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思い上がるな!


 SNSの投稿記事を読んでいると、言葉遣いこそ丁寧であるものの「何様のつもり?」と一人言を呟いてしまうほどの臭気を放つものがある。いくつか挙げてみる。



誰も求めていないことを売りにしている記事。


[1] 独自の読書感想文

 何かと「独自の視点」を強調している記事には臭気が漂う。
 例えば読書感想文。
 私が読書感想文を読むときに知りたいのは、その本のおおよその中身である。まだ読んでいない本のネタバレは嫌だという人もいるかもしれないが、読書感想文には多少のネタバレがあるのが当然である。そもそも、ネタバレが嫌ならば、感想文も書評も読まない。

 それなのに、何故かわからないが、「ネタバレはしません」「私の独自の観点で書くことにしています」という言葉を売りにしている記事がある。

 ネタバレがない読書感想文なんて、「本当に本を読んだんだろうか?」という猜疑心さえ抱いてしまう。
 また、私が知りたいのは、読書感想文を書いた人の独自の見解ではなく、一般的な読者が普通に抱く感想である。読書感想文を書いた人の独断と偏見に満ちた「偏った感想」など全く興味がない。

 自分独自の見解は、私が実際にその本を読んだ時に持てばいいのであって、著者でもない赤の他人の偏見に基づくものなど百害あって一利なしである。

[2] 誰も言っていないことだ、と声高に叫んでいる記事

 [1]とも共通するが、一応書いておく。
 人が誰も言っていないことを言うことが、何か素晴らしいことだと考えている御仁がいるが愚かである。

 こういったことは、アカデミックな論文をこれから書こうとしている大学院生にありがちなパターンである。

 誰も書いたことがないようなトピックスというものは、次のいずれかである場合がほとんどである。


いざ研究してみても、何ら新しく発見できるものがなく、ありきたりの結論にしか至らないもの。研究してもおよそ深味のないもの。

見かけこそ違うものの、すでに研究しつくされていて、現在では話題にすらならないほど陳腐化しているもの。

 独自な研究というのは、いまだかつてなかった発見を伴うようなものではなく、すでに発見されていることにわずかな改良を加えるようなものが一般的である。
 たとえて言うならば、99ページまで書かれた本の最後の1ページを書き加えるのが「独自な研究」というものだ。

 大体の場合、「独自の見解です」「誰も言ったことがありません」というのは、研究不足あるいは無知であることを自ら暴露しているのと同じである。



交流を売りにしている記事


 コメントや書き込みの多さを売りにしている記事にも、臭気が漂っている場合がある。

 特に、自分に「いいね👍️」してくれる人だけに「いいね👍️」を返しているアカウントには、強烈な臭気が漂っている。
 コメント欄のメンバーはいつも同じで、新たな人がコメントを書きにくいような独特の香りがある。

 イエスマン一色に染まるコメント欄は、ファシズムそのものである。。
 
 何か意見を書けば、賛否両論が出てくるのが当たり前である。
 賛成一色になる場合というのは、非常に恐ろしい傾向である。

 自分の意見に賛成している人に囲まれるのは、確かに心地よいのだが、意図的にしろ無意識的にせよ、反対派を最初から排除している場合が多い。自由闊達な議論ができるような、一方に偏らない空間のほうが望ましい。
 


③ 拡散希望を求める記事


 見ず知らずの人々に、自分の都合のよい事柄だけを列挙して、数の力で相手をねじ伏せようとする記事。

 もちろん本当に真摯な気持ちで切実に訴えているものもあるだろう。しかし、安易にのってしまうのはおかしい。
 当事者が二人いるならば、二人の言い分を聞くのが公平だろう。片方の主張を鵜呑みにして、相手方の主張を全く聞かないで「拡散希望」にのってしまう人を、私は軽蔑する
 また、一方的なネガティブ・キャンペーンにのって、すぐにブロックする人も軽蔑にあたいする

 両者の主張を十分に咀嚼した上での拡散ならば良いが、その場の気分で拡散・ブロックしてしまうのはいただけない。
個々人の自由なのだが、浅はかである。自分の頭で考えるために、十分検討したほうがよいだろう。


結びにかえて


 最近、幼稚なシニア世代が非常に多い。執念深く、すぐに群れようとする。
 寂しいのか、普段から鬱憤がたまっていて発散する場所がないのか、若い世代より暴力的なシニアが増えている。自重することを覚えて、若い人の意見を聞く勇気を持ってほしい。

 また、若い世代は若い世代で、他人を気にし過ぎて抑制し過ぎている面がある。若い人には、普段思っていることを、普段通りに言う勇気を持ってほしい。自然と個性というものは出てくる。

 


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