。

「ニャア!ニャア!」

「んっ?猫のトイレの砂は、どうやって捨てるかって聞いているんだな?」

「ニャン!ニャン!」

「それはね~、砂が何で できているかで決まるよ。
うちの猫のトイレの砂は、紙で作られてるから、燃やすゴミで出せるんだよ!」

「ニャ~ン。」

猫も納得したようなので、ブルーはお風呂へ向かいました。

ゴミを集めた時に、ウイルスが付いたかもしれません。家族の為にも、キレイに体を洗い流します。

ゴミを集める仕事は、命に関わる仕事なのです。

お風呂から出ると、ブルーは家族で食事をしました。

「今日は、ゴミモンスターをピンクがやっつけてくれたんだよ!」

「わたちも、クリーンアースレンジャーになる~!」


「よし!それじゃあ、ご飯を残さずに食べよう!
そしたら、強いレンジャーになれるぞ!」

「うん!食べる!ご飯は、ゴミにしない!」

ブルーは、子供達の言葉に喜びました。


夜が更けて子供達が眠ると、ブルーはノートパソコンを開きました。

今日あった事を文章でまとめます。

「よしっ!クリーンアースレンジャーの物語が完成したぞ!
そして、最後は・・。」


ブルーは今まで会ってきた仲間たちの事を思いながら、日本に住む子供達に向けてメッセージを添えました。

【日本で暮らす子供たちへ。】

最後まで読んでくれて、ありがとう。
クリーンアースレンジャーの物語を、楽しんでもらえたかな?

最後に、君にお願いです。

ゴミは、捨てれば終わりではありません。
僕は、その事を沢山の人に知って欲しくて、このお話を描きました。

君が学校へ通っている間、沢山のレンジャー達が出動して、ゴミを集めているんだよ。

君の見えない所で、毎日沢山の人が君の生活を支えてくれているって事なんだ。

それは、お父さんやお母さん、ゴミを集める人だけじゃない。
君の知らない何人もの人が、汗を流して活躍している事を知って欲しい。

食べ物も洋服も君の住む家も、知らない誰かが、君の見えない所で頑張って作ってくれたんだ。

僕は自分の為だけに、この物語を書いた訳じゃない。
仲間達を、カッコ良いクリーンアースレンジャーだと思っているから、知って欲しかった。
そして、ゴミモンスターによって傷付く仲間を増やしたくないという想いを込めたんだ。

だから、きちんと分別してゴミを捨てる事に協力して欲しい。
君の住む場所には、【ゴミの出し方】が決められているはず。一緒に暮らしている人に教えてもらってね。

他にも、一緒に考えて欲しい事があるんだ。
それは、ゴミの最終処分場は あと20年もしたら、いっぱいになるかもしれないという事。

この問題は、クリーンアースレンジャーが何とかできる事ではないんだ。

最終処分場が埋まってしまったら、君の家のすぐ側に大量のゴミの山が 作られるかもしれない。そんなの嫌だよね?

それでは君は、日本の環境、日本の未来を守れるのって誰だと思う?

「日本で しっかり勉強をして育った、賢い人達がどうにかしてくれる!」

そう思う?

日本は先進国であり、日本人の考える力って素晴らしいよね。
実は研究者達は、研究に研究を重ねた結果、ゴミを燃やしてできた灰を砂へと変えたんだ。
その砂をコンクリートに混ぜて建設現場で使う事で、ゴミを減らす事ができたんだよ。

ゴミを焼いて出る排ガスを害のない空気に変えたのも、研究者達のお陰!
日本の研究者って、スゴいよね!

でも、そこまで努力しても ゴミの量が多いから最終処分場は早ければ あと20年で埋まってしまうんだ。
ゴミの量を減らす事は、日本人の永遠の課題だと思う。

研究者達の努力だけでは、大量のゴミをキレイさっぱりと無くす事はできないんだ。

「ゴミの問題は、政治家が解決するべきだ!」

そう思う?
では、君に聞きたい!

「アレはダメ!コレはダメ!」って、全て政治家に決められても構わない?

