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システマ大西さんセミナー@広島 システマ歴1年で感じた変化

広島で3日間あった、システマ大阪の大西亮一さんのセミナーに参加しました。システマのワークに関する学びはもちろんですが、大西さんの考え方や言動の一つ一つがすごく印象的でした。参加者の方にもたくさんの学びをもらったので、セミナーに関わった皆さんに感謝です。

私はシステマを始めて1年弱経ちますが、システマを始めて間もない頃に広島でダニールのセミナーを受けました。その時は、あらゆる情報が新鮮で常に隕石が落下して自分にボコボコ衝突している状態になり、気づいたら1日終わっていました(笑)。今回は、そういう意味での刺激的な衝撃は少なかったですが、外からは見えない自分の中身がゆっくりと書き換わっていくような、静かだけれど大きな変化が起こっている感覚でした。


フィーリングを伝え合うことで、自分に浸透する

昨年7月にシステマを始めて約1年、自分の中での変化は色々ありましたが、今回のセミナーで色濃く感じたのは、参加者同士でフィーリングを伝え合うことによる学びについてです。

昨年のダニールセミナーの時は、右も左も分からない状態で、自分の身体のことなのに「相手から触れられてどう感じたか」を言葉にすることもできませんでした。そもそも、それを伝え合うことの意味もよく分かっていなかったと思います。

ですが、今回はフィーリングを伝え合うことが自分の気づきと学びを大きくすることを実感しました。

それは、相手の手に触れて、相手を感じることで手を通じて相手が(結果的に)動いていくというワークでしたが、緊張してうまくできない時と、うまくいく時とまばらな状態でした。

自分の中でうまくいったなと思った時に、相手の方が「今イイ感じだったんですけど、意識や身体の状態はどんな感じでしたか?」と質問してきました。

私は、うーんと振り返ってみて、「できていない時は肩と腰が緊張していた感じだったので、それに気づいて緩めて、あとは足裏が軽い感じでした。手を動かそうという意識もあまりなかったですね」と思い出しながら説明します。

で、説明した後に「あ、そうか!そうすればうまくいくのか」と自分で気づきました(笑)。うまくいった時のフィーリングを質問するという手法は有効だと思い、今度は違うワークで違う相手に対して、自分がやってみようと思いました。

今度は、触れる対象が相手の手ではなくナイフになります。相手の人がうまくナイフを動かせたタイミングがあったので、すかさず質問しました。そこで「手首、肘、肩などの力を均等にして、ナイフを動かそうと思わずにリラックスする感じ」と言っていたので、すかさず私も同じことを意識してやってみたら、するっとできてしまい、相手の人も驚いてました(笑)。

システマのよい所の一つは、一方的に教える関係ではなく、この伝え合う・教え合う関係性を築けることだと思います。自分で気づいたことは中々忘れません。

仕事では、これまでインタビューで人の話を聞く機会が多かったのですが、時々相手の方から「質問されてそれに答える中で、自分の考えが整理されて新たな気づきがあった」と言ってもらうことがありました。
今回、自分がそれをされる側になって、この言葉の意味を実感できました。相手がうまくできたことに気づく感受性はいると思いますが。

システマ迷子にならないために 自分の現在地を知る

大西さんは、「システマは、できる・できないの2択しかなくてその間はない。下手でもいいから、まずはできる感覚を知ること。一度自転車に乗れたら、うまくこげるか、速くこげるかは練習すればいい」と言っていました。要は、間違った方法でどれだけ練習してもできるようにはならないので、ワークを通して正しい体験・感覚を一つでも得てほしい、という意味かと思いました。

そして、そのためには在りたい姿と自分の現在地を知り、それを線で結ぶことで目指すべき方向が見えてくると。システマに限らず、色々なことに当てはまりますね。点の出発点とゴール地点(あるいは何となくの目指す方向)が分からないと、迷子になってしまいますし。

システマという一つのシステムを知るために、3日間で色々なワークをし、色々な言葉で説明がありました。人は一人ひとり違うので、どのワークや言葉がその人に刺さるかは分かりません。誰かにとってピンとこなかったワークが、他の誰かの扉をバーンと開けてしまうこともあります。

体格、性別、育った環境、経験、価値観など、人によって異なるし、システマをやる理由も人によってバラバラです。大西さんの言動や振る舞いのベースには、こうした多様性に対する懐の深さがあると感じました。

システマの多様性と、システマをやる意味

システマに対して武術的な強さを求める人もいれば、健康になりたいと思う人もいる。多様で自由であるが故に、その全てのリクエストに応えるのは難しいと思いますが、大西さんはセミナーの中で多くの参加者の意向を汲み、誰よりも動いてそれを実践していました。セミナー開始前の言葉のQAではジョークを交えて多くを語らず、そこで引き出した疑問の全てに対してワークの実践を通して回答する姿には、すごく心を打たれました。

私が勝手に思っていた一般的な武術の達人のイメージは、あまり多くを語らず、生徒は背中を見て学べみたいな先生像でした。しかし、大西さんは参加者の誰より汗をかいて、一人ひとりにデモンストレーションを実施していました。そんな武術は中々ないんじゃないかと思いますし、そうした姿を見て感じることは多くありました。

大西さんになぜシステマを始めたのか聞く機会があったのですが、システマをやる理由やその魅力を語る言葉には、それぞれの物語があるのが面白いなと思います。システマを深くやっている人は、それだけ自分に向き合っている時間が長いので、その人となりや、その人が歩んできた苦悩の道のりなどが浮き彫りになってきます。

長く色々な武術をやっている人がシステマに行きつくのも、分かる気がしてきました。それはスポーツ的な競技・勝敗の追求に身体的・心理的な限界を感じたり、年齢を重ねることで考え方が変わったりと、色々かなとは思いますが。

私自身も、昔は色々競技スポーツをしてきましたが、大会の勝敗という意味ではどれもパッとしませんでした。そこで大人になってからは運動ではない形の頭脳戦のスポーツに関心が移行しましたが、やはり勝利という証が欲しいという意識がどこかにあったんだと思います。

しかし、大会で勝てる人はほんの一握りです。本気で打ち込むことで得られることはありますが、結果が出ないと苦しいですし挫折します。なので、今はどれもほどほどに楽しむ感覚でやっています。

一方で、システマは勝敗も大会もなく、武道でいう「型」や、ユニフォームすらありませんが、それ故に達成感を味わえず苦しむ人もいるのかもしれません。

私自身は、「健やかでありたい」のでシステマをやっています。健やかさを得るためのヒントは、今回のセミナーの各所にありました。それは、自分自身の考え方、身体反応、思考の癖など様々で、それに気づいて改善するためのヒントや、日常生活での実践方法まで得られました。

ただし、それはあくまで私のシステマです。100人いたら、100人違う目的と答えが返ってきます。なので、私がシステマの魅力や良さを誰かに語ろうとすると、自分の悩みや課題、人生観などをベースにした語りになってしまうのです。今風に言うと「緊張しやすく閉じこもりやすい人がシステマやってみた」なのです(笑)。

安直な例ですが、私は座りっぱなしの仕事なので「肩こりが良くなった」と言うかもしれませんが、立ちっぱなしの仕事の人は「ふくらはぎが軽くなった」と言うかもしれません(笑)。

まずは毎日、背中を壁に付けて立ちます(笑)。最後に笑いが多くなるのもシステマっぽいですね。そんなことを考えました。






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