「使い捨てのプラスチックスプーン、ストローを無くしていきましょう!
レジのビニール袋は有料!
もう、無料では渡しません!」

政治家は、こんな取り組みを行いました。

これは、無料で物を渡すとゴミが増える原因になる事と、ゴミをポイ捨てして地球の環境を壊す人がいるからなんだ。

みんなが悪い事をしている訳ではないけれど、少しでも環境を守る為に政治家は法律を作るんだ。

「私は悪い事をしていないから、私の生活は何も変えないよ!」

そう言いたくなる人の気持ちはわかる。

でも僕は、毎日沢山のゴミを見てきて考えるようになった。

ゴミを集める度に、苦しむ仲間がいる。
人間の作ったゴミのせいで、命を落とす動物がいる。

このまま、何もしないでいる訳にはいかないと思う様になったんだ。

だから僕は、今の日本の環境について勉強をして、今何ができるかを考えた。

ゴミについて伝える本を作ったり、ゴミ拾いをしたり、売れ残った食べ物を使う食堂を開いたんだ。

するとね、人っていうのは優しい気持ちを持っているものだから、僕に協力してくれる人が現れたんだ。

行動が少しずつ認められたなら、一緒にゴミを減らそう、無くそうとする人を増やしていけるんじゃないかって思うんだ。

えっ?そんなに上手くはいかないって?
そうだよね。難しい問題だからね。

でもね、僕は どれだけルールを作っても、人の心に届かないなら協力してもらえないと思うんだ。

ゴミは人が作る物だから、協力してくれる人を増やさないと解決できない。

だから、まずは自分が動く。
自分の気持ちを、行動で表して見せる。

僕はゴミを子供達に押しつけて、この世を離れるお爺さんには なりたくないんだ。

「こんなにゴミだらけにしたのは、大人達なんだから、大人が何とかしてよ。」

子供達に そう言われる前に、ゴミと向き合っている人達の事を伝えたい。

頑張っている人がいるなら、協力しようって思ってもらえるように。

「未来が良い方向に変わったのは、政治家の力ではなく、日本に住む人達が協力し合ったからです!」

そう言える日が来るように。

物語の中にも書いたけれど、ゴミは人間の心から生まれるもの。

「まだ使えるけど、邪魔だから捨てる!」
「沢山買いすぎて、食べきれないから捨てる!」

日本では、まだ使える物、食べられる物がゴミとして捨てられている。
僕は、このモッタイナイゴミを何とかしたい。

その為に、みんなにお願いしたい事は この3つ。

★買いすぎない

★作りすぎない

★食べ残さない

この3つの行動が、ゴミを増やさない事に繋がるよ。
これからの未来に、この3つの気持ちが必要なんだ。

ゴミって、最初からゴミだった訳ではないからね。

物は、愛情を持たれない事でゴミに変わるんだ。
物を気軽に捨てる人は、物を作った人の事を考えられないんだね。

物語の中で、モッタイナイお化けが出てきたけど、お化け達の叫びは 物や食べ物を作った人達の声なんだよ。

「家族のように育てた 、牛とニワトリが食べられずに捨てられた。」

「腰と腕を痛めて、一生懸命作った米と野菜なのに、買いすぎたという理由で捨てられた。」

お金は必要だけど、自分の作った物が大切にされて欲しいと思っている人はいるんだ。
買う人には ただの食べ物でも、愛情を持って、自分の子供のように育てている人がいるんだよ。

僕は特に、食べ物を育てた人達の心を一番に感じて欲しい。

君がゴミと思う物でも まだ使える物ならば、誰かに譲る事を考えて欲しい。
遠い国では、君の要らない物が宝物になる事もあるんだ。

まだ自分で行動ができないのであれば、大人になるまでに 物を長く役立てる方法を、少しずつ調べてくれたら嬉しいな。

そして、君はどんな大人になりたいか考えてみて。

僕は、大人というのは 見えない誰かの事を思いやる心を持った人だと思う。

だから僕は、関わりのない人や動物、物に対しても大切にする気持ちを持ち続けなければならないって思う。

でも、この気持ちは子供だって持っているんだよ。

この物語を最後まで読んでくれた君は、自分以外の誰かの事を考え、思いやる心を持っているよ。

だって、僕の気持ちを知ろうとしてくれたでしょ?全く知らない人の事なのに、見えない誰かの事を知ろうとしてくれたでしょう?

知らなかった事を知る事で、変わる未来があるよ。

その心を生かして、想像力を広げてみて。
君は未来の為に、今どうしたらいいと思う?大人達は、どう変わればいいと思う?

子供だから、大人みたいに考えられない?
そんな事はないよ!
大人の行動より、子供の行動のが立派な事もあるんだから。
君の今の行動で、未来は変わるんだよ。

僕は、この物語を最後まで読んでくれた君が仲間になってくれると信じている。

「日本の未来を守れるのは、誰?」って、聞いたよね。
答えは、君なんだよ。
君も、地球の環境を守るクリーンアースレンジャーなんだよ!

★おわり★

(※ゴミの分別に関しては、お住まいの地域の分別表を確認下さい。
この物語では、ゴミ清掃員の滝沢秀一さんの著書【ゴミ育】を参考にしました。)

滝沢さんの体験や考えは、他にも取り入れています。

大量のウジ虫が動いてゴミ袋が揺れていたのは、滝沢さんと一緒に働く清掃員が体験した事です。

でも、ゴミで覚醒した清掃員は滝沢さんだけかもしれません。それを奥さんに伝えたら、爆笑されたそうです!(^ー^)
滝沢さんの本も、是非読んで下さい!

↑続編もあります

物語に対する考え方を、別に記載しました。
よければ、こちらも読んで頂ければ幸いです。↓


また、物語の第一話だけ、動画にしました↓

最後まで読んで頂き、ありがとうございます!

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